ヘビメタパパの書斎 › 2015年01月

スポンサーリンク

この広告は一定期間(1ヶ月以上)更新のないブログに表示されます。
ブログ記事の情報が古い場合がありますのでご注意下さい。
(ブログオーナーが新しい記事を投稿すると非表示になります。)
  

Posted by at

2015年01月21日

溢れるエナジー

バッドボーイズ的風貌なのに、もしくはケバいグラム風の衣装なのに、それを隠れ蓑にするかのように音楽性は正統的。
・・といったバンド、最近いますよね。

このバンドもそんな空気を感じます。
そして、そういうバンド、大好きです。

KISSIN' DYNAMITE [ADDICTED TO METAL]



今さらながらwiki見てたらドイツ出身なんですね。
なんとなく、この風貌やら音楽性で北欧かと思ってたよ。
これが1stアルバムになりますね。

このバンド、東京出張時にメタルバーGODZで流れてて知ったんですがね。
一発で「これは!」と気に入りましたよ。

ジャケットだけ見て「あー、こういうのね。ちょっと苦手なんだよね」と思った人。ちょっと待ってほしい。

見た目のインパクトと異なってキャッチーな音楽性という意味では真っ先にWigWamあたりを思い出すわけですが・・
KISSIN' DYNAMITEの魅力は、そのキャッチーな中でも「骨太」感が漂うところ。
そして、若さゆえの無尽蔵に埋もれているエネルギー。

そのエネルギー、骨太感、さらにキャッチーなサウンド。
この三つ巴のバランスが素晴らしいのです。

ゲストにウド・ダークシュナイダーがいるところもその骨太感を増幅させてくれますね。
「なぜウド?」と思っていたのですが、ドイツ出身と聞けば納得ですね。

そして見た目の風貌と異なり、「コイツら、すんげぇマジメなんじゃないの?」「すごくピュアなメタルファンなんだろうなー」というのが見れ隠れするのも微笑ましい。(まぁ、個人的感想ではありますが)
なんというか、音楽に向かう姿勢に真摯さを感じるのだ。

真っ先に比較対象として挙げられるであろうバンドとしてはSTEEL PANTHERが浮かぶわけですが、彼らの「全力のハッチャケ感」とは一線を画しているのだ。
ハッチャケてるけど、根の生真面目さがで出てるというか。

DAMN YANKEES[HIGH ENOUGH]をカバーしているあたりでも「・・やっぱり。そういうの好きなんじゃんか」とニヤニヤしてしまいますね。

全体的にはキャッチーなハードロックあり、ガッツ溢れるヘヴィメタルチューンあり、グラムっぽい要素もあり・・と、カテゴライズするのは難しい感がありますが、逆に言うと各ジャンルそれぞれのファンにアピールできる出来ばえ。

オープニングを飾る[Addicted To Metal]
ウド・ダークシュナイダーの存在感は当然際立ってますが、それに負けない個性を発散してKISSIN' DYNAMITEの力強さが漲っています。

[RUN FOR YOUR LIFE]は、これまたワタシの大好きなTHE POODLESを思わせるキャッチーなメロディライン。
実に器用なバンドなのだなと思います。

続く[SUPERSONIC KILLER]は、このアルバムを象徴する、まさにキラーなチューン。
ヘヴィなリフ、心地よいドライヴ感、そしてキャッチーなサビとコーラス。
こういうの大好きです。

そして先程触れたDAMN YANKEESの[HIGH ENOUGH]に続き・・
[ALL AGAINST ALL]では「○曜サスペンス!?」と思わせるオープニングから、ヘヴィながらも魅力的なコーラス。

そういえば[HYSTERIA]なんて曲もあって、DAMN YANKEESのこともあって「まさかあの曲!?」と思いましたが、これは違いましたね。
が、この[HYSTERIA]もシリアスでありながらメロディアスな良曲。

・・ということで、全曲を触れることはできないけど、全編にわたってスキがない。
素晴らしいクオリティです。

80年代のHR/HMが好きな人にとっては「おー、わかるわかる!」という連体感を感じるかもしれません。
WIG WAMRECKLESS LOVEといったバンドが好きな人にも聞いてみてほしい。
THE POODLESが好きな人でも気に入ると思います。
もちろんSTEEL PANTHERが好きな人にもオススメ。

まだまだ知らないバンドってのは埋もれているもんだなーと感じますね。
いろいろなところで、いろいろな出会いに触れないといけないなーと感じますね。

きっとライブは楽しいはず。見てみたいものです。

Kissin' Dynamite - Supersonic Killer


  

Posted by テン at 07:18Comments(0)K

2015年01月08日

イタリアの希望

時は遡ること10年~20年ほど前になるでしょうか。
「ジャーマンメタル」ブームがメタル界を席巻しました。
ドイツであろうがなかろうが、「ジャーマンメタル」というタタキがあれば売れる。という時代。

その流れを汲んで、そのジャーマンメタル的サウンドから派生していったバンドたちの中でも特にクサいメロディのバンドは「クサメタル」と呼ばれていました。
それを英語(というかアルファベット)で当て字をして「XaMetal」などといったキーワードが拡がっていました。

そして、その玉石混淆、なんでも売れる。といった中でもハズレのバンドは多々あり・・・
そんな「ブームに乗ってるけど、内容はキビしい・・」といったバンドは「XoMetal」と呼ばれたり・・(読み方は察してください)

前置きが長くなりましたが、個人的にその「XoMetal」の象徴がこのバンドだった。
が、このアルバムは驚きのクオリティ!

DERDIAN [ LIMBO ]




イタリア出身。いわゆるメロディックパワーメタルに属するバンドの4thになりますね。
デビューアルバムの「New Era Part 1」がリリースされたのが2004年なので、ちょうど10年になるんですね。

そうそう、この頃はジャーマンメタル的サウンドと一線を画したRHAPSODYLABYLINTHといったイタリアンパワーメタルが話題を呼んでいた頃でしょうか。

その中にこのDERDIANHEIMDALLといったバンドがいたのです。
そしてクオリティは冒頭に述べた通り「・・・」なものだった。
違う意味でインパクトを残してくれたバンドたちだった。

が。

それから10年を経てのこのアルバム。

素晴らしいです。

何を聞いても「あー、こんな感じね」といった飽和状態だったメロディックパワーメタル界において、久しぶりのヘヴィーローテーションとなりました。
ここ数年の中での、このジャンルの中での最高峰と言えるのではないでしょうか。

RHAPSODYのような、ドラマティックな高揚。
LABYLINTHのような、シリアスでありながらキャッチーな疾走感。
そういったイタリアンパワーメタルの美味しいところが脳裏をよぎりつつも、他とは違う個性を見せてくれています。

メロディックパワーメタル的疾走感を携えているのですが、どことなくマイルド。
劇的世界を構築しているのですが、どことなくメルヘンチック。

大げさすぎず、中庸をいく匙加減が絶妙なのだ。

そのサウンドに大きく貢献しているのは、ヴォーカルの声質でしょうかね。
暑苦しいわけではなく、温かみのある声。
その温かみの中に宿る力強さ。

サビでの安定感もさることながら、中音域のナチュラルなパートが実に心地よいのです。

そう、この「心地よさ」がこのアルバムのポイント。
いわゆるパワーメタルでは、基本的に「心地よさ」を求めない。
とにかく「劇的」「疾走」「大仰」といったものこそがその真骨頂だから。

が、このアルバムは、そういったキーワードはシッカリ押さえつつも、バランスを重視した安定感と心地よさがある。
これが新鮮なのだ。

オープニングから繋がるファストチューン[DRAGON LIFE]。これを聞いたときには「あー、RHAPSODY系ね。まぁ以前よりずいぶん良くなってるけどね」という二番煎じ的感触。
が、徐々にアルバムを聞き進めていくと「・・おいおい、これ単なる二番煎じじゃないぞ。ホントにあのDERDIANかよ?」という驚きが生まれてきます。

[LIGHT OF HATE]での直線的疾走感+ドラマティックなサビ。
ここで「なんだよ、典型的パワーメタルなのにこの心地よさは!」という、このアルバムの魅力に気づくことになります。

そしてラスト前~ラストに配置された2曲が「・・このアルバム、パワーメタル史に残るんじゃないか」と印象づけてくれます。

パワーバラードのようなスローでセンチメンタルなオープニングから劇的なドラマを見せる[HYMN OF LIBERTY]
パワーメタルというジャンルの中では、ここ数年で一番の衝撃を受けた名曲と言っていいでしょう。

それに続くのが、これまた名曲[SILENT HOPE]
やはりパワーメタル的ドコドコ感が基本でありつつ、メロディックハードを聞いているような胸キュン感との相乗効果はラストを飾るにふさわしい盛り上がりと余韻を残してくれます。

この二曲はセットでこそその魅力を発揮します。

この[HYMN OF LIBERTY]~[SILENT HOPE]の流れ。
個人的に人生最高の傑作と思っている、ROYAL HUNT[PARADOX]で見せる終盤のドラマを想起するのです。
ジャンルは全然違うけど、それに並ぶレベルなのです。

昂る感情を意図的に抑えることで、そのドラマ性をパッケージングしたような。
そのパッケージングした高揚感が胸の中で燻り蠢く。
そしてその高揚感がラストに向けての優しいサウンドで少しづつ溶解していく。
この感覚、他では味わえません。


冒頭に書いたような時代を知っている人は、ワタシと近い世代だと思う。
そして、その時代を体感してきた人は、もうこのジャンルにある程度の限界を感じている人もいるんじゃないかと思う。

が、そういった時代を経てきた人にこそ、このアルバムを聞いてほしい。
そして、以前の「残念」なDERDIANの印象が強い人にも聞いてほしい。

まだまだ大きな可能性が残されていることを感じ、「やっぱりこういう音が大好きなんだよね」と再認識できることでしょう。

イタリアンメタル、いや、パワーメタル界に残る名作です。


Derdian - Hymn Of Liberty




Derdian - Silent Hope








  

Posted by テン at 07:30Comments(0)D