2015年01月08日
イタリアの希望
時は遡ること10年~20年ほど前になるでしょうか。
「ジャーマンメタル」ブームがメタル界を席巻しました。
ドイツであろうがなかろうが、「ジャーマンメタル」というタタキがあれば売れる。という時代。
その流れを汲んで、そのジャーマンメタル的サウンドから派生していったバンドたちの中でも特にクサいメロディのバンドは「クサメタル」と呼ばれていました。
それを英語(というかアルファベット)で当て字をして「XaMetal」などといったキーワードが拡がっていました。
そして、その玉石混淆、なんでも売れる。といった中でもハズレのバンドは多々あり・・・
そんな「ブームに乗ってるけど、内容はキビしい・・」といったバンドは「XoMetal」と呼ばれたり・・(読み方は察してください)
前置きが長くなりましたが、個人的にその「XoMetal」の象徴がこのバンドだった。
が、このアルバムは驚きのクオリティ!
DERDIAN [ LIMBO ]

イタリア出身。いわゆるメロディックパワーメタルに属するバンドの4thになりますね。
デビューアルバムの「New Era Part 1」がリリースされたのが2004年なので、ちょうど10年になるんですね。
そうそう、この頃はジャーマンメタル的サウンドと一線を画したRHAPSODYやLABYLINTHといったイタリアンパワーメタルが話題を呼んでいた頃でしょうか。
その中にこのDERDIANやHEIMDALLといったバンドがいたのです。
そしてクオリティは冒頭に述べた通り「・・・」なものだった。
違う意味でインパクトを残してくれたバンドたちだった。
が。
それから10年を経てのこのアルバム。
素晴らしいです。
何を聞いても「あー、こんな感じね」といった飽和状態だったメロディックパワーメタル界において、久しぶりのヘヴィーローテーションとなりました。
ここ数年の中での、このジャンルの中での最高峰と言えるのではないでしょうか。
RHAPSODYのような、ドラマティックな高揚。
LABYLINTHのような、シリアスでありながらキャッチーな疾走感。
そういったイタリアンパワーメタルの美味しいところが脳裏をよぎりつつも、他とは違う個性を見せてくれています。
メロディックパワーメタル的疾走感を携えているのですが、どことなくマイルド。
劇的世界を構築しているのですが、どことなくメルヘンチック。
大げさすぎず、中庸をいく匙加減が絶妙なのだ。
そのサウンドに大きく貢献しているのは、ヴォーカルの声質でしょうかね。
暑苦しいわけではなく、温かみのある声。
その温かみの中に宿る力強さ。
サビでの安定感もさることながら、中音域のナチュラルなパートが実に心地よいのです。
そう、この「心地よさ」がこのアルバムのポイント。
いわゆるパワーメタルでは、基本的に「心地よさ」を求めない。
とにかく「劇的」「疾走」「大仰」といったものこそがその真骨頂だから。
が、このアルバムは、そういったキーワードはシッカリ押さえつつも、バランスを重視した安定感と心地よさがある。
これが新鮮なのだ。
オープニングから繋がるファストチューン[DRAGON LIFE]。これを聞いたときには「あー、RHAPSODY系ね。まぁ以前よりずいぶん良くなってるけどね」という二番煎じ的感触。
が、徐々にアルバムを聞き進めていくと「・・おいおい、これ単なる二番煎じじゃないぞ。ホントにあのDERDIANかよ?」という驚きが生まれてきます。
[LIGHT OF HATE]での直線的疾走感+ドラマティックなサビ。
ここで「なんだよ、典型的パワーメタルなのにこの心地よさは!」という、このアルバムの魅力に気づくことになります。
そしてラスト前~ラストに配置された2曲が「・・このアルバム、パワーメタル史に残るんじゃないか」と印象づけてくれます。
パワーバラードのようなスローでセンチメンタルなオープニングから劇的なドラマを見せる[HYMN OF LIBERTY]。
パワーメタルというジャンルの中では、ここ数年で一番の衝撃を受けた名曲と言っていいでしょう。
それに続くのが、これまた名曲[SILENT HOPE]。
やはりパワーメタル的ドコドコ感が基本でありつつ、メロディックハードを聞いているような胸キュン感との相乗効果はラストを飾るにふさわしい盛り上がりと余韻を残してくれます。
この二曲はセットでこそその魅力を発揮します。
この[HYMN OF LIBERTY]~[SILENT HOPE]の流れ。
個人的に人生最高の傑作と思っている、ROYAL HUNTの[PARADOX]で見せる終盤のドラマを想起するのです。
ジャンルは全然違うけど、それに並ぶレベルなのです。
昂る感情を意図的に抑えることで、そのドラマ性をパッケージングしたような。
そのパッケージングした高揚感が胸の中で燻り蠢く。
そしてその高揚感がラストに向けての優しいサウンドで少しづつ溶解していく。
この感覚、他では味わえません。
冒頭に書いたような時代を知っている人は、ワタシと近い世代だと思う。
そして、その時代を体感してきた人は、もうこのジャンルにある程度の限界を感じている人もいるんじゃないかと思う。
が、そういった時代を経てきた人にこそ、このアルバムを聞いてほしい。
そして、以前の「残念」なDERDIANの印象が強い人にも聞いてほしい。
まだまだ大きな可能性が残されていることを感じ、「やっぱりこういう音が大好きなんだよね」と再認識できることでしょう。
イタリアンメタル、いや、パワーメタル界に残る名作です。
Derdian - Hymn Of Liberty
Derdian - Silent Hope
「ジャーマンメタル」ブームがメタル界を席巻しました。
ドイツであろうがなかろうが、「ジャーマンメタル」というタタキがあれば売れる。という時代。
その流れを汲んで、そのジャーマンメタル的サウンドから派生していったバンドたちの中でも特にクサいメロディのバンドは「クサメタル」と呼ばれていました。
それを英語(というかアルファベット)で当て字をして「XaMetal」などといったキーワードが拡がっていました。
そして、その玉石混淆、なんでも売れる。といった中でもハズレのバンドは多々あり・・・
そんな「ブームに乗ってるけど、内容はキビしい・・」といったバンドは「XoMetal」と呼ばれたり・・(読み方は察してください)
前置きが長くなりましたが、個人的にその「XoMetal」の象徴がこのバンドだった。
が、このアルバムは驚きのクオリティ!
DERDIAN [ LIMBO ]

イタリア出身。いわゆるメロディックパワーメタルに属するバンドの4thになりますね。
デビューアルバムの「New Era Part 1」がリリースされたのが2004年なので、ちょうど10年になるんですね。
そうそう、この頃はジャーマンメタル的サウンドと一線を画したRHAPSODYやLABYLINTHといったイタリアンパワーメタルが話題を呼んでいた頃でしょうか。
その中にこのDERDIANやHEIMDALLといったバンドがいたのです。
そしてクオリティは冒頭に述べた通り「・・・」なものだった。
違う意味でインパクトを残してくれたバンドたちだった。
が。
それから10年を経てのこのアルバム。
素晴らしいです。
何を聞いても「あー、こんな感じね」といった飽和状態だったメロディックパワーメタル界において、久しぶりのヘヴィーローテーションとなりました。
ここ数年の中での、このジャンルの中での最高峰と言えるのではないでしょうか。
RHAPSODYのような、ドラマティックな高揚。
LABYLINTHのような、シリアスでありながらキャッチーな疾走感。
そういったイタリアンパワーメタルの美味しいところが脳裏をよぎりつつも、他とは違う個性を見せてくれています。
メロディックパワーメタル的疾走感を携えているのですが、どことなくマイルド。
劇的世界を構築しているのですが、どことなくメルヘンチック。
大げさすぎず、中庸をいく匙加減が絶妙なのだ。
そのサウンドに大きく貢献しているのは、ヴォーカルの声質でしょうかね。
暑苦しいわけではなく、温かみのある声。
その温かみの中に宿る力強さ。
サビでの安定感もさることながら、中音域のナチュラルなパートが実に心地よいのです。
そう、この「心地よさ」がこのアルバムのポイント。
いわゆるパワーメタルでは、基本的に「心地よさ」を求めない。
とにかく「劇的」「疾走」「大仰」といったものこそがその真骨頂だから。
が、このアルバムは、そういったキーワードはシッカリ押さえつつも、バランスを重視した安定感と心地よさがある。
これが新鮮なのだ。
オープニングから繋がるファストチューン[DRAGON LIFE]。これを聞いたときには「あー、RHAPSODY系ね。まぁ以前よりずいぶん良くなってるけどね」という二番煎じ的感触。
が、徐々にアルバムを聞き進めていくと「・・おいおい、これ単なる二番煎じじゃないぞ。ホントにあのDERDIANかよ?」という驚きが生まれてきます。
[LIGHT OF HATE]での直線的疾走感+ドラマティックなサビ。
ここで「なんだよ、典型的パワーメタルなのにこの心地よさは!」という、このアルバムの魅力に気づくことになります。
そしてラスト前~ラストに配置された2曲が「・・このアルバム、パワーメタル史に残るんじゃないか」と印象づけてくれます。
パワーバラードのようなスローでセンチメンタルなオープニングから劇的なドラマを見せる[HYMN OF LIBERTY]。
パワーメタルというジャンルの中では、ここ数年で一番の衝撃を受けた名曲と言っていいでしょう。
それに続くのが、これまた名曲[SILENT HOPE]。
やはりパワーメタル的ドコドコ感が基本でありつつ、メロディックハードを聞いているような胸キュン感との相乗効果はラストを飾るにふさわしい盛り上がりと余韻を残してくれます。
この二曲はセットでこそその魅力を発揮します。
この[HYMN OF LIBERTY]~[SILENT HOPE]の流れ。
個人的に人生最高の傑作と思っている、ROYAL HUNTの[PARADOX]で見せる終盤のドラマを想起するのです。
ジャンルは全然違うけど、それに並ぶレベルなのです。
昂る感情を意図的に抑えることで、そのドラマ性をパッケージングしたような。
そのパッケージングした高揚感が胸の中で燻り蠢く。
そしてその高揚感がラストに向けての優しいサウンドで少しづつ溶解していく。
この感覚、他では味わえません。
冒頭に書いたような時代を知っている人は、ワタシと近い世代だと思う。
そして、その時代を体感してきた人は、もうこのジャンルにある程度の限界を感じている人もいるんじゃないかと思う。
が、そういった時代を経てきた人にこそ、このアルバムを聞いてほしい。
そして、以前の「残念」なDERDIANの印象が強い人にも聞いてほしい。
まだまだ大きな可能性が残されていることを感じ、「やっぱりこういう音が大好きなんだよね」と再認識できることでしょう。
イタリアンメタル、いや、パワーメタル界に残る名作です。
Derdian - Hymn Of Liberty
Derdian - Silent Hope
Posted by テン at 07:30│Comments(0)
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