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2020年07月20日

進化の渦中

アーティストは貪欲だ。
現状に満足することなく進化を求める。(金太郎飴的なサウンドの継承が魅力のバンドもいますが‥)

このバンドも、その進化の渦中のようです。

DYNAZTY [ THE DARK DELIGHT ]




スウェーデン出身。
2020年発表の7thになりますね。

もともとはキャッチーなハードロック主体でしたが、4thアルバムである[Renatus]で新たなステージへ。
持ち前のメロディの魅力と、モダンな装飾との相乗効果でバンドの個性を確立しました。

続く[Titanic Mass]、そして[Firesign]を経て‥
今のサウンドを言葉にするならば、「メロディックモダンヘヴィネス」ってところでしょうか。

徐々にバランスは「モダン」にウェイトを置くようになってきた感があります。

ヴォーカルのニルスは2017年にAMARANTHEに加入し、二足の草鞋。
音楽性の遷移はこのタイミングと無縁ではないかもしれません。

DYNAZTYファンは
「AMARANTHEよりもDYNAZTY優先で頼みます」
「AMARANTHEが楽しくてDYNAZTY脱退なんてことになったら困る」

といった懸念があったかと思いますが(私です)、今のところその心配はなさそうです。

ポジティブにとらえれば、それがクリエイティブさに拍車をかけている‥と思いたいところです。


アルバムは、ややヘヴィなうねりを持ったメロディが印象的な[PRESENCE OF MIND]で幕を開けます。
今作に至るまでの過渡期だったと言える前作/前々作のオープニングが[THE HUMAN PARADOX][BREATHE WITH ME]といった彼ららしいヘヴィネスとメロディを纏ったアグレッシヴなチューンだったことを思うと、やや「ん?」という印象。
そんなやや肩すかしの印象、そして「だよな‥こういう路線になるよな‥」という、ここ数作の流れを汲めば納得という感が入り乱れる複雑なところです。

シンフォニックヘヴィ色が強い[PARADISE OF THE ARCHITECT]
サビの高揚感はまさにDYNAZTY。
旧知のファンにとっては、こういった音色がDYANAZTYの現在地として最も受け入れやすく魅力を感じるかもしれませんね。

[FROM SOUND TO SILENCE]で聞こえてくるのはAMARANTHE的な薫り。

軽やかに弾むかのようなキーボードの音色に導かれるイントロダクションが印象的な[HEARTLESS MADNESS]
メロディックハードロック的魅力が咲き乱れる、このアルバムの中では異色のチューン。

カッチリとしたストロングなメロディラインと勇壮なサビの[WATERFALL]
流麗なギターソロ、ラストに向かって音階を上げて駆け上がっていく様に昂りを覚えます。

[THE MAN AND THE ELEMENTS]ではパイレーツ的というかヴァイキング的なリフ。
バグパイプを奏でるかのようなリズムギターが新たな魅力を演出しています。

名作[Renatus]の頃の魅力が強く漂う[APEX]
緩急のつけ具合、静動のスイッチ、ガッツ&メロディに満ちたサビ。いかにも彼ららしい曲となっています。


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個人的に、どんなアルバムであれオープニングトラックの印象はけっこう大きい。
印象的、魅力的な曲で幕をあけるアルバムは「あぁ、あの曲のアルバムだな」という印象が残りやすい。

そういった意味では、今作は今までのDYNAZTYを思うと印象としては弱いかなというのが正直なところ。

が、上述している通り、彼らのメロディは健在だ。
アルバムのジャケットのイメージ通り、ややダークな色あいを帯びつつ、モダンかつヘヴィに彩られた音像は、もしかしたら普遍的メタルファンには今まで以上に評価される可能性がある。


さすがに[LAND OF BROKEN DREAMS]のような曲を今も求めるファンは少ないと思う。
けど、[STARLIGHT][RUN AMOK]といったチューンに彼らの魅力を見いだしているファンにとっては、まだその路線を期待している人もいると思う。
華やかに縦横無尽にメロディの絨毯を敷きつめたかのような密度の曲たち。

進化し、懐が広くなった彼らだけど、そのポテンシャル、その魅力は充分残っている。


DYNAZTY - Heartless Madness (2020) // Official Lyric Video // AFM Records


  

Posted by テン at 07:19Comments(0)D

2019年07月19日

オトナの階段登る

まるでヤンチャぼうずがオトナになっていくような‥そんなフクザツな感慨を抱いている人も多いのではないでしょうか。
すっかり中堅の域に達してきた彼らの「今」は‥。

DRAGONFORCE [REACHING INTO INFINITY]




イギリス出身、圧倒的スピード感がウリでデビューした彼らも7作目ですね。
2017年リリース。

ヴォーカルがZPサートからマーク・ハドソンにチェンジして3作目になるでしょうか。
もう折り返し地点が近いわけですね。


あの衝撃のファーストアルバムのリリースが2003年

「速いだけ」
「ピロピロ(笑)」
「好きなだけツーバス踏んどけ(笑)」


という嘲笑のマトだった彼らですが、そんな彼らが大好きでした。

そしてその疾走感は基本的にブレることなく、それを機軸に多様なベクトルを身につけてきました。
とくにマーク加入後は、その安定&幅広いヴォーカルスタイルが成長するにつれ、その音楽性も幅広くなった感があります。

その「疾走一辺倒」からの脱却が賛否あるところではないでしょうか。

かくいう私も
「あぁ、なんか彼らもオトナになったなぁ」
「いろんなことを器用にこなすようになったなぁ」
「得意のスピードチューンの中にも安定感が光るなぁ」

という感慨深さと、初期のハッチャケ感が希薄になった寂しさとが同居しているここ数作なのです。

圧倒的疾走感があっても、荒々しさよりも落ち着きを感じてしまうというか。
それこそが「成長」なのだろうとは思うのですが。


穏やかひ爪弾かれるイントロから徐々に勇壮に昂っていく「序曲」と言える[Reacing into Infinity]
そこから導かれるオープニングチューン[Ashes of the Dawn]
DragonForceらしい疾走感というよりは、正統派ヘヴィメタルチューンと言えるのではないでしょうか。
ややシリアスに展開していく力強さが印象的です。
このあたりも「オトナになったDragonFoce」の新しい魅力でしょうか。

一転、「んもー!ドラフォ節っ!」と言いたくなっていまう[Judgement Day]
前任のZPサートが抜ける要因になったとかならないとか言われている、圧倒的スピード感に矢継ぎ早に歌詞を乗せてくるスタイル。
ピロピロピロピロピロギューンギューンギューン!という「らしさ」も全開です。
この「躁」感こそがドラゴンフォースの魅力だ。

続く[Astral Empire]もスピードチューン。
これもいわゆるドラフォ節とは若干異なり、ソリッドなキレで勝負している感がある。
スピード感の中にも変化を織りまぜているのだ。

[Curse of Darkness]は、ここ数作で彼らが得意としているタイプの曲。
彼らにしてみればややミディアムな曲調(とはいえ充分速いですが)の中に、ドラマティックな展開を織りまぜる。
こういった曲で「彼ららしいな」と思えるようになっているのが成長の証でしょう。

[Midnight Madness]での「底抜けに明るいスピード感」も初期から彼らの魅力であるタイプの曲。
サビ手前でテンポを落としてくるあたりがグっとくるのです。

そしてボーナストラックとして収録されている、ZIGGY[GLORIA]
この出来が秀逸なのだ。
英語と日本語をミックスし、曲の魅力を損なうことなく、彼らの魅力がアドオンされています。
原曲が大好きだから、DRAGONFORCEが大好きだから、という相乗効果があることは差し引いたとしても、実に素晴らしいのです。


ということで、冒頭で「オトナになった」と言っておきながら今さらなのですが、こうして書いているとやっぱり「速い曲が多い」のだ。
やっぱりDragonForceはDragonForceなのだ。

アルバム全体での印象となると「ちょっと丸くなったな」「落ち着いちゃったな」という印象が残るのですが、初期の幻影に踊らされているだけなのだ。

どれだけ叩かれようが、どれだけバカにされようが、自分の信じたサウンドを追い続けている彼ら。
そしていつしかその信念は彼らの旗印として認知されるようになった。
続けるってことは大切なのだ。


DragonForce - Ashes of the Dawn (Official Music Video)



DragonForce - Gloria
  

Posted by テン at 07:49Comments(0)D

2017年03月03日

ミュージカル的世界

メタルかどうか。
ハードロックかどうか。
いろいろなところで境界線を引かれることが多いわけですが、このアルバムもそういったターゲットになりそうな‥

DARK MOOR / PROJECT X



スペイン出身。
このアルバムは2015年リリース、節目となる10作目
タイトルの「X」は、この10作目という節目にも絡んでいるのでしょうか。

2ndアルバムである[The Hall of the Olden Dreams]では、「クサい。クサすぎて異臭騒ぎが起きるレベル」という評判で一気に知名度があがりました。
かくいうワタシも、このアルバムがキッカケでした。

が、そのアルバムの印象を強く支えていたエリサ嬢は次の3rdで脱退。
新たにアルフレッドを迎えて歩み始めたバンドは、その後、試行錯誤を繰り返しますが‥

6作目となる名作[TAROT]で確固たるスタイルを確立。
最近になって、まさかの来日公演を経て、今に至ります。


エリサ嬢が在籍していた頃は、スペインらしい情熱とヒロイックなパワーメタルで、その筋のファン(ワタシです)を狂喜乱舞させたわけですが、その後は若干シンフォニックな路線へシフト。
シリアスさも出てきて「なんだか落ち着いちゃったなー」と感じていた方も多いことでしょう。

基本的には、そういったシンフォニックな路線を継承したアルバムとなっています。
しかもコンセプトアルバムということで、その路線がフィットして統一感がある印象です。

こういったアルバムでは、時折「オペラティックな」という表現を用いるわけですが、オペラというよりはミュージカルを通して見ているような。
‥ミュージカル見たことないんですがね。
柔和でスケールの大きな世界観が描かれています。

そんな印象もあって、メタル感、もっと言えば、DARKMOORらしい濃厚なパワーメタル感は希薄。
もともとの「DARKMOOR像」との乖離もあって、冒頭のような「コレ、もうメタルじゃないんじゃないの」という印象を抱かれる方もいるかもしれません。


冒頭を飾る[NOVEMBER 3023]
近未来をイメージしたコンセプトアルバムの幕開けとしては申し分ないでしょう。
DARKMOORらしい昂りを期待させるイントロダクションです。

続く[ABDUCTION]。シリアスで適度なスピード感を伴い、スケールの大きなサビ。
最近の彼ららしい曲となっていますね。
オープニングとしては若干パンチが弱い感もありますが、まぁコンセプトアルバムの出だしと思えば問題ないでしょう。

そしてアルバムを象徴する曲といえる[BEYOND THE STARS]へ。
「・・なんだ、この明るくてポジティブなメロディとハーモニーは」と思ってしまいますが、何度も聞けば、むしろこういったイメージこそがこのアルバムを支えています。
バックコーラスもまさにミュージカル的。

[I Want To Believe]でも、劇場の中休み的なイメージ。
役者が一列にならんでコーラスしているようなシーンが浮かんできます。

[Bon Voyage!]も、[BEYOND THE STARS]と並んで、このアルバムを象徴する曲ですね。
穏やかな曲調の中にも、彼ららしい「クサさ」が溢れ出ています。
途中でまさにミュージカル的な拍手が入っていたりして、らしさと斬新さが共存する、フクザツな心境でありながらも惹かれていく。そんな曲です。
フックのあるギターも印象的。

強靱なリフでスタートする[Gabriel]。が、やはり徐々に穏やかなメロディに包まれていく構成が魅力的です。

ラストを飾る[There's Something In The Skies]
壮大なオーケストレーション。大仰なメロディと歌いまわし。
オペラのエンディングを思わせるような世界感。
かと思えば、QUEENを思わせるようなメルヘンチックなアレンジ。
さらには突如として[TAROT]時代を思わせるようなDARKMOORらしいクサいコーラス。

まさにこのアルバムを締めるのにふさわしい曲となっています。


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なんとも評価が難しい、評価が割れそうなアルバムだなと感じました。
「ミュージカルのような」「オペラのような」という表現を多用してしまいましたが、まさにそういう印象のアルバム。
「パパン!パン!パパン!パン!」なんてリズムの拍手が入るメタル、あんまりない気がします。
メタルならではの、鋭利さや重厚さは控えめ。


とはいえ、彼ららしいメロディは全く違う形でではありますが、充分に聞くことができます。

個人的には、ここ数作で印象の薄かったアルバムたちに比べると、新しい個性、彼らのメロディを生かす一つの選択肢として提示されたこのアルバムは素晴らしいと感じました。
10作目という節目だからこそ、と思えば。
‥コレが続くと厳しいかなーとは思いますが。

なんだかんだで「どこを切っても、やっぱりDARKMOOR」と感じさせるだけの強いオリジナリティを持ってるんだな、ということも再認識できました。

エリサ嬢脱退後のアルバムが許容範囲の方であれば、一度手にとってみてもいいのではないでしょうか。


Dark Moor - Bon Voyage!










  

Posted by テン at 07:08Comments(0)D

2016年03月11日

新たな一歩

ホント、北欧という地域は懐が深い。
メロデスからキラキラ北欧メタルから、こういったキャッチーなバンドまで。
このバンドも、その北欧の若手の旗手と言ってもいいでしょう。

DYNAZTY [RENATUS]



スウェーデン出身。これが4thになるようですね。

もともとはキャッチー&ややグラマラス、そして北欧独特の憂いを帯びた‥という、THE POODLESRECKLESS LOVEあたりに通じるムードを持っていた彼ら。
3rdまではその路線が中心でしたね。

この3rdまでのアルバムも素晴らしいので、またそのうち触れるとして‥

この4thアルバムで大きく化けました。
ポジティブに捉えればスケールアップしたとも言える。
ネガティブに捉えれば今までの魅力を消したとも言える。

捉え方によって賛否は分かれるところでしょう。

ワタシ個人としては音楽的路線でいえば3rdまでの方が好みだと思う。
が、この4th、そのスタイルチェンジについても有無を言わさす説き伏せるだけの説得力がある。

モダンかつヘヴィなリフ。
デジタルな装飾。

今までのファンにとってネガティブに受け取られるであろう要素を中心に組み立てていながら、しかし、そのメロディの質が素晴らしい。
骨太かつストロングに彩られた剛直なヘヴィメタルに、AMARANTHEあたりを思わせるキーボードの浮遊感。
そしてもともと持ち合わせたメロディセンスのバランスが絶妙なのだ。

一気に正統派ヘヴィメタル路線に舵を切りつつ、彼らの魅力は失っていない。

オープニングに配置された[CROSS THE LINE]
3rdまでの彼らを知る人、そしてそのサウンドが好きだった人にとっては衝撃的であることが想像に難くありません。
淡々とザクザクと刻まれるモダンなリフ。ややダークなムード。
が、サビでは力強さとキャッチーさが顔を覗かせ、多少の安堵を覚えることになるでしょう。

続く[STARLIGHT]。このアルバムの象徴ともいえる曲でしょうか。
ヘヴィなリフは今までの彼らとは異なる個性を放っていますが、サビで一気に空間を開放し、その空間を彩り、飛翔していくかのようなスケールの大きさ。
「こんなことができたのか!」という驚きと、強烈なフックを伴うメロディが新しい彼らを印象づけていきます。

[DAWN OF YOUR CREATION]は、冒頭に例えたAMARANTHEに近いメロディでしょうか。
それでもサビでのドライヴ感はやはり彼らならでは。

[RUN AMOK]は、[STARLIGHT]と並んでこのアルバムのキラーチューン。
[STARLIGHT]と同系統、鮮やかに煌びやかな彩りの中を突き抜けていくような爽快感が漲ります。
このあたりのスペーシーな空間の構築は、このアルバムの特徴と言えるでしょう。

[SALVATION]はパワーメタルのような力強さを纏っています。
こういった曲も新しい顔といえるでしょうか。


といった具合に、今までの路線とは異なり、新たなスタートと言っても過言ではないかもしれません。
3rdまでの路線も素晴らしかったのですが、同郷および周辺国ではその路線のバンドは多く、そこに居すわるよりも新しい一歩を踏み出した、ということでしょうか。

が、その劇的な変化に失望したファンも多いかもしれません。

個人的にはどちらの路線も素晴らしいと思います。
そして、この新しい一歩から次の一歩へ進んでくれることを期待しています。


Dynazty - Starlight

  

Posted by テン at 07:07Comments(0)D

2015年01月08日

イタリアの希望

時は遡ること10年~20年ほど前になるでしょうか。
「ジャーマンメタル」ブームがメタル界を席巻しました。
ドイツであろうがなかろうが、「ジャーマンメタル」というタタキがあれば売れる。という時代。

その流れを汲んで、そのジャーマンメタル的サウンドから派生していったバンドたちの中でも特にクサいメロディのバンドは「クサメタル」と呼ばれていました。
それを英語(というかアルファベット)で当て字をして「XaMetal」などといったキーワードが拡がっていました。

そして、その玉石混淆、なんでも売れる。といった中でもハズレのバンドは多々あり・・・
そんな「ブームに乗ってるけど、内容はキビしい・・」といったバンドは「XoMetal」と呼ばれたり・・(読み方は察してください)

前置きが長くなりましたが、個人的にその「XoMetal」の象徴がこのバンドだった。
が、このアルバムは驚きのクオリティ!

DERDIAN [ LIMBO ]




イタリア出身。いわゆるメロディックパワーメタルに属するバンドの4thになりますね。
デビューアルバムの「New Era Part 1」がリリースされたのが2004年なので、ちょうど10年になるんですね。

そうそう、この頃はジャーマンメタル的サウンドと一線を画したRHAPSODYLABYLINTHといったイタリアンパワーメタルが話題を呼んでいた頃でしょうか。

その中にこのDERDIANHEIMDALLといったバンドがいたのです。
そしてクオリティは冒頭に述べた通り「・・・」なものだった。
違う意味でインパクトを残してくれたバンドたちだった。

が。

それから10年を経てのこのアルバム。

素晴らしいです。

何を聞いても「あー、こんな感じね」といった飽和状態だったメロディックパワーメタル界において、久しぶりのヘヴィーローテーションとなりました。
ここ数年の中での、このジャンルの中での最高峰と言えるのではないでしょうか。

RHAPSODYのような、ドラマティックな高揚。
LABYLINTHのような、シリアスでありながらキャッチーな疾走感。
そういったイタリアンパワーメタルの美味しいところが脳裏をよぎりつつも、他とは違う個性を見せてくれています。

メロディックパワーメタル的疾走感を携えているのですが、どことなくマイルド。
劇的世界を構築しているのですが、どことなくメルヘンチック。

大げさすぎず、中庸をいく匙加減が絶妙なのだ。

そのサウンドに大きく貢献しているのは、ヴォーカルの声質でしょうかね。
暑苦しいわけではなく、温かみのある声。
その温かみの中に宿る力強さ。

サビでの安定感もさることながら、中音域のナチュラルなパートが実に心地よいのです。

そう、この「心地よさ」がこのアルバムのポイント。
いわゆるパワーメタルでは、基本的に「心地よさ」を求めない。
とにかく「劇的」「疾走」「大仰」といったものこそがその真骨頂だから。

が、このアルバムは、そういったキーワードはシッカリ押さえつつも、バランスを重視した安定感と心地よさがある。
これが新鮮なのだ。

オープニングから繋がるファストチューン[DRAGON LIFE]。これを聞いたときには「あー、RHAPSODY系ね。まぁ以前よりずいぶん良くなってるけどね」という二番煎じ的感触。
が、徐々にアルバムを聞き進めていくと「・・おいおい、これ単なる二番煎じじゃないぞ。ホントにあのDERDIANかよ?」という驚きが生まれてきます。

[LIGHT OF HATE]での直線的疾走感+ドラマティックなサビ。
ここで「なんだよ、典型的パワーメタルなのにこの心地よさは!」という、このアルバムの魅力に気づくことになります。

そしてラスト前~ラストに配置された2曲が「・・このアルバム、パワーメタル史に残るんじゃないか」と印象づけてくれます。

パワーバラードのようなスローでセンチメンタルなオープニングから劇的なドラマを見せる[HYMN OF LIBERTY]
パワーメタルというジャンルの中では、ここ数年で一番の衝撃を受けた名曲と言っていいでしょう。

それに続くのが、これまた名曲[SILENT HOPE]
やはりパワーメタル的ドコドコ感が基本でありつつ、メロディックハードを聞いているような胸キュン感との相乗効果はラストを飾るにふさわしい盛り上がりと余韻を残してくれます。

この二曲はセットでこそその魅力を発揮します。

この[HYMN OF LIBERTY]~[SILENT HOPE]の流れ。
個人的に人生最高の傑作と思っている、ROYAL HUNT[PARADOX]で見せる終盤のドラマを想起するのです。
ジャンルは全然違うけど、それに並ぶレベルなのです。

昂る感情を意図的に抑えることで、そのドラマ性をパッケージングしたような。
そのパッケージングした高揚感が胸の中で燻り蠢く。
そしてその高揚感がラストに向けての優しいサウンドで少しづつ溶解していく。
この感覚、他では味わえません。


冒頭に書いたような時代を知っている人は、ワタシと近い世代だと思う。
そして、その時代を体感してきた人は、もうこのジャンルにある程度の限界を感じている人もいるんじゃないかと思う。

が、そういった時代を経てきた人にこそ、このアルバムを聞いてほしい。
そして、以前の「残念」なDERDIANの印象が強い人にも聞いてほしい。

まだまだ大きな可能性が残されていることを感じ、「やっぱりこういう音が大好きなんだよね」と再認識できることでしょう。

イタリアンメタル、いや、パワーメタル界に残る名作です。


Derdian - Hymn Of Liberty




Derdian - Silent Hope








  

Posted by テン at 07:30Comments(0)D

2014年02月28日

まるっきりパラダイス

ちょっと前にVAN HALENからサミー・ヘイガーが脱退してデイヴ・リー・ロスが復帰しましたね。

ワタシは個人的には「VAN HALENはサミーだろ!デイヴの声でDreamsとか聞けねーだろ!」と、やや残念だったのですが、わりと世間的には好意的に受け入れられたようですね。
デイヴはどうしてもこのアルバムの印象が強すぎてですねぇ・・

David Lee Roth [Skyscraper]




VAN HALENを脱退したダイヤモンド・デイヴこと、デイヴ・リー・ロスのソロアルバム。
1988年リリースらしいですね。
そうだよなー。高校生の頃だったからなー。たしか。

このアルバム、まだハードロック/ヘヴィメタルといったコトバも知らない頃に聞いたのです。
本といえばFMステーション、テレビではMTV、ラジオでエアチェック・・といった時代ですね。
その当時は洋楽を聞き始めたばかりで、貪欲にいろいろ聞いていました。
ヒューイルイス、ブライアンアダムス、カッティングクルー・・・とかに混じって、BON JOVIとかEUROPEとかWHITESNAKE、そしてこのアルバムにも出会いました。

当時の記憶を掘り返すと、「元気で勢いのあるアルバムだなー」という感覚でリピートしていた気がします。

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さて、昔話はさておき。

ある程度のメタル遍歴を経て改めて聞いても、なかなかの良盤だと思うのです。
デイヴの個性が色濃く反映されていて、彼が在席していた頃のVAN HALENよりもこのアルバムの方が好きだ。

そしてビリー・シーンスティーヴ・ヴァイが参加している、というのも後に知って驚愕したものです。

なんといっても「まるっきりパラダイス」こと[JUST LIKE PARADISE]の印象が強くて、「パーティロック」的なイメージが残るアルバムなのですが、それだけではなく意外(?)と骨太な面も見せてくれてますね。

[JUST LIKE PARADISE][STAND UP]のような、いかにもダイヤモンド・デイヴといったナンバー。
最初に書いた通り、ワタシの中ではこういった姿こそがデイヴであり、VAN HALANにいるデイヴは何か違和感があるのだ。

そういったナンバーの中で、[SKYSCRAPER]のようなシリアスはハードロックチューンがより存在感を増しています。

ズンズンズンズンと匍匐前進していくかのような印象を残す[THE BOTTOM LINE]も強いインパクトを残していますね。


いわゆる「アメリカンハード」とは一線を画し(まぁ、なにをもって「アメリカンハード」と括るかは個人差があるかと思いますがね)、華やかさがありならがLAメタルの華やかさとは異なり、ポップかつキャッチーな面もありつつ産業ロックが持ち合わせるメロディとは異なり・・
デイヴ・リー・ロスという個性が一つのジャンルになっているんだなと思うのだ。

だからこそ、ワタシは「VAN HALANにデイヴ」という組み合わせに違和感を覚えるのだと思う。
そのくらい、このアルバムの印象は強い。

改めて聞くと、メンツがメンツだけに適度な緊張感も漂っているように思える。
音楽的にも、そういった空気も含めて、「まるっきりパラダイス」的な軽さを覚えた第一印象とは異なり、絶妙なバランスで構築されている気がするのです。


David Lee Roth - Just Like Paradise



  

Posted by テン at 07:09Comments(0)D

2013年11月19日

まさか、の‥

「まさかの!」と言うべきか。
「ついに!」と言うべきか。

大騒ぎになるわけでもなく、大々的なアナウンスがあるわけでもなく、細々と、本当にヒッソリと、来日公演が決まりました。
正直、「今じゃないだろ」「もう○○年早かったらなー」という感は否めないわけですが。

というわけで、そのバンドの最新作を。

DARKMOOR [ARS MUSICA]



スペイン発。
なんだかんだで9枚目になりますか。早いもんですね。

エリサ嬢がヴォーカルだった2nd~3rdあたりでは「クサすぎて異臭騒ぎになる」と言われたほどのメロディで加速度的にファンのココロを鷲掴みにしてきた彼ら。
「クサすぎる」というキーワードは、ワタシのようなB級メロスピを愛する人には最上級の賛辞といえる。
そして「鷲掴みにした」と言っても、ワタシのようなB級メロスピを愛する人のココロだけだったかもしれないが、別にいいのだ。

その後、エリサ嬢が脱退してから、その「極上B級のクサさ」が徐々に薄くなっていったことで、少しファン層が変わってきたのではないかと思う。
もっとバッサリ言ってしまえば、そのころのファンで既に見限ってしまった人もいるかもしれない。

が、個人的にはエリサ嬢が抜けてからの6thとなる[TAROT]が一番の名作だと思っているので、まだ一応追いかけていた。
が、やはりここ数作の作風の変化には戸惑いを隠せない。

そんな中、唐突に来日公演が決まった。

結婚前には月イチ程度のペースでライブに通ったワタシではあるが、結婚してからというもの、年に一度のLOUDPARK以外は極力ライブを封印してきた。
まぁ「封印」なんてカッコイイ言葉で表現しなくても、端的に言えば「小遣い制サラリーマン」「奥様への遠慮」という二点に尽きるわけだが。

最近の来日アーティストのチケットは高い。とにかく高い。
丸一日、たくさんのバンドを楽しめるLOUDPARKが14000円程度なのに、単独公演で8000円とか10000円とかもザラだ。
そんな中、今回は3500円という良心的価格。
しかもキャパ150人という、「異臭騒ぎ」の頃の喧騒とは程遠いコンパクトなライブだ。
値段も安いし、ここで見ておかないと二度と見れないかもという思いと、応援したい思いとで、久々の単独ライブ参戦を決意しましたよ。

・・・おっと、ライブの話が長くなってしまった。


上述の通り、名作[TAROT]を分水嶺として作風は一気にアーティスティックな方向へシフトしていました。
初期の魅力であった疾走感や攻撃力は影をひそめ、歌劇的世界観をシンフォニックに彩っていくような音楽性になってきました。
とはいえ、DARKMOORらしさ(といっても、エリサ脱退以降のね)は充分に感じられるわけですが。

そして今作。
基本的な音楽性はここ数作の延長線上と言っていいでしょう。

今作はさらに「おとぎ話」のような、絵本のストーリーを紡ぐかのような、さらに誤解を恐れずに例えるならメルヘンのような、と言うべきだろうか。
陶酔した世界の中に、やはりDARKMOORの刻印が押されたメロディが展開していきます。
やはりスピード感は控えめ。

「メルヘン的」な象徴でもあるオープニングのインストナンバー、[ARS MUSICA]は、ロールプレイングゲームのプロローグ、オープニングを思わせる展開。

そしてDARKMOOR的メロディが宿る、「スペインの至宝」と呼ばれた(よね?)彼らのアンセムとなるようなタイトル[FIRST LANCE OF SPAIN]
初期のメロディとスケールアップした音楽性が融合したキラーチューンであり、[TAROT]の頃に近いと言えるのではないでしょうか。

[THE ROAD AGAIN]も同様に、適度な攻撃力に、情感あふれるメロディが印象的な良曲。
女性コーラスの被せかたがワタシ好みです。

[LIVING IN A NIGHTMARE]は、このアルバム筆頭の疾走チューン。
メロディックパワーメタル的疾走感にオペラティックなアレンジが印象的。

そしてこのアルバム、こういった「らしい曲」もいくつかありつつ、その他の曲が驚きなのだ。

メロハー的イントロに導かれ、温もりが溢れたコマーシャルなサビを迎える[THIS IS MAY WAY]は、まるでMEAT LOAFのような印象を残します。
この曲を聞いたエリサ時代のファンは、そっと「停止」ボタンを押してしまうかもしれません。
いい曲なのだが、DARKMOORでこの展開は意外だ。

さらに驚きなのが[GARA & JONAY]
ピアノから始まり、曲の盛り上がり方、歌いまわし(声質は全くことなるけど)、すべてがROBBY VALENTINEなのだ。
おそらくロビーが歌っていたら、名曲として名を残したであろう曲なのだ。
で、歌詞が「♪Only you, forever my girlfriend..」と来たもんだ。
この曲を聞いたエリサ時代のファンは、そっと(以下略)
いい曲なのだが、DAKMOORで(以下略)

というわけで、「来日するし、久しぶりに買ってみるか」という初期のファンにとってはショッキングな内容かもしれませんね。
方向性の変移のパターンという意味では、KAMELOTを思わせます。

個人的には、エリサ嬢の時代を引きずっているわけではないので、まだまだ[TAROT]的名作を生み出してくれると期待しているんですがね。
彼ら得意のクラシックのメタルアレンジも期待しているんですがね。
この方向性はしばらく続きそうですかね。

ライブでは、このアルバムが中心になることでしょう。
エリサ時代の曲はあまり期待できないかもしれませんが、せめて[TAROT]から数曲チョイスしてくれることを願うばかりです。


Dark Moor - First Lance of Spain















  

Posted by テン at 07:38Comments(2)D

2012年08月24日

嘲笑を乗り越えて

さて、いろいろありましたがボチボチと通常運転に戻りますよ。
興味のある方も、ない方も、むしろこのままフェードアウトしちゃえばよかったのに!というアンチの方も、よろしくお願いしますね。




デビュー当初の「DQNメタル(笑)」「厨二メタル(笑)」「ツーバス(笑)」という嘲笑の的から思えば、すっかり中堅どころだ。
どれだけ揶揄されようが、自分たちのポリシーを貫き通して「個性」として認められるレベルまで引きずり込んだ。

今年はLOUDPARK12へも参戦しますよ!!

DRAGONFORCE [THE POWER WITHIN]



イギリス出身。なんだかんだで5作目、デビューの喧騒からほぼ10年ですよ。

メロディックスピードメタル・・・にカテゴライズされつつ、徹底的にスピードに拘り、そのエクストリームなスピード感にメロディを乗せたってとこでしょうか。
その圧倒的スピード感は上述の通り批判的な声も多かったわけですが、ワタシのような単純なヒトには「おー、カッケーな!!」と歓迎されていた・・・ような。

ここ数作は、キラーチューンはしっかり押さえつつも、ややマンネリ感というか、彼らにしては「まとまってる」感が漂ってた。

で、今回はヴォーカルがチェンジ。
前任のZPサートがDRAGONFORCEサウンドにマッチしていて、バンドのカラーという意味でも存在感があったので、心配していました。

が。
結果的には問題ナシと言っていいでしょう。新加入したマーク・ハドソンは派手さはないものの、安定したヴォーカルを聞かせてくれます。
音楽性も、ヴォーカルが変わったというキッカケがあったからかどうか分かりませんが、最近のマンネリ感を打破してくれているのではないでしょうか。

先行公開された[Cry Thunder]がミディアムテンポだったこともあり「おいおい、ヴォーカル変わったとたんにコレかよ」と不安が過りましたが、やはりいつものドラフォ節です。

そしてこのアルバム、1stに通じるような空気を発散してくれているのがウレシイ。
DRAGONFORCEならではのスピード感を軸に、解放感と飛翔感、そしてポジティブなエネルギーを撒き散らしつつ疾走していく。
ここ数作、この「撒き散らしてく感」が乏しかった。

DRAGONFORCE史上最速!! という[Fallen World]「速いだけ」に留まらず、しっかりとフックを効かせて印象的な曲に仕上がっていますね。
この曲の次にミッドテンポの[Cry Thunder]が来ると「お、悪くなないかも」と思えるからフシギですね。
冷静に聞くとTURISASあたりを想起するガッツィーで勇壮な曲です。

この[Cry Thunder]以外は、「疾走感」を基本にしてはいるもの、それぞれの曲の方向性が微妙にバラついてるところも1stっぽいなと思います。
スペーシーな曲あり、北欧メタル風のメロディあり、[Evening Star]を思い出すようなリリカルな曲あり。
このスピード感と適度に揺さぶられるようなジェットコースター的感覚こそ、彼らの魅力だと思うんだよね。

全くDRAGONFORCEを知らない人に勧めるなら、このアルバムでいいんじゃないかな、と思える出来です。


さて、LOUDPARK12で来日が決まったわけですが、実はワタシはDRAGONFORCEのライブを見たことがない。

初期は「グダグダ(笑)」「ダメダメ(笑)」と、これまた嘲笑の的になっていたようですが、最近はすっかりライブも安定感が出てきたと聞きます。

アルバムやライブに批判的な意見が集中してるってことは、逆にそれだけ注目されているからこそ、とも言えるわけです。
何があっても自分たちのスタイルを貫き通して、みずから道を切り拓いてきた彼ら。

きっとラウドパークではその「ジェットコースター的スピード感」をさらに加速させてサークルピットの渦を作ってくれることでしょう。
期待!


DragonForce - Holding On

  

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2010年06月22日

ドロップダウンの手前で

重い。ヘヴィなのだ。気分が。ヤダヤダヤダヤダ。

なんだかんだで半月ほどブログをサボってましたね。
定期的に訪れる「ドロップダウン症候群」ですね。
このまま辞めちゃったら楽だぜ!
どうせ誰も見てないぜ! You!
やめちゃいな! Baby!
・・・っつー悪魔のササヤキが脳裏をよぎるわけですが。

ひだっちグランドオープン前からココまで続けたのに、ここで撤収っつーのもクヤシイべさ。
ここまできたら精神力だっちゃ。
無能無策でも、まだやれるじゃろ。
お年寄りだけど頑張るけん。
誰も待ってなくても継続するばい。

そう。
もともと、自分のスキルアップのためのブログなのに、足を止めたらそこで試合終了ですよ。
逃げちゃだめだ! 逃げちゃだめだ! 逃げちゃだめだ!
・・・ってことで、いつものことながら前置き長いけど、ボチボチ再開していこうかな・・・と。

あんまり長々と書く気分でもないけど、気分が重いときこそ重い音楽ですよ。
今、リピート中なのはコレですよ。

Dark Tranquillity [DAMAGE DONE]



スウェーデン出身のメロディック・デスメタル。多分6作目。

メロディックデスといえば、まずCHILDREN OF BODOM ARCH ENEMY あたりがアタマに浮かぶわけですが、初期~中期の IN FLAMES と並んで何だか気になるバンドなのだ。
ワタシがメロデスに求めるものは、ヘヴィネスやブルータリティではなく、ソリッドなキレとスピード感
そして、そのスピードの上で浮遊するようなメランコリックなメロディ
そして、そのメロディと反比例するかのように咆哮するデスヴォィスの残虐性

そういう意味で、Dark Tranquillity はワタシの中でのメロデスの一つの理想系。

一歩間違えば(?)、様式美とも言えるような旋律。
冷徹に切り刻んでいくようなリフは、一般的デスメタルのブルータルなアグレッションではないけど、その冷やかな残虐性がいい。

その象徴ともいえるのが、この曲だ。
気分が重いときにナイフで心臓を抉るような鋭さと流麗なメロディが同居した名曲。

無性にこの曲が聴きたくなるときがあるのだ。
思いっきりココロを抉ってほしいのだ。情け容赦なく。

それが、今なのだ。

Dark Tranquillity - The Treason Wall


  

Posted by テン at 07:49Comments(0)D

2010年05月21日

「竜」の名を持つもの

ワタシのようにメロディックパワーメタル界隈を愛するニンゲンにとって、「DRAGON」とか「SWORD」とか「MAGIC」とかってコトバは、まさに魔性の響き。
それだけで「何かある。ニオうぞ。」と過敏反応してしまうキーワードではないだろうか。

その世界観を世に知らしめたという意味でもロニー・ジェイムス・ディオは偉大だったよ・・・。
改めて冥福を祈りつつ天に向かってメロイックサインを捧げるよ・・・。

で、今でこそDRAGONと冠がつくバンドといえばDragonForceかもしれない。
が、ワタシにとっては、まずこのバンドなのだ。

DragonLand [HOLYWAR]




スウェーデン出身の彼ら、1stと、この2ndまでは典型的メロディックスピードメタルを具現化していました。
初期SONATA ARCTICAをもっと露骨にした感じでしょうかね。

が、全体的に整合性のとれていたSONATA ARCTICAに比べて、いかんせん「名曲」「駄曲」に開きがあった。
そこが現在のポジションの差になっているのかな、とは思うのです。

そうはいっても、その「名曲」たちはその界隈のファンなら一撃必殺。
キラキラと疾走する泣きの波状攻撃は、その弱点を補って余りある攻撃力でした。

ジャケットも、冒頭のようなキーワードに弱い輩に「ホレホレ。欲しくなったろ。ホレホレ。」という訴求力に満ちたステキなものだ。
ついついジャケ買いしたメロディックパワーメタルファンが後を絶たない。(ということは聞いたことがない)

ヴォーカルが弱いのも、この当時のこのジャンルでは定番だったし、無問題。
もっとヒドいバンド、いっぱいいたしね。

X JAPANのカバーとかも話題になったよね。
・・・「♪赤いティクビう~抱きしめて泣いた~」の部分だけがクローズアップされて笑い物になってたけど。頑張ってたと思うぞ。

今、改めて聞くとチープな感は否めないわけですが、それでもその特異な輝きは褪せてはいない。
AXENSTERDREAMTALEあたりと並んで、当時のB級メロディックシーンを支えてくれていた存在として記憶に深く残るバンドなのだ。


Dragonland - Majesty of the Mithril Mountains



Dragonland - Rusty Nail (X Japan Cover)


  

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2010年05月07日

夢の入り口

先日、某所で飲んでる席で音楽好きの方々と同席しましてですね。

「サマソニに Dream Theater が出る!」ってな話題になりました。

サマソニ・・・行ったことないし、メンツも知らないバンドが多い。
無知なりの印象としては、新進気鋭の勢いのあるバンドたちが多いような印象だ・・・けど、「いたいた!」って人たちも出てるか・・・。
様々なジャンルを網羅して、その中に一部メタルバンドが含まれるような印象だ。
そういや METALLICA とかは出てたよね。
時折メタル系が登場するとはいえ、Dream Theaterは意外だなぁ・・・と思うのだ。

で、ドリムシの話だ。
前にも書いたかもしれないけど、実は最近のドリムシはあまり得意ではない。
代表作といえば[IMAGES AND WORDS]で異論ナシだが、ワタシの中ではコレも双璧なのだ。

DREAM THEATER [WHEN DREAM AND DAY UNITE]




後々にロック界に一大ムーヴメント「ドリムシ・シンドローム」(こんな呼び方だったけ?) を巻き起こす、その礎となる1stアルバム。
オビ見てたら「1989年作品」だってさ。20年以上前だよ・・・。

2ndで開花することになる綿密さと大衆性の息吹が感じられながらも、かなり実験的要素が強い気がします。
分類としては、当然「プログレ」ってことになるわけですが、現在ほど敷居の高さは感じられず、一般的様式美ファンにもアピールするのではないかと。
ま、ワタシが「好き」と思えるアルバムですから、そんなに難解ではないですよ。
Symphony X とか Shadow Gallery あたりが好きなら聴いてみてもいいかと思います。

プログレちっくなテクニカルな展開が基本軸にはなっていますが、わりとメロディラインが明朗でコンパクトな印象。
あくまでの現在のDreamTheaterと比べての話ですが・・・。

ヴォーカルはジェイムズ・ラブリエじゃなくチャーリー・ドミニシ
ラブリエと比べたら線は細いし、マイナーな印象は拭えないのは否定しません。
が・・・批判覚悟で言っちゃいましょう。
上手い下手を抜きで好き嫌いで言えば、ラブリエより好きです。
だって・・・これも前にも書いたかもしれないけどラブリエの高音の伸び方が生理的にイマイチ合わないんだよね。
こればっかりは嗜好だから許してね。
(ま、カイ・ハンセンとかアンドレ・マトスのヴォーカルが許容範囲のワタシですから、参考にしないでね。)

最近のDreamTheaterは複雑かつ難解すぎて、「分かる人だけついてこればいいけんね」という崇高(ちとオーバー?)なオーラに満ちている。
ワタシのように単純に美しいメロディを欲する人間には、置いてけぼり感があるのだ。

だけど、このアルバムを含めた初期のアルバムは分かりやすくて好きだ。

現在の音楽性をトコトン追求して「やることはやった」という境地に達したとき、もしかして原点回帰なんてことになれば・・・・現在のバンドのステイタスを考えれば凄まじいアルバムになるんじゃないかと皮算用するのだ。


Dream Theater - Afterlife

  

Posted by テン at 07:15Comments(0)D

2009年12月28日

失意に差した光明

メロディアス・ハード・ロック。なんとも甘美な響きだ。

ちょっと前なら、ワタシの中でメロディアスハード御三家といえば・・・
HAREM SCAREM / FAIR WARNING / FIREHOUSE
が、時代は流れ・・・。
HAREM SCAREM は解散。
FAIR WARNING も解散~再結成で全盛期の輝きは褪せてきた。
FIRE HOUSE は、すっかり落ち着いてしまった。

そんな失意の中。
メロディアスハードシーンに眩いばかりの光明が差し込んだ。

DANGER DANGER [REVOLVE]



DANGER DANGER といえば、初期BON JOVIを思わせる楽曲群が印象的な1stが記憶に残る。
なんともチープなジャケット。
でもコマーシャルな楽曲は結構フックがあり魅力的。
・・・という「いたいた、あの[Under The Gun][Rock America]のバンドだな」って程度。

が、今回は結構評価が高かったので、久々に聞いてみようと思ったのだ。
で、コレが素晴らしい出来なのだ!

「意外なバンドが、意外な傑作を生んだ」・・・っていう名言は、VICIOUS RUMORS [Welcome to the Ball]に於けるマサ伊藤氏のレビューだったっけかな。
まさにそのセリフが脳裏をよぎったのだ。

メランコリックなムードと時折見せるヘヴィなリフは、HAREM SCAREM的。
キラキラと彩られた輝きは、DEF LEPPERDか。
抜けるような爽快感と甘いメロディは、NELSONのよう。
そして、当然のことだが初期DANGER DANGER的な力強いコーラス。

80年代MTVを思わせるような曲が並ぶのに、なんだかフレッシュなムードが同居している、「温故知新」的アルバム・・・とでもいいましょうか。

ポップな曲、哀愁に満ちた曲、ミディアムな曲、アメリカンハード王道の曲。
このように書くと、けっこうバラついているような印象を受けるかもしれませんが、全てが極上。
バラードも秀逸。

名曲ひしめく中、インパクトがあったのは [Ghost Of Love]でしょうか。
HAREM SCAREMの名曲[CHANGE COMES AROUND]を思わせるリフ、胸キュンのメロディライン、80'sテイストともいえるサビのコーラス。
あぁ、そうそう。
オレってこういう曲が好きだったんだよなぁ。
やっぱメロディアスハードって素晴らしいなぁ。
シミジミと思うのだ。

今年のアルバムの中で上位に食い込むことが当然ながら、ワタシの大好きなメロディアスハードというジャンルの中では数年に一枚といえるような名作。
まさにメロディアスハードの復権を高らかにアピールしてくれた力作です。

ワタシの中で、現状メロディックハードなら、西のGOTTHARD と肩を並べて「東のDANGER DANGER」という位置づけまで一気に台頭するかもしれませんよ。

danger danger - ghost of love
(このサビ、どこかで聞いたような気がするのですが・・・思い出せない・・・気になる・・・)

  

Posted by テン at 07:40Comments(0)D

2009年12月18日

夢・劇・場

先日、CDの棚を増やしたよ!倍になったよ! ってな話を書いた。

収納スペースが増えて、全部のCDMDが収納できたのはいいのだが、まだゆとりがあるせいで結構すき間ができている。
ビッチリとCDが収納されていて「ウムウム。ヨシヨシ。」という満足感に浸っていたのに、なんだか物足りなく思えてしまうのはゼータクな話だ。

さて。

CDを整理してて「おおー、こんなの持ってたか、オレ」的なプチ発見がいろいろとあった。
本棚を整理しながら「あったあった、こんなのあった」ってついついパラパラと眺めながら全く整理が進行しない・・・ってのと似た感覚だな。

そのなかで、一番驚いたのがこのバンドのCDだ。
1stと2ndがいいアルバムで、その後に買ったアルバムがイマイチで、その後は全く聴いてなかった。
・・・って思ってたら。
なぜか5枚もあったのだ。

そっか、一応追いかけたんだな。印象薄いけど。

ってことで久々に聴いてみました。印象薄いけど一般的評価が高い(確か)アルバム。

Dream Theater [Scenes from a memory]



DREAM THEATER といえば、プログレッシブかつ独創的サウンドで一世を風靡し(・・って、過去形にしちゃいけないな)、各界にドリムシ・シンドロームとすら言える一大ムーブメントが生まれることになった元祖だ。
一時期には「ドリームシアター的」っていう表現が乱舞してたっけな。
そんな中でも着実に、しかも他のフォロワーの追随を許すことなく独自の世界を構築してきた。
・・・という印象だ。それほど聞き込んでないから、違ってたらゴメンね。

なんつっても[IMAGES AND WORDS]での[PULL ME UNDER][ANOTHER DAY]の印象が強い彼ら。
その後のアルバムでは世界観が崇高すぎてついていけなくなってしまったのだ。

改めて、[Scenes from a memory]を聴いてみたんですがね。
なんつーか、アルバムの存在自体が一大絵巻ですね。
曲単位で楽しむってものじゃない気がします。
BGMにするのではなくジックリと対峙すれば、「お、ここスゲェ」「お、今のパートは!」って耳を惹きつける要素は多いけどね。

で、インストパートでは特にテクニカルな要素が強くて、おいてけぼり感がある。
ま、ワタシが理解できてないだけだが、楽器を操る方々が聴けば、そのレベルの高さを楽しめるんじゃないかとは思います。

あと、ヴォーカルであるジェームス・ラブリエの声が生理的に合わないんだな。
コレばかりは好みだから仕方ない。
上手い・下手の議論じゃないから、好きな方々にはゴメンね。
以前に「ラルフ・シーパースの声が合わない」ってな話を書いたが、それに通じるのだ。

時にはゲーム音楽的だなとすら思えるパートもあったりします。

コレなんかは典型的で、源平討魔伝「ありがたや~」「諸行無常」って声が聞こえてきそうです。



あまり「プログレ」という世界に詳しくないですが、この世界がプログレなんでしょうかね。
Symphony X とか Shadow Gallery あたりの「プログレ」は好きなんだけどなぁ。  

Posted by テン at 06:18Comments(3)D

2009年08月21日

暑いときこそ熱く!

お盆を過ぎ、夜~朝は多少過ごしやすくなってきましたね。

でも、まだ日中は暑い!
そんな暑い中、「夏こそカレー!」ってなコトバがありますね。
暑いときこそ、中途半端に涼しいものよりも「毒をもって毒を制す」的発想でしょうかね。
ワタシも汗ダラダラになって辛いカレーを食うの、好きです。

さ、この暑い季節、ワタシはこの暑苦しさを時々求めるのです。

DOMINE [TRUE BELIEVER] FROM... [EMPEROR OF THE BLACK RUNES] Album



イタリアといえば、RHAPSODYが代表格・・ですがね。
いつも彼らが脳裏をよぎるのですよ。イタリアと聞くと。

マイナー臭漂うB級バンドであることも重々承知。

とにかくアツいのだ。
ひたすら「漢」なのだ。
強烈な個性を放っているのだ。

繰り返し聞くような「名作」かと言われれば、「NO」だ。

それでも時々、「どうあってもDOMINE」という気分になると、もうDOMINEしか見えない。CD棚のDOMINEまっしぐら。
そんなときがあるのだ。

そしてそれは夏なのだ。

炎天下、中途半端にメロディアスハードとか北欧メタルを聞いても焼け石に水。
そんなときにDOMINEは急に「本日のオススメメニュー」として浮上してくるのだ。

熱く疾走。
熱くシャウト。
まさに夏のキラーチューンなのだ。


Domine - True Believer
(アツい!アツすぎる!漢メタルだ! yaaaaaaaaaa!)

  

Posted by テン at 07:27Comments(0)D

2008年12月19日

最後の最後に

2008年、この終盤に滑り込んできた。

「名作」を生み出したあとのアルバムに対峙するときは、いつも緊張する。
超えれないだろうなぁ、でも、超えてほしいなぁ。いや、同等のレベルで充分・・・。

DARK MOOR [AUTUMNAL]



スペイン出身、これでもう7枚目かぁ。

前作[TAROT]は、エリサ時代の幻影を完全に払拭する会心の一作だった。
もう「エリサがいた頃のクサくてB級臭のあるDARK MOOR」を振り返る必要はない。
(ま、あの時代はあの時代でスキなのだが・・・)
完全に自分たちのサウンドを確立して、その手のバンドからは頭一つ抜けた感じがあった。

そして今作。

恒例になりつつあるクラシックをモチーフとした大曲が今回も収録されている。
今回は「白鳥の湖~SWAN LAKE」だ。
しかし以前が モーツアルト[レクイエム] ベートーベンの「月光」、で今回は白鳥の湖ですか。
ワタシの嗜好にドンピシャな選曲に驚きと萌えを隠せません。

今回の「白鳥の湖」の出来は、上記2曲には及ばないものの、相変わらず非常にドラマティックに構成されており、全く中だるみのない大曲に仕上がっています。
けど、これを1曲目に配したのはどうかなぁ。
今まで通り終盤に配置した方が良かったと思うけどなぁ。
で、ラストを飾る軽やかリズム+荘厳なオーケストレーションのインストナンバー[Fallen Leaves Waltz]が先頭でも良かったかも・・。

スピード感がある曲が後半に固まってるのも、バランスとしてはどうなんだろな。

全体のレベルでは、曲の即効性という部分で前作に劣ります。
ただ「捨て曲」的なものは無く、ジックリ楽しむべき「スルメ盤」かなという印象です。

ただ・・・
全体を覆うシンフォニックなムードが微妙。
シンフォニックなパワーメタルは、ここ数作で確立された彼らの個性ではあるのですが、今回はそのシンフォニックなパートが強調されているのです。
前作での絶妙なパワーバランスが少し揺らいできている感があります。

この微妙な感触は、KAMELOT歴史的名作[EPICA] の後にリリースした[THE BLACK HALO]での「うーむ」感に近い。

このまま、アーティスティックな方向へ向かってしまうのか、やはり彼らの原点であるパワーメタル色を強めてくるのか。
次のアルバムが分水嶺になりそうな気がします。

で、YOUTUBEに[SWANLAKE]があったからリンク張ろうと思ってたら・・消されてた。
で、前作の名曲[THE MOON]を・・・と思ったら、なぜか分割されてます。しかもいいところで。
けど、何もないと寂しいし、一応張っときますね。

[The Moon]
Part1: http://jp.youtube.com/watch?v=ShmFHNpjO1w
Part2: http://jp.youtube.com/watch?v=vj7kTa1xAS8  

Posted by テン at 08:13Comments(3)D

2008年11月13日

逢瀬、再び

東京の夜といえば、メタルバーGODZだ。

なんだかんだで、ココの話は何度か書いてる気がするぞ。
それでもいいのだ。

今回のGODZ、いつもと違ったのだ。

まず、いつも出張で平日だったが、今回はサタデーナイトだったこと。

そして、ブログを通じて知り合ったメタルレディーと待ち合わせしたこと。
彼女とは以前にもGODZでお会いしたから大丈夫だ。
が、今回は彼女のダンナ様まで一緒だ。
夫婦でメタラーとのこと、ダンナ様がマッチョ&長髪&タトゥーとかだったら、見なかったコトにしてコッソリ撤収だな・・とビクビクしつつ現地へ。

22時、入店。

すんげぇ混んでる。平日の夜、カウンターでリクエストしながら飲む・・なんてことは無理そうだ。
チェッ。「今夜は SymphonyX をリクエストだな」なんて目論見は水泡に帰した。

店内を見渡すと・・メタルレディー発見。
横に座るダンナ様は・・・いい人そうだ!優しそうだ!大丈夫そうだ!

外国人の方が多いからか、SLAYER、METALLICA、モトリー、AC/DCといった王道ナンバーが次々と流れる店内。
ちょっと油断すると声が聞こえないほどの大音量のメタルナンバー。
だから、こちらも大声で叫ばないと会話が成立しないのだ。

「GAMMA RAYにラルフ・シーパーズは不要なのだ」という貴重かつコアな点でダンナ様と一致団結、意気投合。
DragonLand/DreamTale/Heavenlyといったの話題がフツーに通じるダンナ様はワタシと好みが近いようだ。
カイ・ハンセンのことを御夫婦で「カイちゃん」と呼ぶ二人は、本当に微笑ましい。
結婚式でGAMMA RAYの曲を使ったそうで、羨ましすぎる。

そういえば、途中でこのバンドのこの曲のPVが流れた。
三人揃って会話が止まり、映像にクギづけ。



DRAGONFORCE [Heroes of Our Time] From [Ultra Beatdown] ALBUM



このアルバム、どっかで取り上げようと思いつつタイミングを逸していた。
正直、それほどインパクトのあるものではなかったってこともあった。

が、この曲を映像で見てて、改めて3人で「やっぱいい曲だね」ってことでDRAGONFORCE談義で盛り上がった。
そう、初期はココまで売れると思ってなかった。
単なる日本向けのメロスピで、1~2枚でドロップアウトだろなと思ってた。

が、メタルレディーな奥様が言うように「すっかり中堅どころ」なのだ。

前作あたりから曲にヒネりやリズムチェンジを絶妙に取り入れ、単なるスピード狂のイメージから脱却してきた。
今作も着実にステップアップして、個性を消すことなく新しいステージに入った感がある。

が、なんだか初期の「一歩間違えばネタバンドスレスレ」のおバカ加減(すごく褒めてるつもり)が減退していくのはチョッピリ寂しいのである。
そこがフクザツなところなのである。

とはいえ、GODZに流れる[Heroes of Our Time]はヘッドバンキング&シンガロング必至の名曲。
やっぱり好きなバンドなのだ。DRAGONFORCE

ちょっぴり方向変換中のSONATA ARCTICAと比べながら、DRAGONFORCEの魅力について語る新宿の夜。
次回の再会を約束し、二人は終電に向かい、ワタシはホテルへ向かう。

大声の会話でノドはガラガラだったけど、お二人から熱きメッタルハー!をオスソワケしていただいたのでした。
  

Posted by テン at 06:57Comments(3)D

2008年10月07日

手綱さばき

好きな人にとっては、いわゆる「スーパーバンド」なんだろな。
ワタシ個人は、それほど思い入れがなかった分、フラットな状態から聞くことができた。

DAMN YANKEES [DAMN YANKEES]



ジャック・ブレイズ (NIGHT RANGER)
トミー・ショウ (STYX)
テッド・ニュージェント
の3人が中心・・・だが、ワタシはNIGHT RANGERが好きな程度、STYXはアルバム一枚聞いただけ。
テッド・ニュージェントに至っては聞いたことがない・・というシロートだ。

しかしですね。このクオリティ。まさに「スーパーバンド」ならでは・・といったところでしょうか。

アメリカンR&Rの、ちょっとユルめでカラッとしたムード。
アメリカンハードロックのダイナミズムと土着的空気。
産業ロック(とは言いたくないけど)的なキャッチーなサウンド。

全ての要素を詰め込んだ・・・と言うと、中途半端な印象にも聞こえるかもしれませんが、それぞれのベクトルへ向いたエネルギーが凄まじい。
トータルテンボス風に言えば「ハンパねぇ!」のである。

ロケンロー的ユルさ、王道ハードロックのガッツ。この手綱の緩め具合と締め具合が「うーん、ベテランのワザだ」と唸らされます。
バラエティに富んでいながらバラついた印象は無く、むしろジェットコースター的に気を抜く間もなく一気に駆け抜けていきます。

名曲揃いですが、中でも珠玉のバラード [High Enough] は必聴。
ついでに [Coming of Age] [Come Again]も必聴。
とにかく必聴。

BON JOVI / AEROSMITH / VAN HALEN といった大御所に勝るとも劣らない完成度。
世間での評価はともかく、ワタシの中ではアメリカンハードロックといえば絶対外せない名盤なのです。
  

Posted by テン at 07:39Comments(4)D

2008年06月16日

安定感

「名盤!」という前評判が高かった。
ま、彼らのアルバムに「大ハズレ」はない。
ただ、個人的に最近のアルバムはパンチに欠けてた。
だから「期待のハードル」は少し低めに設定してました。

DEF LEPPARD [SONGS FROM THE SPARKLE LOUNGE]



いまさら言うまでもない、ブリティッシュハードの雄 DEF LEPPARDの最新作です。
前作[X]の印象が薄かったこと、リリーススパンが長いことなどもあって、ちょっとバンドとしての印象が薄れかかってたところでのリリース。
だからそれほど期待してなかったんだよね。

で、一曲目の[Go]が始まる。
これは…この感覚は…あの[SLANG]アルバムを想起させます。
いきなりヤバい。イヤな予感だ。

が、次の[Nine Lives]で息を吹き返す。
[PYROMANIA]あたりを想起させる、オールドファンにはウレしい曲だ。

ライブ映えしそうな[C'mon C'mon]を経て、[Love]へ。

この[Love]が素晴らしい。
このタイプのバラード、彼らには無かったんじゃないかな。
コーラスは ROBBY VALENTINE 風。(QUEEN風って表現がキライなので、敢えて…ね)
美しいです。

こういった新鮮な楽曲でも一聴して「DEF LEPPARDだ!」という印象を植えつけるのがジョー・エリオットのヴォーカルですね。
アルバム全体、特に前半では印象的かつ様々なタイプな曲を提示しながらも、全て「間違いなくDEF LEPPARDだな」と思わせる存在感。
表現力に深みも増し、円熟期に入った感があります。

後半は、前半と比べれば印象薄ですが、「らしい」「いい曲」が続きます。続いてるうちに終わります。
このサラッと流れていく「いい曲」たちを「心地いい」と感じるか、「物足りない」と思うかはそれぞれでしょう。
ワタシは後者でしたが…。

で、ボーナストラックに[Love]の別バージョンが収録されていましてね。

もともと「ボーナストラック反対派」のワタシ。
時には「アーティストの意向を踏みにじる存在」という嫌悪感すら覚えるのですが…

今回はホントにボーナス。
こっちのアレンジも美しいです。


  

Posted by テン at 08:04Comments(5)D

2008年02月13日

復活の朝に

悪夢の発熱から数日。

ガタピシのカラダも、ようやくエンジンがかかってまいりました。
さすがに病み上がり初日の仕事はボロボロでしたが…。
マスクしてたから、会う人みんなに「近づくな!」って言われるしさ。

で、ポンコツのカラダに鞭打つために選んだ、朝の通勤のクルマでの一枚。

DRAGONFORCE [Sonic Firestorm]



何も考えず、ただスピードに身を委ねたいなぁと思ったら、全く迷わず手に取ってました。
曲は1stの方がツブ揃いかなとも思いますが、このアルバムには[My Spirit Will Go On]という殺傷力の高いキラーチューンがあるからね。
ガツンといくにはコレかなと。

美しく爪弾かれるイントロから、徐々に馬力を上げて…と思うのも束の間、一気にフルスロットルの爆走モード。
この急速なギアチェンジの瞬間、曲のせいか風邪のせいかゾクゾクするわけですよ。鳥肌ですよ。
勝手に首が動くわけですよ。運転中でもね。

DRAGONFORCEといえば、その一辺倒なスピード感を伴ったメロディックスピードメタルという音楽性や、メンバーのキャラなど「ツッこみどころ満載」のバンドという印象も強いわけですが…ま、キモチも分からないでもないですが…。
いやいや、単調に聞こえるスピードの中でもリズムチェンジを交えたり。
メロディもシッカリしてるし。
アルバム全体に「コレがDRAGONFORCEだ。文句あっか。」的な自信が漲っていますね。
いやー爽快です。  

Posted by テン at 07:56Comments(3)D

2007年08月13日

チーム力

GUNS の来日騒動。
BON JOVI の新譜。
人気のあるバンドは根強いなぁ…と感じた昨今。

彼らを忘れちゃいけない。
BONJOVIやGUNSと並んで、一般的にもそれなりに市民権を得ていたモンスターバンド。

DEF LEPPARD / ADRENALIZE



「東のBON JOVI 、西のDEF LEPPARD」と呼ばれた…ような、自分が思っているだけのような。

DEF LEPPARDといえば、世界で1600万枚以上を売り上げたという[HYSTERIA]が代表作。
けど、こっちも悪くないですよ。
この次の[SLANG]ツアーでLIVEに参戦した際の[Let's Get Rocked]の盛り上がりが印象に残っているせいでしょうか。
[Let's Get Rocked]の勢いに「HYSTERIAとは違うかんね。」という意志を感じます。
基本的に踏襲してはいますが。

ただ[HYSTERIA]がバカ売れしたとはいえ、ややシリアスな楽曲が多かった(それが魅力だった)のに対し、
[ADRENALIZE]では明るさを全面に出してきています。
モンスターアルバムの次作ということで凄まじいプレッシャーの中で製作されたであろうことが想像されるわけですが、うまくバランスをとって組み立ててきたなぁ…と思いました。

ちなみに…

DEF LEPPARD のドラム、リック・アレンは隻腕。
HYSTERIA 発表前に事故で片手を失いながらも、特殊なドラムセットで復活。

さらにその後には、ギターのスティーブ・クラークが死去。
そして後任には、当時はそれなりに知名度があったヴィヴィアン・キャンベルが加入。
「おいおい、モメそうだな。」と軋轢を心配したものですが、全く問題なし。(多分)

この波瀾の中で培われてきた「チームの力、結束、和、団結力」
そしてスピリット。
彼らの屋台骨であり尊敬に値する点ですね。
  

Posted by テン at 06:58Comments(0)D