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2015年05月19日

Xの幻影

先日、東京出張がありましてですね。

特に大きな目玉になるような来日公演はなかたったんですがね。
(いや、The Hauntedが来てたけど、完全に忘れてた)

ライブハウスでX-JAPAN(いや、我々世代にとっては「JAPAN」のない「X」だな)のカバーバンドが出演するという情報を知り、駆けつけましたよ。
会場は目黒鹿鳴館
名前は聞いたことあったけど、行くのは初めて。
東京はたくさんライブハウスがあって、たくさんライブが見られて羨ましいですね。

twitterでメンバーにチケットの取り置きをお願いし、前売り価格2500円+ドリンク台600円。合計3100円。安いね。

急に決めたから、事前情報皆無。
とりあえずエックスのカバーバンドがメイン、あとは大阪の様式美バンドが参加するということで、それも楽しみ。

開演時間になってもスッカスカのフロアを見て不安に駆られますが、そんな中スタート!


< NORTH WIND SAGA >

オープニングは大阪のメロディック&様式美なバンド。
女性ヴォーカル、キーボードも女性。

中世から飛び出してきたような華やかなドレスを纏った姿は、いかにもジャパニーズメタル的佇まい。
たぶん、この世界観がダメな人は受け付けられないだろうなと思います。
ワタシはジャパメタ大好きだから問題なし。

そして背後に陣取るドラムの男性だけが落ち武者のようなオーラを漂わせており、きらびやかなヴォーカルとのコントラストが印象的です。

キラキラドコドコと疾走するチューンは、時にSTRATOVARIUS的だったり、ANGRA的なリフが聞こえたり、と、実に美しく攻撃的。
かなり好きなタイプのバンドです。
疾走曲を中心にセットリストを組んできてくれたのも好印象につながりましたね。

後半に出てくるバンドをメインにして、これには間に合わなかった人も多かったせいか、とにかくスカスカだったのが気の毒。
「いち、に、さん…」と数えても数えられる程度でしたからね。

それでも応援したくなるバンドでした。

ただ、女性ヴォーカルを据えてのこういうヴィジュアル、こういう音楽というのは期待通りではあるものの、競争率が高いジャンルだろうなと思うので、ここから個性を発揮して抜きんでてほしいなと思います。



< ROW★ZA >

SHOW-YAのカバーバンドでしたね。「ローザ」と呼ぶそうです。
MCによると、まだライヴは二回目とのことでしたが、それを感じさせない安定感でした。

ヴォーカルのコは、印象的には全くSHOW-YAっぽくない風情で、なんだかFUKIちゃんっぽい感じ。
特に気になったのが、イングヴェイがメガネをかけたようなスタイルのギター氏。
立ち振る舞い、見た目(とかシルエット)、ギターソロ…もう彼の一挙手一投足が気になって気になって釘付けでしたよ。

そういったメンバーの印象もあって、SHOW-YAのゴリゴリした感じとは一線を画した、華やかなショーでした。

後で登場するエックスのカバーバンドは見た目も含めてのトリビュートでしたが、このバンドは自分たちのスタイルはスタイルとして、SHOW-YAの曲を敬愛しているという印象。
これはこれでアリだなーと思いましたよ。

そして改めてSHOW-YAの曲のクオリティの高さを感じましたね。

ラスト2曲は「私は嵐」「限界LOVERS」という有名どころでシメ。
個人的には「水の中の逃亡者」を聞きたかったな。


< Belzebuth >

待望のエックスカバーバンド。
エックスのカバーといえば、X-HIROSHIMAが思い浮かぶわけですが、このバンドは初耳。
一応、バンドメンバー経由でチケットを取り置きしてもらったのですが、チケットカウンターで「どのバンドの取り置きですか?」って聞かれて
「・・(読めない)・・えっと…あの…エックスの…」
と、挙動不審になってしまいました。

バンドの紹介のときに「ベルゼビュート」って言ってた気がします。

バンドのtwitterによると「鬼カバー」とのこと。
この紹介だけでは「?」ですが、ショウを見れば何かが分かることでしょう。

このときにはフロアがずいぶん埋まってきていました。
圧倒的な女性率。しかも年代は明らかに我々世代が多数。
客層を見たときに「LOUDPARKのRECKLESS LOVEのときみたいだな…」と思いましたよ。

場内が暗転し、歓声(女性中心ですね)が上がります。

流れているイントロは「WORLD ANTHEM」でしょうか。それっぽいんですが、音がハッキリせず。

そしてオープニングは「BLUE BLOOD」
TOSHI、HIDE、TAIJIの担当のメンバーは、衣装や化粧から気合の入ったコピーっぷり。
PATAは「まぁ、そんな雰囲気のときもあったよね」という感じ。
YOSHIKIは…見かけはともかく、途中でコルセット巻いたりしてネタ的な感じでしょうか。(あまり受けてなかったけど)
しかし彼のドラミングは凄まじいものがありました。

続いて「STAB ME IN THE BACK」。エックスの中での指折りのアグレッションを誇る名曲。
お客さんも「STAB ME IN THE BACK!!!」と叫んでますよ。
もちろんワタシも背後で叫んでますよ。

さらに「オルガズム」へ。
ここで気づいた。「鬼カバー」の「鬼」とは、セットリストが鬼なのだ。きっと。

ヴォーカルはTOSHIと比べるとクリーンで、改めて「TOSHIは上手い/下手の問題じゃなくて、あの個性は唯一無二だったんだな」と感じました。
前半は違和感あったけど、徐々に耳に馴染んできましたよ。
そして煽りも上手い。というか、笑っちゃうほどコピー。
セリフの言い回し、曲のブレイクでの叫び。こちらがニマニマしてしまうのだ。

「SADISTIC DESIRE」をはさみ、まさかのイントロが!
これは「ROSE OF PAIN」!!! ワタシがエックスで一番好きな曲なのだ。
けど、長いし、まさかチョイスされないだろうなと思っていたから背中にゾクゾクしたものが走りましたよ。
すべての歌詞を記憶していたワタシは完全にカラオケ状態。すばらしい時間でした。

そして「紅」「X」という鉄板でシメ。
「X」での各種お約束、各種MC、各種煽りも完全再現。
フロアもXジャンプの嵐。

前半はバンドのテンションにフロアがついていけない感じでしたが、最終的には全部持っていった感じでしたね。

Xジャンプがあったり、お約束の振り付けがあったり、ラウパのガゼットのときに見たようなバンドギャルの高速回転イソギンチャク風ヘッドバンギングもあったり。
エックスのライブってのは、今のジャパメタの礎を築いたんだなと痛感しました。
その観客のパフォーマンスは未だにちょっと馴染めないというか入っていけませんでしたが。

そしてそのライブのスタイルは、「これがエックスのライブ」というフォーマットが確立されているからこそ、バンド側もオーディエンス側も一体になれる。
吉本新喜劇や笑点のような、鉄板の伝統芸能的な印象すら受けました。

ホント、楽しいライブだったよ。



ラストには「5X」というバンドが登場したようですが、ワタシはココで帰路へ。

その後、カラオケへ行って「ROSE OF PAIN」を歌ってきたのは言うまでもありません。

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以下、「その時代」を過ごしてきたオッサンの独り言ですが‥

やっぱりXの存在であったり影響というのは大きかったな、と痛感しました。
Xでメタルと出会ったワタシのような世代にとっては、あれこそが「メタル」だった。

が、そこから海外のヘヴィメタルと出会い、一時期は
「なんだよ、Xって海外のメタルのパクリかよ」
「Xのヴィジュアルのせいでメタルが誤解されてヘビメタって呼ばれるんだよ」
「ヘビメタって言うな。ヘビメタとヘヴィメタルは違う」

と頑になった。

おそらく今のヘヴィメタルファンの中でも、「ヘビメタ」を嫌悪し、日本のメタルをメタルと認めたくない人は多いと思う。
ワタシもそういう時期があったから、よく分かる。

けど、そこそこ一通りのメタルに触れてきて、「一周回って」ということではないかもしれないけど、Xは偉大だと思う。
いろいろな要素が絡んだとはいえ、あれだけヘヴィメタリックな曲がお茶の間に浸透するなんて奇跡だと思う。
たしかに欧州パワーメタルの要素をふんだんに取りいれているけど、それをうまく料理していると思う。
HELLOWEENのヴァイキーも「Xは俺たちの曲をマネしたから、今回はXのマネをしてピアノのイントロからパワーメタル、って曲を作ったんだ」とか言ってたし。

耽美と激烈が同居する、いわゆるヴィジュアル系の流れはやはりXが源なのだなと感じました。
彼らのキャッチコピー「PSYCHEDELIC VIOLENCE CRIME OF VISUAL SHOCK」。ホントうまくつけてるなと思います。

ワタシのブログタイトルは「ヘビメタでもヘヴィメタルでもいいじゃん。みんなにそういうジャンルに触れる機会があるといいな」という思いで、あえて洋楽ヘヴィメタル嗜好の方から嫌悪される「ヘビメタ」という言葉を使った。

この思想の根本は、もちろんXの存在にあります。
XがキッカケでHELLOWEENを知ったワタシのように。
BABYMETALがキッカケでDRAGONFORCEを知ったという最近の若者のように。

良くも悪くも「ヘビメタ」を浸透させたXは、これからも「日本のヘビメタ」の象徴であり続けるのだろうなと思いました。


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Posted by テン at 07:26│Comments(0)国産
 
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