ヘビメタパパの書斎 › 2019年10月

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2019年10月23日

誇示か、意地か。

当てつけなのか、誇示なのか、意地なのか‥。

華々しく全世界を熱狂させたパンプキンズの裏で、別のパンプキンズも‥

MASTERPLAN [PUMPKINS]




HELLOWEENローランド・グラポウ & ウリ・カッシュを中心に、スーパーヴォーカリストであるヨルン・ランデを加えてデビューしたのが2001年。
デビューアルバムは、そのメンバーから想像するクオリティを期待通りに提示してくれた素晴らしいアルバムでした。

そのデビューからメンバーチェンジを経て、アルバムを5枚リリース。

そしてこのアルバムに至るわけですが‥これはナンバリングする必要ないでしょう。
ひとつの「企画盤」みたいなものですね。


カイが抜け、インゴがいなくなり、キスケが抜け‥満身創痍だったHELLOWEENが復活に至るプロセスの中で、ローランドの担った役割は大きかった。
そのローランドが「PUMPKINS UNITED」に呼ばれなかったことへの思いは複雑だったことでしょう。

俺もいるぞ。俺もいたぞ。

その強い思いが、このアルバムの製作へと駆り立てたのでしょうか。

基本的にはローランドが作った曲で構成されています。
ローランド在籍時は、上述したようにまさに「過渡期」だったこともあり、曲のバラエティに富んでいる。
これはバンドの変遷によるものでもあり、ローランドの多彩さによるところも大きいですね。

ヴォーカルは、最近MASTERPLANに加入したリック・アルティ
あのAT VANCEでもヴォーカルを務めている。

熱く野太い声質は、MASTERPLANではヨルン・ランデの残像を感じさせ、AT VANCEではその音楽性に寄与しています。
が、HELLOWEENの曲を歌うということは、マイケル・キスクアンディ・デリスとの比較は避けられない。
上手い/下手ではなく、その宿命は切ない。


ザックリとですが、前半はマイケル・キスク時代。後半はアンディ・デリス時代。

マイケル・キスク時代は賛否両論あった[PINK BUBBLES GO APE]。そして迷作と名高い(?)[CHAMELEON]

[The Chance][Someone's Crying]と続く一曲目~二曲目は、いきなりクライマックスの感がある。
[PINK BUBBLES GO APE]の中で、この曲たちは間違いなく際立ち、輝いていた。
カイ・ハンセンが抜けたあと、一つの道標として提示された曲だった。

[Step Out Of Hell]は、あの[CHAMELEON]の中では「良心」といえる存在だった。
[Music]のように、「こんな曲あったっけ‥?」という曲もありますが、アルバム自体がアレだったから仕方ないですかね‥。


アンディ・デリス期は、混乱と再生の初期を支えた。

[Still We Go]は、あの「アンディ・デリス with ハロウィン」とも言える強烈な個性がせめぎあう中でも存在感を放った。
アンディの新しい魅力に気付かせたくれた曲でもあり、今でも大好きな曲だ。

そしてなんといっても[The Dark Ride]
ヴァイキー本人が否定的な感想を抱いているこのアルバムですが、私は大好きだ。

ウリ作曲の[Mr. Torture]
アンディ作曲の[If I Could Fly]
ヴァイキー作曲の[All Over The Nations][Salvation]
そしてローランド作曲の[The Dark Ride]

全体的に暗い雰囲気は否めないけど、名曲揃いの名盤だと思うのです。
その中で、アルバムの雰囲気を尊重しながらもHELLOWEENらしさを提示した名曲が[The Dark Ride]なのです。


こうして並べて聞くと、ローランドがいかにバランス感覚が優れているかが分かります。
「らしくない」アルバムでは、「らしさ」をチラつかせながら良曲を提示する。
「らしい」アルバムでは、目先を変えて新鮮な空気を吹き込む。

ハロウィンのアルバムだったから埋もれていたんだな、という曲もチラホラ。
もちろん、ハロウィンのアルバムでも存在感を放った曲も多い。


どうしてもキスケやアンディの声が脳裏で再生されつつのシンクロ感はありますが、それは染みついた曲だから仕方ない。
リックのヴォーカルは素晴らしい仕事をしています。

とはいえ、このアルバムが必要だったか‥と言われると微妙なところ。
どうしても「PUMPKINS UNITED」に対してのネガティブな思いが産んだアルバムなんだろうな‥と思っちゃうし。

なんともシメの言葉のチョイスが難しいのですが、ローランドの存在が再び脚光を浴びるようなアルバムになってくれると嬉しいかな、と言うしかありません。

Masterplan- Still We Go

  

Posted by テン at 07:51Comments(0)M

2019年10月09日

一耳惚れ

「一目惚れ」「一耳惚れ」に出会えるのはシアワセなことだ。
このバンドも一聴して惚れた。イチコロだった。

SHIRAZ LANE [ CARNIVAL DAYS ]




フィンランド出身。このアルバムは2018年リリースの2ndアルバムになりますね。

北欧といえばキラキラと煌めくような北欧メタル、というイメージが強い世代の方も多いことでしょう。
そして次世代となると、北欧といえばメロディックデスメタル、という方も多いことでしょう。

もちろんそういったジャンルも相変わらず強い。

が、最近北欧を席巻している(というと大げさかな)のは、いわゆる80'sを意識したかのようなキャッチーなR&Rだ。
このキャッチーなR&Rに北欧独特の憂いのあるメロディが折り重なる相乗効果は、我々世代のハートを射抜く。

冒頭に書いた、私が「一耳惚れ」した曲は[ Harder to Breathe ]

SKID ROWを思わせるバッドボイーズR&Rをベースに、エッジのあるリフ、フックのあるメロディ、キャッチーなコーラスで畳みかけてくる。
古くもあり新しくもある。
MVも素晴らしい。

そして当然ですがアルバムを即時購入。

そして手にしたこのアルバム。

全体的な印象としては、ポジティブでスケールの大きさが際立つアルバムだなと感じます。
上述したSKID ROWを思わせる要素、FIREHOUSEを思わせるキャッチーさ、ホーンセクションを生かしたスケール感はLITTE ANGELSを思いだします。
CINDERELLAを思わせるようなブルージーな雰囲気も。

こういった時代を経てきた人にとっては、とても心地よく、なんだかワクワクするような気分にさせてくれます。
もうね、本能が喜んでいる感覚があるのです。

パーティロックのようでもあり、ジャムの延長でもあるような軽やかさが印象的なオープニングチューン[CARNIVAL DAYS]
まさにタイトルを体現したかのような曲ですね。
パーカッションやホーンセクションの彩りが楽しい!

曲調がフとMR.BIGを想起した[THE CROWN]。一転、地に足がついた骨太さを感じさせます。
この「骨太」感もこのアルバム全体を支配する特徴でもありますね。

そして続くのは冒頭に触れた一撃必殺のキラーチューン[HARDER TO BREATHE]
問答無用。カッコいいです。その一言です。

ブリティッシュな薫りが心地いい[GOTTA BE REAL]
ザラッとした触感に相反するかのように、軽やかな風が吹き抜けるかのような印象を残します。
サビで切り込んでくるのはサックスでしょうか。その軽やかさを増幅させてくれていますね。

[SHANGRI-LA]では北欧メロハーらしさを演出。
キラキラした北欧メタルというよりは、優しく穏やかに包み込んでくるようなメロディ。こういった路線も増えてきてくれると楽しみだなと思います。

力強さを感じさせる[WAR OF MINE][SHOT OF LIFE]、まさに80'sなバラード[HOPE]といった後半の曲まで飽きさせることはありません。


さまざまなベクトルの曲を詰め合わせつつも、彼らの個性の中で消化しきっている感があるので、意外とバラついた印象は少ない。
しっかりと芯が通ったアルバムだなと思います。

冒頭に触れた[HARDER TO BREATHE]は、このアルバムの中では突然変異的な曲なのかもしれない、と感じます。
全く方向性は違うけど、なんだかGuns N' Roses[Use Your Illusion]に於ける[You Could Be Mine]みたいなポジションの曲のような。


まだ若く、才能に溢れたバンドだから、今後どんな方向へ向かうこともできる。
きっとどの方向を志しても、彼らの軸はブレないような気がします。

華やかなサウンドの中に宿る強靱なスピリット。そのスピリットが彼らを導いてくれることでしょう。
楽しみなバンドに出会えてシアワセです。

Shiraz Lane - "Harder To Breathe" (Official Music Video)












  

Posted by テン at 07:42Comments(0)S