2015年12月16日
「頂」へ
期待に応え続ける、ってことは大変なことだ。
しかも自らそのハードルを上げ続けているバンドであれば尚更だ。
LOUDPARKでのパフォーマンスも記憶に新しい彼らのニューアルバム。
今年最後を飾るにふさわしいアルバムとなりました。
GALNERYUS / UNDER THE FORCE OF COURAGE

今さら説明不要かもしれませんが‥
日本が誇るメロディックメタルバンドの節目となる10作目ですね。
デビュー作が2003年ですから、12年で10枚!驚くべきハイペースです。
そして奇跡ともいえる小野正利(以下「小野さん」)の加入から5枚目ということで、初代ヴォーカリストであるYAMA-Bの歴史と肩を並べたことになりますね。
早いものです。
いい意味でのアンダーグラウンド感、YAMA-Bの声もあってソリッドで荒々しくザラついた印象の初期から、小野さんに変わってから一気にメジャー感を纏うようになりました。
このあたりの変遷については好みが分かれるところでしょう。
ちなみにワタシはどちらも大好きですよ。
日本語詩、そのJ-POP然としたメロディも含めて、「これじゃないんだよ!」という初期のファンはもう見切りをつけている人もいるかもしれませんね。
が、もうすっかり「ガルネリウスの声」であり、最も強力な武器であるとも言える小野さんの声。
小野さんを迎えて新生GALNERYUSとして想像をはるかに超える名作となった[RESURRECTION]。
順当な進化を見せた[PHOENIX RISING]。
唯一無二、孤高の名曲を生んだ[ANGEL OF SALVATION]。
小野さんのカラーをさらに押し出してきた[VETELGYUS]。
着実に前へ進み続けてきた彼ら、節目となる作品は初のコンセプトアルバム!
そして組曲形式の曲が2曲!
「コンセプトアルバム」「組曲」どっちも大好物ですよ、えぇ。
最初に聞いたときは、[VETELGYUS]の延長で考えていると「ん?」「けっこう冒険的な作品だな」という印象をうけます。
順当に「小野さんを生かす」路線へ向かってきた中、少しベクトルを変えてきた感があります
小野さん加入後以降では、最もシリアスであり、初期YAMA-B時代の薫りが漂う場面も。
が、繰り返し聞けば聞くほど、GALNERYUSが積み重ねてきた歴史を小野さんという最強の武器を駆使して体現してきたかのような充実感を感じるようになります。
10作目という節目を意識したから、コンセプトアルバムという方向性によるものなのかは分かりません。
が、積み重ねたきた歴史からいったん原点に還り、それを緻密に緻密に組立て直し、小野さんという魅力でまんべんなく彩ったかのような。
息苦しさすら感じる、実に濃密なスクラップアンドビルド。
ここでいう「息苦しさ」は、息をすることすら躊躇する緊張感という意味での、ワタシにとって最上級のほめ言葉だと思って頂きたい。
そういった意味では「最高傑作」というよりは「最高峰」に登り詰めた。という印象だ。
どの方向(音楽性)から、どの高さ(リリース時期)から見ても素晴らしかったGALNERYUSたちの作品を、テッペンから見下ろして包んでしまうような作品だと思う。
今まで30年近くヘヴィメタルを聞き続けてきましたが、この「あぁ、このバンドはここまでたどり着いてしまったか」という「圧倒的征服感」を感じたアルバムは数少ない。
そんなアルバムたちと並ぶ素晴らしさだ。
穏やかに爪弾かれるギターからシンフォニックなバックサウンドで語られるプレリュード[PREMONITION]。
そこから一気に‥と言いたいところですが、なんと再びインストナンバー[THE TIME BEFORE DAWN]へ。
DREAM THEATERを思わせるようなテクニカルに構築されたナンバーですね。この曲を中盤ではなくオープニングに配置するあたり、そしてインストナンバーを2曲続けるあたりは自信の表れでしょう。
そしてLOUDPARK15でも披露された[RAISE MY SWORD]へ!
ガルネリ節全開、緊張感を内包し、反射するかのような美しさを撒き散らして疾走してく、メンバー全員の超絶テクニックと小野さんの魅力、全てが詰め込まれた、ガルネリウスの「今」を象徴する名曲です。
細かいところですが強靱なリフの中に配置されるゼロコンマ数秒の「間」がたまらないのです。
間髪いれず解放感と飛翔感に満ちた[THE VOICE OF GRIEVOUS CRY]へ。
この曲へと移行する曲間ひとつとってもコンセプトアルバムであることへのこだわりを感じます。
[RAISE MY SWORD]の「間」も含めて、この感覚が絶妙なのだ。
組曲の一曲目となる[RAIN OF TEARS]では、小野さんの魅力的な中低音域を味わうことができます。
テクニカルな間奏、デスヴォイスによるパートなどを経て、感動的なメロディが彩る終盤[Ⅳ: ENDLESS CONFLICTION]へ。
ROYALHUNTの[PARADOX]のラストを思わせる、緊張感と穏やかさが同居する世界観。もうこれがエピローグじゃないかと勘違いしてしまうほどの劇的な構成となっています。
勇壮なオーケストレーションに導かれ、スケールの大きなパワーメタルチューンへと雪崩込む[SOUL OF THE FIELD]。
最もアルバムコンセプトにフィットした曲かもしれません。
そしてラストを飾る二つ目の組曲、[THE FORCE OF COURAGE]。
崇高なインストレーションから、最後を飾るにふさわしいドラマティックな高揚感へと導いていきます。
この一曲だけでアルバム一枚を聞いたかのような充足感を感じます。
歌詞に散りばめられたキーワードひとつひとつに、ファンは胸を打たれることでしょう。
オープニングから、幾度ものクライマックスが訪れる、そして緊張感が最後まで途絶えることのない、まさに「孤高」の作品ではないでしょうか。
聞き終えて、大きなため息と同時に脳内が真っ白に、そして蓄積した興奮物質が放出されていくような心地よさ。
おそらくガルネリウスの最高傑作として挙げる人も多いことでしょう。
が、あくまで集大成としての傑作であり、ガルネリウスを初めて聞く人にとってはハードルが高いかもしれないなと感じます。
コンパクトに現メンバーの魅力を感じられる[RESURRECTION]。
歴史に残る名曲[ANGEL OF SALVATION]を収録した[ANGEL OF SALVATION]。
そして初期GALNERYUSの魅力の詰まった[THE FLAG OF PUNISHMENT]。
そういった作品を最初に聞いて、この作品に辿り着いてもらえると、さらに魅力を感じることができるのではないでしょうか。
一つの山を登り切った感のあるGALNERYUS。
キーマンであるSYUの視線の先には何が見えているのでしょうか。
が、今回の作品を聞いて「SYUは以前からこの頂を見通していた、そして計算していたのではないか」と感じました。
次に目指す方向も、きっと明確に見えていることでしょう。
【MV】RAISE MY SWORD - GALNERYUS
しかも自らそのハードルを上げ続けているバンドであれば尚更だ。
LOUDPARKでのパフォーマンスも記憶に新しい彼らのニューアルバム。
今年最後を飾るにふさわしいアルバムとなりました。
GALNERYUS / UNDER THE FORCE OF COURAGE

今さら説明不要かもしれませんが‥
日本が誇るメロディックメタルバンドの節目となる10作目ですね。
デビュー作が2003年ですから、12年で10枚!驚くべきハイペースです。
そして奇跡ともいえる小野正利(以下「小野さん」)の加入から5枚目ということで、初代ヴォーカリストであるYAMA-Bの歴史と肩を並べたことになりますね。
早いものです。
いい意味でのアンダーグラウンド感、YAMA-Bの声もあってソリッドで荒々しくザラついた印象の初期から、小野さんに変わってから一気にメジャー感を纏うようになりました。
このあたりの変遷については好みが分かれるところでしょう。
ちなみにワタシはどちらも大好きですよ。
日本語詩、そのJ-POP然としたメロディも含めて、「これじゃないんだよ!」という初期のファンはもう見切りをつけている人もいるかもしれませんね。
が、もうすっかり「ガルネリウスの声」であり、最も強力な武器であるとも言える小野さんの声。
小野さんを迎えて新生GALNERYUSとして想像をはるかに超える名作となった[RESURRECTION]。
順当な進化を見せた[PHOENIX RISING]。
唯一無二、孤高の名曲を生んだ[ANGEL OF SALVATION]。
小野さんのカラーをさらに押し出してきた[VETELGYUS]。
着実に前へ進み続けてきた彼ら、節目となる作品は初のコンセプトアルバム!
そして組曲形式の曲が2曲!
「コンセプトアルバム」「組曲」どっちも大好物ですよ、えぇ。
最初に聞いたときは、[VETELGYUS]の延長で考えていると「ん?」「けっこう冒険的な作品だな」という印象をうけます。
順当に「小野さんを生かす」路線へ向かってきた中、少しベクトルを変えてきた感があります
小野さん加入後以降では、最もシリアスであり、初期YAMA-B時代の薫りが漂う場面も。
が、繰り返し聞けば聞くほど、GALNERYUSが積み重ねてきた歴史を小野さんという最強の武器を駆使して体現してきたかのような充実感を感じるようになります。
10作目という節目を意識したから、コンセプトアルバムという方向性によるものなのかは分かりません。
が、積み重ねたきた歴史からいったん原点に還り、それを緻密に緻密に組立て直し、小野さんという魅力でまんべんなく彩ったかのような。
息苦しさすら感じる、実に濃密なスクラップアンドビルド。
ここでいう「息苦しさ」は、息をすることすら躊躇する緊張感という意味での、ワタシにとって最上級のほめ言葉だと思って頂きたい。
そういった意味では「最高傑作」というよりは「最高峰」に登り詰めた。という印象だ。
どの方向(音楽性)から、どの高さ(リリース時期)から見ても素晴らしかったGALNERYUSたちの作品を、テッペンから見下ろして包んでしまうような作品だと思う。
今まで30年近くヘヴィメタルを聞き続けてきましたが、この「あぁ、このバンドはここまでたどり着いてしまったか」という「圧倒的征服感」を感じたアルバムは数少ない。
そんなアルバムたちと並ぶ素晴らしさだ。
穏やかに爪弾かれるギターからシンフォニックなバックサウンドで語られるプレリュード[PREMONITION]。
そこから一気に‥と言いたいところですが、なんと再びインストナンバー[THE TIME BEFORE DAWN]へ。
DREAM THEATERを思わせるようなテクニカルに構築されたナンバーですね。この曲を中盤ではなくオープニングに配置するあたり、そしてインストナンバーを2曲続けるあたりは自信の表れでしょう。
そしてLOUDPARK15でも披露された[RAISE MY SWORD]へ!
ガルネリ節全開、緊張感を内包し、反射するかのような美しさを撒き散らして疾走してく、メンバー全員の超絶テクニックと小野さんの魅力、全てが詰め込まれた、ガルネリウスの「今」を象徴する名曲です。
細かいところですが強靱なリフの中に配置されるゼロコンマ数秒の「間」がたまらないのです。
間髪いれず解放感と飛翔感に満ちた[THE VOICE OF GRIEVOUS CRY]へ。
この曲へと移行する曲間ひとつとってもコンセプトアルバムであることへのこだわりを感じます。
[RAISE MY SWORD]の「間」も含めて、この感覚が絶妙なのだ。
組曲の一曲目となる[RAIN OF TEARS]では、小野さんの魅力的な中低音域を味わうことができます。
テクニカルな間奏、デスヴォイスによるパートなどを経て、感動的なメロディが彩る終盤[Ⅳ: ENDLESS CONFLICTION]へ。
ROYALHUNTの[PARADOX]のラストを思わせる、緊張感と穏やかさが同居する世界観。もうこれがエピローグじゃないかと勘違いしてしまうほどの劇的な構成となっています。
勇壮なオーケストレーションに導かれ、スケールの大きなパワーメタルチューンへと雪崩込む[SOUL OF THE FIELD]。
最もアルバムコンセプトにフィットした曲かもしれません。
そしてラストを飾る二つ目の組曲、[THE FORCE OF COURAGE]。
崇高なインストレーションから、最後を飾るにふさわしいドラマティックな高揚感へと導いていきます。
この一曲だけでアルバム一枚を聞いたかのような充足感を感じます。
歌詞に散りばめられたキーワードひとつひとつに、ファンは胸を打たれることでしょう。
オープニングから、幾度ものクライマックスが訪れる、そして緊張感が最後まで途絶えることのない、まさに「孤高」の作品ではないでしょうか。
聞き終えて、大きなため息と同時に脳内が真っ白に、そして蓄積した興奮物質が放出されていくような心地よさ。
おそらくガルネリウスの最高傑作として挙げる人も多いことでしょう。
が、あくまで集大成としての傑作であり、ガルネリウスを初めて聞く人にとってはハードルが高いかもしれないなと感じます。
コンパクトに現メンバーの魅力を感じられる[RESURRECTION]。
歴史に残る名曲[ANGEL OF SALVATION]を収録した[ANGEL OF SALVATION]。
そして初期GALNERYUSの魅力の詰まった[THE FLAG OF PUNISHMENT]。
そういった作品を最初に聞いて、この作品に辿り着いてもらえると、さらに魅力を感じることができるのではないでしょうか。
一つの山を登り切った感のあるGALNERYUS。
キーマンであるSYUの視線の先には何が見えているのでしょうか。
が、今回の作品を聞いて「SYUは以前からこの頂を見通していた、そして計算していたのではないか」と感じました。
次に目指す方向も、きっと明確に見えていることでしょう。
【MV】RAISE MY SWORD - GALNERYUS
Posted by テン at 07:16│Comments(0)
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