ヘビメタパパの書斎 › 2020年07月

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2020年07月20日

進化の渦中

アーティストは貪欲だ。
現状に満足することなく進化を求める。(金太郎飴的なサウンドの継承が魅力のバンドもいますが‥)

このバンドも、その進化の渦中のようです。

DYNAZTY [ THE DARK DELIGHT ]




スウェーデン出身。
2020年発表の7thになりますね。

もともとはキャッチーなハードロック主体でしたが、4thアルバムである[Renatus]で新たなステージへ。
持ち前のメロディの魅力と、モダンな装飾との相乗効果でバンドの個性を確立しました。

続く[Titanic Mass]、そして[Firesign]を経て‥
今のサウンドを言葉にするならば、「メロディックモダンヘヴィネス」ってところでしょうか。

徐々にバランスは「モダン」にウェイトを置くようになってきた感があります。

ヴォーカルのニルスは2017年にAMARANTHEに加入し、二足の草鞋。
音楽性の遷移はこのタイミングと無縁ではないかもしれません。

DYNAZTYファンは
「AMARANTHEよりもDYNAZTY優先で頼みます」
「AMARANTHEが楽しくてDYNAZTY脱退なんてことになったら困る」

といった懸念があったかと思いますが(私です)、今のところその心配はなさそうです。

ポジティブにとらえれば、それがクリエイティブさに拍車をかけている‥と思いたいところです。


アルバムは、ややヘヴィなうねりを持ったメロディが印象的な[PRESENCE OF MIND]で幕を開けます。
今作に至るまでの過渡期だったと言える前作/前々作のオープニングが[THE HUMAN PARADOX][BREATHE WITH ME]といった彼ららしいヘヴィネスとメロディを纏ったアグレッシヴなチューンだったことを思うと、やや「ん?」という印象。
そんなやや肩すかしの印象、そして「だよな‥こういう路線になるよな‥」という、ここ数作の流れを汲めば納得という感が入り乱れる複雑なところです。

シンフォニックヘヴィ色が強い[PARADISE OF THE ARCHITECT]
サビの高揚感はまさにDYNAZTY。
旧知のファンにとっては、こういった音色がDYANAZTYの現在地として最も受け入れやすく魅力を感じるかもしれませんね。

[FROM SOUND TO SILENCE]で聞こえてくるのはAMARANTHE的な薫り。

軽やかに弾むかのようなキーボードの音色に導かれるイントロダクションが印象的な[HEARTLESS MADNESS]
メロディックハードロック的魅力が咲き乱れる、このアルバムの中では異色のチューン。

カッチリとしたストロングなメロディラインと勇壮なサビの[WATERFALL]
流麗なギターソロ、ラストに向かって音階を上げて駆け上がっていく様に昂りを覚えます。

[THE MAN AND THE ELEMENTS]ではパイレーツ的というかヴァイキング的なリフ。
バグパイプを奏でるかのようなリズムギターが新たな魅力を演出しています。

名作[Renatus]の頃の魅力が強く漂う[APEX]
緩急のつけ具合、静動のスイッチ、ガッツ&メロディに満ちたサビ。いかにも彼ららしい曲となっています。


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個人的に、どんなアルバムであれオープニングトラックの印象はけっこう大きい。
印象的、魅力的な曲で幕をあけるアルバムは「あぁ、あの曲のアルバムだな」という印象が残りやすい。

そういった意味では、今作は今までのDYNAZTYを思うと印象としては弱いかなというのが正直なところ。

が、上述している通り、彼らのメロディは健在だ。
アルバムのジャケットのイメージ通り、ややダークな色あいを帯びつつ、モダンかつヘヴィに彩られた音像は、もしかしたら普遍的メタルファンには今まで以上に評価される可能性がある。


さすがに[LAND OF BROKEN DREAMS]のような曲を今も求めるファンは少ないと思う。
けど、[STARLIGHT][RUN AMOK]といったチューンに彼らの魅力を見いだしているファンにとっては、まだその路線を期待している人もいると思う。
華やかに縦横無尽にメロディの絨毯を敷きつめたかのような密度の曲たち。

進化し、懐が広くなった彼らだけど、そのポテンシャル、その魅力は充分残っている。


DYNAZTY - Heartless Madness (2020) // Official Lyric Video // AFM Records


  

Posted by テン at 07:19Comments(0)D

2020年07月06日

類は友を呼ぶ

類は友を呼ぶ、ということか。
敬愛するアーティストのソロアルバムは、私が愛するミュージシャンで脇を固めた、強力布陣となりました。

SYU [ VORVADOS ]



日本を代表するメロディックヘヴィメタルバンドであるGALNERYUSのキーパーソンであるSYUのソロアルバム。
2019年リリース。

「VORVADOS」とは聞き慣れない単語でありますが、意味としては「クトゥルフ神話に登場する架空の神」とのことで、そこはあまり深く堀下げずにおきましょう(←よくわかっていない)。

コンスタントにクオリティの高い作品を提示し続けているGALNERYUSですが、さらにソロアルバムをリリースとは‥SYUの創作意欲は底無しですね。

ゲストヴォーカルのラインナップは‥

Fuki (Fuki Commune / ex.LightBringer)
(摩天楼オペラ)
HARUKA (TEARS OF TRAGEDY)
団長 (NoGoD)
小野正利 (GALNERYUS)
DOUGEN (THOUSAND EYES)
AKANE LIV (LIV MOON)

どうですかこれ!私の好きなバンドばかり、まさに夢の競演といってもいい。

ギタリストのソロアルバムというと、インストアルバムだったり、自らのルーツを遡って意外性を見せるアルバムだったり、というイメージが強い。
そんな中、ゲストミュージシャンの個性を生かしつつ、SYUのメロディを堪能できるという、実に贅沢なアルバムになっています。

ソロアルバムというよりは、彼が好きなヴォーカリストを集めて、そのヴォーカリストたちに歌ってほしい曲を楽しんでいるかのようです。


オープニングのインストナンバー&タイトルトラックの[VORVADOS]
その緊張感と昂りに導かれ、アルバムの幕が落ちる。

そして劇的に幕を開けるのはFUKIちゃんによる[REASON]
GALNERYUSでも聞くことができる正統派ヘヴィメタルチューンのメロディと疾走感に、強靱なFUKIちゃんの声が重なる。
個性のせめぎ合い。
そしてそのせめぎ合いが生み出す相乗効果。
鮮烈なインパクトです。

続いては摩天楼オペラ苑さんによる[ここで区切れと天使は歌う]
もうね、このタイトルからして摩天楼オペラを意識して作ってくれてるなぁと思いますよね。
曲としては、やや変拍子を交えてのメロディとなっており、私が期待する「摩天楼オペラ的、シンフォメロスピ」とは一線を画す。
とはいえ、やはり苑さんの個性的なヴォーカルが生きる曲になっています。

TEARS OF TRAGEDYのHARUKAさんによる「暁」
ややミディアム&ヘヴィなメロディとHARUKAさんの澄んだ声のコンビネーション。
HARUKAさんはもう一曲参加していますが、その「もう一曲」の方が「らしい」かなと思いますが。

NoGoDの団長による[EUPHORIA]
団長の囁き的な声からのハイトーンシャウトで始まり、メロディアスなスピード感で駆け抜けてゆく。
歌詞も含め、なんともNoGoD的なのが嬉しい。
団長がメロディを歌うときは団長の魅力が際立ち、ギターパートではSYUの圧倒的存在感が姿を現す。

DOUGENの慟哭の咆哮とAKANE LIVのオペラティックな美声のコントラストが際立つ[Chaotic Reality]

それに続く[CACOTOPIA]
ややマイルドでありながらも芯の通った魅力的な声、ときおり聞こえる歌いまわしはGACKT風だな‥誰だこれ‥と思っていたら、なんとSYU本人。
個人的には大好きな声質で驚きました。
今回のような豪華ゲストのアルバムもいいけど、自分で歌ったアルバムでもイケるじゃないか!という期待が沸いてきます。

FUKIちゃんによるもう一曲は、ややメランコリックに舞うような[AndroiDedication]
実にキャッチー。
[REASON]のように強靱なヴォーカルもいいけど、こういったアニソン的&J-POP的な曲を歌うFUKIちゃんも魅力的なのだ。

小野さんの、小野さんによる、小野さんのために書かれたようなバラード「哀傷」
何も言うことはありません。
GALNERYUSで小野さんの魅力を知り尽くしたSYUだからこそのバラード。
自然体の小野さんのヴォーカルが堪能できます。

実質ラストを飾る[未完成の翼]
大好きなHARUKAさんの魅力全開です。
解放感を伴い、天空を舞うかのようなメロディ。自らの翼を広げ、そのメロディの中を優しく滑空するかのように舞い上がるHARUKAさんの歌声。
TEARS OF TRAGEDYの魅力でもある勇気と希望に満ちた歌詞。
この二人の組み合わせならこんな曲だろうな‥という期待通り、いや、期待以上の魅力的なコンビネーションとなっています。

‥と、立て続けに書いてしまいましたが、一言で言うと「どの組み合わせも魅力的すぎる」のです。
よくもまぁ、これだけヴォーカリストを引き立てる曲を書けたものだな‥と。

「マイホーム」であるGALNERYUSの充実に加えて、このソロでの充実っぷりは尋常じゃない。

基本的にはGALNERYUSのアルバムが素晴らしいだけで大満足なのですが、これだけのクオリティを見せてくれると次も期待してしまいますね。
そして次があるなら、SYUのヴォーカルで‥いや‥今回のメンバーも捨てがたいし‥悩ましいところですね。


SYU from GALNERYUS(GUEST VOCAL:Fuki)「REASON」





  

Posted by テン at 07:34Comments(0)国産