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2020年08月11日

令和の最先端

「大風呂敷」と言えるタイトル。
そこからみなぎる自信。

彼の最新作は、その大風呂敷に負けない濃密なものになりました。

THE 冠 [日本のヘビーメタル]

令和の最先端


日本ならではのヘビメタ(あえてHeavyMetalとは言わずに)を追求し、このアルバムが10枚目になるようです。
リリースは2020年。

さて、私は彼らのことはここ数年で聞き始めた後追いです。
アルバムも数枚しか持っていないので、いままでのアルバム遍歴や音楽性の遷移といった点についてはまだまだ知らないことが多い。
コアなファンの方々には、そんなある意味「ニワカ」に属する私の戯れ言としてサラリと流して頂きたいのですが‥

これは最高傑作でしょう。

密度、勢い、気合い、魂。
圧倒されるレベルでどんどん叩きつけてきます。

彼らの音楽は、コミカルさや可視化した「ヘビメタ」感。
SEX MACHINEGUNSあたりに通じるものがあるかと思います。
ある意味で「自虐的」とすら言えるものがありました。

ですが、今回は違う。
世界観は変わっていないにも関わらず、
「それがどうした」
「これが生きざま」
「これがヘビーメタル」

という自信に満ち満ちています。

冠徹弥のヴォーカルも、いつも通りハイテンションでありながら、金切り声で叫ぶ場面よりも誇らしげに堂々とした歌い方が目立つ。
そしてそれがより一層このアルバムに貫祿を与えています。


オープニングからフルスロットルの「日本のヘビーメタル」
彼ら恒例の「ヘビーメタル」シリーズですね。
「最低で最高なミュージック」「無駄なものほど美しい」
世の中で虐げられている「ヘビメタ」への強い反骨心を見せつける力強い曲になっています。

そうそう、この曲もですし、アルバム全体に言えることなのですが、サウンドが生々しい。
作られたものではなく、そのままの姿を叩きつけているような。
その生々しさがこのアルバムの魅力を押し上げている感があります。
とくにドラムがその印象が強い。

冠さんらしいコミカルな歌詞やセリフが楽しい「やけに長い夏の日」
フェスでオーディエンスが地蔵化してしまう切なさを歌っていますね。
なんだか目に浮かぶんですよ‥冠さんがフェスのステージに立って、アリーナが冷たい視線でそれを見てる姿が‥切ない歌詞が身に沁みます。

ライブでの盛り上がり必至のシンガロングでスタートする「キザミ」
荒々しくスラッシーに刻まれていくリフからの、突然空が開けていくかのようなキャッチーかつ耳障りのいいサビへ。
この展開、彼らの得意技であり、私が最初に「ビキニライン」で惚れた彼らの強力な魅力の一つだ。

その名の通り、1分で爆裂疾走、「蹂躙していく」感が爽快な「1分で」
この1分に詰め込まれて爆発させる怒り。
OUTRAGE[YOU SUCK]を思い出しますが、あの曲は2分程度だったでしょうか。
それよりも濃密だ。

歌詞が珠玉なヘヴィバラード「大人の子守歌」
囁くように始まり、哀愁と郷愁をプンプンと薫らせながら、サビでは昭和歌謡を思わせるメロディ。
歌詞との相乗効果が悲壮感を演出します。

高揚感とメロスピ的な明朗さが印象的な「だからどうした」
これはライブで盛り上がるヤツです。

そして最終盤の「メタリックロマンス」
ヘヴィメタルという沼に陥った人であれば、誰もが「すげぇ分かる!」と首がもげるほど頷きたくなる歌詞。
典型的な冠さんのメロディ。
得意のヒステリックヴォイスでのサビ。
「あなたに出会わなければ、普通の暮らしをしていたのに」
「あなたに染まるほど、まわりは引くけれど」

バンギャ目線で綴られていく歌詞の一つ一つがヘヴィメタルファンに突き刺さるのです。


ということで、捨て曲なしの隙のないアルバムになっています。
今までのアルバムは、まっとうなヘヴィメタルファンに自信を持ってオススメできるかというと、「イロモノ」扱いされそうで少し躊躇しました。

が、今作は違う。
同じ路線でありながらもヘヴィメタルと向き合うスピリットが強靱だから、こういったコミカルなバンドが苦手でもメタルファンに響くのでは‥という期待がある。

自らが「日本のヘビーメタル」を名乗り、「令和の最先端」と歌う。
それが言葉遊びで終わることなく説得力を持っている。

このアルバムを引っさげてのツアー、行きたかった‥。

そして、このアルバムの曲をしたいところですが、このご時世だからかMV作られていないんですよね‥
あとは是非ご自身で手にとり、この魅力を感じてほしいものです。



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Posted by テン at 07:24│Comments(0)国産
 
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