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2023年11月13日

忘れたわけではないけれど

忘れてた‥わけではない。
けど、「バンド名を聞いてワクワクする」という時期は少し色褪せた。
が‥。

DREAMTALE [Everlasting Flame]




フィンランド出身。
wikiによるとこれが8作目になるようですね。
2022年リリースの新譜になります。

このバンドとの出会いは1stアルバム。
同じくwikiで調べてみたところ 2002年。ってことは、ちょうど20周年ですね。

この頃はAxsensterCelestyといったB級(褒めてる)メロスピが隆盛の時代。
その一角を担っていた感があります。
いわゆる北欧メロスピ/メロパワの潮流に乗り、曲のクオリティもあって、1stからかなりのファンを掴んでいた印象です。

その後、個人的には少しこのバンドから離れていたのですが‥。
今作は素晴らしい!のです!

私の脳裏に残っていた彼ららしさとは一線を画すものの、王道メロスピ/メロパワでありながら様々な光を放つアルバムになっています。
よく言えば、このジャンルの最大公約数のような。
悪く言えば、美味しいとこを寄せ集めたような。

いいのです。
1stのような「あー、これですよね(笑)」という微笑ましさを脱却し、開き直りすら感じるのです。


「♪Rise Up High!!」という朗らかなシンガロングに導かれ、ポジティブな疾走で幕を開ける [King of Kings]
この歌詞、このパターン、この「躁」感。
そうですね。
フリコですね。
フリコですよ。
まるでFreedomCallのような世界観ですよ。

そしてココで気づく。
「これ、ヴォーカル二人いないか?」と。

調べてみたところ、今作から女性ヴォーカルが加入してツインヴォーカルになったらしいですね。
この曲での歌唱はBATTLE BEASTのパワフルさを彷彿するなぁ‥と思っていたのですが、まさかのホントに元BATTLE BEAST
この女性ヴォーカルが今作の強烈なキモになっています。


勇壮な疾走感が印象的な[Blood of ther Morning Star]
サビが拳振り上げシンガロングからの流麗なメロスピ的メロディ。
まさにBATTLE BEAST的な力強さとDREAMTALEらしいメロディの融合。
ソロパートの美しさも印象的。
今作におけるスケールアップを感じさせる良曲。

幻想的なイントロパート、たゆたうような浮遊感あるメロディ。
そして一気に声色を変えた彼女の声に驚くことになる[Last Goodbyes]
まるでNIGHTWISHのような美しい世界となっています。

[Ghostride]ではSTRATOVARIUSが得意そうなリズムの刻み方。
ヘヴィでありながらリズミカル。

[Immortal Souls]でのちょっとポコポコした装飾、サビ前の疾走感からのスペイシーなサビ。
これは‥Heavenlyじゃないすか。
メロディ、言葉の韻の踏み方とかもすごくHeavenly的。
彼女の声もここではまるっきりHeavenly的。

この「Heavenly的」というニュアンスは、アルバム随所に感じられ、個人的にこのアルバムの高感度を爆上げさせてくれます。
あのメロディ、あのサウンド、あの声が蘇るかのようです。
[Summer Rose]でもそのニュアンスを感じることができますね。

[The Glory]は典型的「メロパワ」路線。
二人のヴォーカルが交互にパートを受け持ち、今の体制、そしてDreamtale的な音像。
過去からの進化と現在の強靱さを最も表現した曲になっています。

Queenの「あの曲」的展開から、GAMMA RAYの「あの曲」的な展開を挟んで、キャッチーなメロディックチューンへと流れ込む[Eye for an Eye]
どうしても曲の入りの印象が強すぎるのですが、これもクオリティが高いチューン。

[Silent Scream]はこのアルバムのひとつのハイライト。
BATTLEBEASTの感情揺さぶる高揚感+音圧、そこにDREAMTALEの魅力である北欧らしい美しいメロディラインを纏わせたような。


意外なバンドが意外な良作を‥というと、過去からの根強いファンからはお叱りを受けるかもしれない。
が、しばらく離れていた私にとっては、「帰ってきた!」というよりは「生まれ変わった!」という強い衝撃でした。

メロパワ/メロスピ界隈では最近の中で指折りの傑作ではないでしょうか。

いろんな「●●的」という表現を用いてしまいましたが、その中の一つにでも「お」と感じるものがあれば聞いてみて頂きたい。
この体制で継続してくれることを願うばかりです。



Dreamtale - The Glory (Official Music Video)












  

Posted by テン at 07:46Comments(0)最近の記事

2023年01月12日

祈りは、届かず

このバンドのことを記事にしたのが2022年8月12日

そのときはまだ彼女は闘っている最中だと思っていた。

が。
8月17日。
バンドは彼女が8月5日に亡くなっていたことを発表した。
私が記事を書いたときにはすでに亡くなっていたという事実は強い衝撃でした。

彼女が遺した最期の「生きた証」がリリースされました。

THE UNCROWNED [WITNESS]




2022年9月リリース。
彼女が8月に亡くなり、9月にリリースされた、まさに「置き土産」といえる作品。

子宮頸ガンと闘病しながら、生きる意志を発信しつづけ、その中でアルバムリリースのために動いていた。
その精神力に尊敬と感動の念でいっぱいです。
苦しく、辛い中での、大好きな音楽に向き合う時間。
もちろん、このアルバムがリリースされ、ファンの声に耳を傾け、喜び、ライブのステージに立つ。
SHALさんはそんな自分を思い描いていたと思います。


アルバム全体を彩るSHALさんの声は、病魔に侵されていることなど微塵も感じない。
前の記事でも書きましたが、SHALさんらしい「硬質な強さとしなやかさ」が同居する個性。

サウンドとしては、初期の「メタルっぽく」という意図はいい意味で減退。
真っ白なキャンパスに、「いまやりたいこと」「いま歌いたいこと」を染め上げていったかのような。

自由なのだ。
自由でありながら、THE UNCROWNEDらしいロックテイスト、キャッチーさ、そして歌詞のポジティブさ。
自然に溢れ出る「らしさ」がアルバムを彩ります。

どうしてもSHALさんの声や歌詞に耳を奪われてしまうわけですが、第一印象は「彼女がアルバムの中で踊っているかのようだ」ということ。

軽やかに。自由に。誇らしげに。
悲しげな姿でなく、笑顔で華やか舞うように。
SHALさんの感情をすべてキャンパスに描ききったかのような。

なんという強靱な音楽への想いでしょうか。
感情が交錯して、たくさんのことを綴るには言葉が軽くなりすぎる。

SHALさんの冥福を祈りつつ、SHALさんに心から感謝したい。
素晴らしい音楽を遺してくれたことももちろんですが、ウチのムスメは子宮頸ガンワクチンを迷っていたのですが、SHALさんの話をしたら「私も接種する」と前向きになり、接種してくれた。
彼女の闘う姿はネットでも話題になり、幾多の女性を救ってくれた‥と思いたい。

ありがとう、SHALさん。安らかに。


THE UNCROWNED - LAST MEMORY ~四月の風~ (Official Music Video)

この曲は、亡くなる4カ月前に撮影されたとのこと。
しかも4月に亡くなった友人に捧げた曲。
そして友人役はTEARS OF TRAGEDYHARUKAさん。



  

Posted by テン at 07:31Comments(0)最近の記事

2022年12月08日

念願の、幸せな夜

ずっと大好きなバンドだ。
けど、なかなか観る機会がないままコロナ禍を迎えてしまい、より一層遠のいていた。

そんな念願のバンドのライブ。

TEARS OF TRAGEDY TOUR2022 "TRINITY&OVERTURE"
2022/12/4(日) 名古屋 今池GROW

夏の東京、前日の大阪を経てのファイナル。
今池GROWについてアクセス等を確認するためにHPを確認したところ、収容人数150人とのこと。

‥小さい。

自分が好きなバンドって、どうしても過大評価になっちゃうから
「そんなんで収まるはずないやん‥」
って考えがちですが、どうやら当日券もでるとのこと。
ちょっと意外ですね。

当日。

昼には到着し、名古屋で昼飲みして現地へ。この昼飲みも遠征の楽しみのひとつですね。
17:30開場とのことで、その時間に合わせて到着。
会場付近には開場待ちと見受けられる人々が。
‥年齢層高い。(私もですが)
‥男性率高い。(私もですが)
つまりおじさんばかりじゃないですか(私もですが)
ツイッターのフォロワーさん界隈では女性のファンもいらっしゃるので、この客層は「こんな感じなのか‥」と思いましたね。

私の番号は80番付近。17:45くらいに入場。ドリンクチケット600円。ドリンクはおトイレの心配があるので終演後が私の定番。

18:00
公演の注意アナウンスが。マスク着用、声だし禁止。
徐々に声だしの公演が開催されていますが、まだまだこのご時世。しかたありませんね。

OPは当然というか、そりゃそうですよね‥という最新アルバムのイントロダクション[Trinity]
徐々に花が咲き誇るかのような美しいイントロダクション。
分かっていたとは気持ちは高ぶります。

そしてその流れで刻まれるリフはアルバムの流れ通り[Nonsite]!!
「♪長い間、待たせたね」の歌詞が胸を刺します。

まずVo.であるHARUKA嬢の存在感に驚かされます。
凛々しい。
麗しい。
力強い。
まさかこれほどライブ映えするとは。

私が出会った頃のアルバムでは、良くも悪くもガラス細工のような繊細さと危うさがあった。
そのバランスが魅力だとも思っていた。

それが最新アルバムではいい意味で柔和になり、存在にヴォリューム感を纏うようになった。

そしてライブでの存在感はそのどちらとも異なる。
圧倒的な芯の強さ、説得力、佇まい。
一気に引きこまれます。

続いては[Another World]
さらには[Void Act]
立て続けに初期~中期の曲。意外性と適度な攻撃力で加速していきます。

最新アルバムの中でもキラーチューンのひとつである[幽玄]も早々に登場。
HARUKAさんのVo.スタイルが新境地に入ったことを感じさせてくれる魅力的な曲ですね。

「配信限定の曲だけど、Epitaphじゃないよ。けっこう前の曲で、久しぶりにプレイします!」とのMCに導かれて始まった曲は‥知らない曲。
配信限定でこんな曲が出ていたとは。(あとから確認したら[Astrea]って曲でしたね)
実にTearsらしいリズム感とテンポを持った曲です。

1stアルバムからの[Euclase]を挟み(この時点で、「セットリスト、すげぇバランスいい!」と驚きました)‥

「ティアーズが持ってる四季の曲を」とのMCが。
春と冬はすぐ思いついたけど、「夏と秋ってなんだっけ」と考えている間に
[Spring Memory]
[Innocnet Gram]
[Fall in The Air]
[It Like Snow...]

を披露。なるほど、そういえばそうでしたね。


続いては数曲のアコースティックセット。
なんと中島美嘉さんのカバーも。
このアコースティックの時間が、実に穏やかで、彼ららしい時間でしたね。

アコースティックのあとは、一転して「これライブでどうするんだ‥」と懸念するほどだった強烈な配信チューン[Eptaph]へ。
サポートドラマーの方の強烈なドラミングは、このライブの中で終始大きなキモになっていましたが、最大の見せ場とも言えたでしょう。

そして後半は圧巻!

大好きな[Blue Lotus]。この曲、アコースティックで披露されるかなと思ってたけど通常バージョンで嬉しかった!
さらにもっと大好きな、一番大好きな[Always]へ。
サビでは目頭が熱くなりました。最高だ。

最新アルバムの中でも存在感を放った疾走チューン[No.5]
同じく最新アルバムの中で、ティアーズ得意のシリアスなチューンである[時に鏡は嘘をつく]
そしてラストは美しく弾むようなメロディが魅力の[クロノメトリー]
[クロノメトリー]はアコースティックセットでの披露に続いて本日二度目ですが、まったくそれを感じさせない異なった魅力がある。

ラストはなにで締めくくるんだろうかと思ってましたが、この曲がこんなに多幸感とともに締めくくってくれるとは‥。
ライブで新たな魅力を感じさせてくれた曲の筆頭かもしれませんね。

アンコール一曲目は、これまた意外なチョイスの[The Arclight of the Sky]
この曲をココでもってくるとは。

そしてオーラス!
HARUKAさんの「アクセプトいくよーーー!」の声に導かれるのはこれまた大好きな[Accept Yourself]!!
シンフォニックなイントロから軽やかに流麗に駆け抜けていく疾走チューン。
私の中でも代表曲の一つだから、高揚感もクライマックスだ。
理想的なエンディングチューンだ。


:
:

トータル2時間55分(!!)の長丁場。
終始幸せに包まれた素晴らしいライブでした。

初期から最新までバランスよく、まさに「集大成」といえるライブでした。

大好きな長尺シリアスチューン、[Prison of Abyss][Curse Bride]あたりも聞きたかったけど、長い曲だから組み込みづらいかなとは思っていたのでそこはある程度想定内。
その他はほぼベストと言っても過言ではないでしょう。


アンコール前には抽選会があったり。
終演後にはセットリストをSpotifyやAppleMusicで公開してそれのQRコードを貼り出したり。
最後にはバンドメンバーがファンと交流する「お見送り会」があったり。

とくにセットリストは帰路の余韻にピッタリでとても嬉しく思いました。
これだけ長いセット、全部覚えられないからこの記事を書くのにも助かりましたね。




いままでのライブでは経験したことのない新しい試みがたくさん。
(ティアーズのライブでは普通なのかもしれませんが‥)

ライブの途中では
・いまアップしてるスタジオライブ、これからも何曲かアップするよ!
・夏の東京公演、来年早々に映像化するよ!
・ニューアルバム作ってるよ!来年発売を目指すよ!

といった明るいニュースもたくさん。

アルバム製作にとりかかると、しばらくライブは難しいですかね。

けど、アルバムリリース後にはまたツアーしてくれることでしょう。
そのときにはコロナ禍も落ち着いて、バンドやファンの方々と大声で歌い、叫びたい。
その日が楽しみです。


TEARS OF TRAGEDY - クロノメトリー (OFFICIAL VIDEO)



TEARS OF TRAGEDY - Epitaph (OFFICIAL VIDEO)








  

Posted by テン at 07:48Comments(0)最近の記事

2022年11月11日

新たな80's

北欧メロディックロックが隆盛の兆しを見せていますね。
そんな中で突出した存在感を示すのはなかなかハードルが高くなっています。

そして、意外なバンドが意外な方向性を見せてくれました。

RECKLESS LOVE [TURBORIDER]




フィンランド出身。
2022年リリースの5thアルバムになります。

私がこのバンドに出会ったのはLOUDPARK10でのラインナップアナウンス。
たしかラインナップの発表の中でも最後のほうだったように記憶しています。

で‥

「聞いたことないバンドだな」

「YOUTUBEで聞いてみるか」

「!」

即アルバム購入

大好き!

LOUDPARKで大興奮

という流れでした。

1stアルバムではグラマラスでキャッチーで若々しいエナジーに満ちていて‥と、とにかく輝いていました。
ビッカビカに輝いていました。

その後も良質なアルバムをリリースし、徐々に落ち着きとアリーナロック的スケールの大きさを纏うように。
2016年リリースの4th [InVader]では、アルバムの内容もジャケットも、確固たる意志を示すアルバムになりました。
「生きていく方向性と、その自信を手に入れたな」となんだか誇らしくなりました。

そして今作。

一気に方向性を転換し、新たな音楽性へと舵をきりました。
いや。全く新しいというわけではない。
前作でもそういった曲が存在していた。あのアルバムの中では異色な存在でしたが。

近未来的デジタルサウンド。
CCB(古い)を思われるドゥンドゥンとしたドラムの音色。
初期ファミコンのビット時代を思わせるようなピコピコとした装飾。
MVを見ると、ファミコンというよりメガドライブ的か‥。

新しいようで古いようで。
新鮮さと懐かしさが一体となったサウンドに、彼らの魅力であるキャッチーなメロディが乗る。
今までと異なる世界観でありながら、不可思議な魅力で違和感を飲み込んでいく。

オープニングを飾るタイトルトラック[Turborider]
強烈なシャウトで切り裂いたあとは、囁くようなメロディ。そして徐々に再加速し、心地よいスピード感で駆け抜ける。
ところどころに漂うオールドスタイルな味付けが魅力を相乗させてくれます。
初めて聞いたときは戸惑いと驚きが渦巻きましたが、このアルバムの全体像を掴んでからは「開幕からその魅力全開だな」と感じるから不思議なものです。

その余韻と残音を引きずったまま[Eyes of a Maniac]
ややダンサブルな曲調、80's的なメロディが強い印象を残します。
「ポコポコポコポーン」的なドラム音も、このあたりで慣れてきますね。

哀愁漂うメロハーチューン[Outrun]
MTV時代に聞いていたようなメロディは無条件に身体が反応し、アドレナリンが湧き出てくるかのようです。

中盤に突如として現れる聞き慣れたリフ。まさかの[Bark at the Moon]!!
ボーナストラックじゃなく、アルバムのド真ん中ですよ。
「え、ここで!? しかもこの曲!?」という驚き、戸惑い。
このカバーでもドラムの音は相変わらずですが、その他はわりと忠実。
ヴォーカルもポイントポイントでオジーに寄せていて微笑ましい。

[Like a Cobra]は、もう完全に80's。
ハードロックという括りも不要。「あの頃」のサウンド、メロディ、装飾。
「ハッハッ・・」というコーラス? 囁き? もニンマリしてしまいます。
我々世代にはたまりませんね。
今の世代がどう感じるのか聞いてみたい。

‥と、この先も「80's」というワードばかり出てきそうなので、このへんにしておきましょうか。


想定外のアルバム、想定外の音楽性の変移となりましたが、MTV世代なら終始笑顔になるサウンド。

前作で「これだな」というスピリットを提示し、ファンも「これなんだな」と確信を持った次作だけに、驚きました。
が、様々なバンドが個性を確立しつつある中で、埋もれるどころか大きな変化球で存在を示す強烈な作品となりました。

前作からの変化という点では驚きながらも、私が大好きだった1stと比べると「あぁ、なんとなくリンクする」と思わせる不思議なアルバム。
ここ数作のアルバムが「悪くないんだけど、ちょっと落ち着いちゃったよね」と感じていた方々がいらっしゃるのであれば、是非聞いて頂きたい。

驚きと戸惑いから始まり、やがてクセになる。
この感覚、分かっていただけると思います。


RECKLESS LOVE - Turborider (2022) // Official Music Video // AFM Records



RECKLESS LOVE - Outrun (2021) // Official Music Video // AFM Records
  

Posted by テン at 07:39Comments(0)最近の記事

2022年10月19日

超新星、現る

凄いバンドが現れた。
いや、世間一般的に凄いかどうかは分からないから、私にとって鮮烈なインパクトを残すバンドが現れた、というべきでしょうか。

Fellowship [Saberlight Chronicles]




イギリス出身。
2022年リリースの1stアルバム、つまりデビュー作ですね。

ノーマークだった‥というか、全く名前も知りませんでした。
フとtwitterのタイムラインに流れてきたMVで即KOでしたね。

大まかなジャンルとしてはメロディックパワーメタルということになるでしょうか。
そしてファンタジックな世界観。

こういったバンドがイギリスから登場するのは珍しいのではないでしょうか。

ファンタジックなメタルといえば、RHAPSODYを始祖としての流れの印象が強い。
ドラゴン。
剣。
魔法。
王。

祖国のために剣を持て。
王のために戦え。


そこからさらにロールプレイングゲーム的なエレメントを濾過し具現化するとGloryHammerTwilightForceといったバンドを思い浮かべることでしょう。
そう、音楽性としてはそういったバンド(とくにTwilightForceが近いでしょうか)に通じるものがあります。

だけど、このバンドはそこまで露骨に「音楽のコスプレ」的ではない。
サウンドはファンタジックでありながら、アルバム全体の彩りはそこまで傾倒していない。
良くも悪くも‥になるかもしれませんが、そこまで飾ってないのだ。
まぁ、MVでのフォルムはそれに近いものがあるので、あくまで「音楽性」の話ですがね。

この新人バンドが契約したのが、イタリアのSCARLET RECORDS
DarkMoor、Labyrinth、DGM、Secret Sphere、Wuthering Heights‥おぉ‥ってなりますよね。


夜明けのような鍵盤打楽器に導かれて、広大な草原の視界が開けていくような解放感と快感に包まれ始まる[UNTIL THE FIRES DIE]
私がイッパツKOされたのはこの曲だ。
徹頭徹尾ポジティブなメロディ、サビ前の心地よい疾走感、勇気が満ちあふれるサビ。

いわゆるパワーメタル/メロスピタイプのヴォーカルでないのもその個性として光る。
クセのない、ナチュラルな、それでいて安定した透明感でサウンドを彩る。

そしてなんといっても中盤~後半のインストパートがたまらない。
飛翔系ギター、鐘の音。
これからの旅(アルバム)への旅立ちを明示するかのようなメロディの洪水。
完璧だ。完璧なのです。


中世的イントロダクションから徐々に王道HM的に変化していく[ATLAS]
中期STRATOVARIUSを想起するようなリズムの刻み方は、「お、こういう路線もイケるのか」と思わせます。

[UNTIL THE FIRES DIE]と並ぶキラーチューンと言えるであろう[GLORY DAYS]
戦いの凱歌を掲げるかのような勇壮な幕開け、決意に満ちているようなシリアスなAメロから徐々に高揚感を高めていき、キーボードに彩られたスピーディーなサビへ。
HELLOWEEN[EAGLE FLY FREE]的展開と言えるかもしれません。
そしてインストパート後の語りパート的なところで聞かせるヴォーカルのオペラ的低音パート。
これも実に魅力的。

イントロから「‥DragonForce!?」と思わせておいて、そこから意表をつくことなくそのままDragonForce的に駆け抜ける[OAK AND ASH]
Aメロでブレイクを入れるのも実にDragonForce。
サビからインストパートでギアをあげるのも実にDragonForce。

ちょっぴりMANOWAR的な勇壮さを感じる[HEARTS UPON THE HILL]
それでもこのヴォーカルのおかげで、濃くなりすぎることなくマイルドなミディアムチューンとなっています。

[UNTIL THE FIRES DIE]的ポジティブな世界が再び繰り広げられる[SCARS AND SHRAPNEL WOUNDS]
ややマイルドな仕上がりではありますが、中盤にこの曲が配置されることでアルバム全体像がクッキリしてきますね。

SONATA ARCTICA的、ややスペイシーな疾走感を見せる[THE HOURS OF WINTERTIME]
再びファンタジックな世界を描く[GLINT]
旅の途中の景色が浮かぶかのような[THE SAINT BEYOND THE RIVER]
旅路の最後を力強く駆け抜けるかのようなドラマティックな[AVALON]


目眩くような世界を描ききり、強烈なインパクトを残す作品となりました。
GloryHammerやTwilightForceのように確固たるイメージを確立しなかったのがプラスに作用しているように思います。
見た目はそういった雰囲気ではありつつ、その「音」をどう受け止めるかは聞き手に委ねられている。
先人たちのエッセンスを吸収し、Fellowship流に広いベクトルで放出しているかのよう。

Fellowshipとは仲間意識、連帯感、協力といった意味があるそうだ。
まさにそのバンド名が示すようなポジティブさと一体感が溢れている。

何度でも繰り返す。
凄いバンドが現れた。

復活したEvokenさんが招聘してくれるのを待つばかりだ。

♪ Fellowship will grow!



FELLOWSHIP - Until the Fires Die (Official Video)

  

Posted by テン at 07:29Comments(0)最近の記事

2022年09月28日

白いあんきも

彼女たち&彼らたちはどの高みまで進むのか。
これでまだメジャーデビューしていないというのはある意味挑戦とも言えるでしょう。

Unlucky Morpheus [evolution]




日本が誇る歌姫Fuki嬢を擁するジャパニーズメロディックメタルバンドの急先鋒。
2022年リリース。
今作が‥何作目でしょうか。同人音楽時代からのたたき上げですからね。
東方アレンジアルバムを除いたオリジナルアルバムとしては7枚目くらいでしょうか(違ったらごめんなさい)

通称「白あんきも」アルバム。(勝手に命名)

Fukiちゃんが絡むバンドは、まず略称から決まり、そこからバンド名を決めていく‥と聞いたことがあります。
LightBringer「らぶりー」
Gacharic Spin「がちゃぴん」
DOLL$BOXX「ドル箱」
そしてUnlucky Morpheus「あんきも」
「あんきも」という愛称で呼ばれるためのバンド名を産み出すのは苦労しただろうな‥と。

強烈な個性を放つヴォーカリストであるFukiちゃんが前面に推されている感がありますが、実は他のメンバーも凄腕揃い。
とくに、「ヴァイオリン」というメタルバンドでは珍しいパートを担うJillちゃんの存在感はあんきもの個性を唯一無二のものとする最重要パーツ。
そしてGalneryusのメンバーでもあったふーみん(今はFUMIYAで統一しているようですが)のドラミングも聞きどころ。

一段一段ステップアップ‥というよりは、加速度的な進化を見せてくれています。

前作も充実の内容でしたが、そこから2年と経たずにアルバムリリース。
まさに充実期であることを伺わせます。

Fukiちゃんのヴォーカルはさらに鮮烈さを増し、支えるリズム隊の骨太感はさらに力強く。
メロディはさらに充実感を纏い、歌詞も説得力を持っています。
ところどころで見られる彼ら流の遊び心は、メジャーという枠にはめる必要がないからこそでしょうか。

イントロダクション[evolution]で幕を開け‥

彼らの十八番であるシンフォニックな導入からのメロスピチューン["M" Anthem]へ。
バンドのリーダーであり頭脳である紫煉が麻雀のMリーグ好きであることからシリーズ化している["M"]シリーズ
前作にも[Top of the "M"]が収録されていましたが、完成度が桁違い。
多様に織り込まれた麻雀用語も違和感なく溶け込んでいます。

く[アマリリス]は、アニソンなども歌うFukiちゃんの多様性が光ります。
強靱なメロスピチューンから、軽やかかつキュートなこの曲への転調&変調はこのアルバムのひとつのハイライトでしょう。
妖艶とも言えるヴォーカルスタイルはタイトルとフィットしてその魅力をさらに拡げています。

ややオリエンタルでヘヴィ。そして明朗でヒロイックなサビが脳裏に残る[誰が為に]
歌詞や彩り、ギターメロディの「和」がアルバムの中盤で強いアクセントとなっています。

Jillちゃんのヴァイオリンを軸にダークで疾走感のあるメロディが印象的な[The Black Death Mansion Murders]
これも彼らの得意路線ですね。実に「らしい」曲です。

["M" Revolution]は、これまたMリーグをテーマとした曲。
シリアスかつピュアメロスピ路線の["M" Anthem]よりは、ややキャッチーかつFukiちゃんの歌唱もアニソン寄り。
今後"M"シリーズがさらに加速していくかは不明ですが、この二曲は現段階では彼らのひとつの旗印であると言えるでしょう。

GALNERYUS「FLAG」シリーズのような象徴になっていくのでしょうか。


‥ということで、充実&進化のアルバムとなりました。

キラーチューン(というよりは私が大好きな曲)という意味では前作/前々作のほうが印象深いのですが、今までにない「え!? もう終わり!?」という瞬間風速的な感覚はアルバムの充実を示しています。

この進化はどこまで進むのか。
まだまだ目が離せませんね。


[Official Video] Unlucky Morpheus - 「"M" Anthem」
麻雀わかる人は、歌詞にも全力注目してほしいですね。




  

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2022年08月31日

南瓜の遺伝子

ダサい。
だが、それがいい。

一昔前のB級メロスピを「王道」として進むようなジャケットと音楽性。
だからこそ惹かれるのです。

TRICK OR TREAT [CREEPY SYMPHONIES]




イタリア出身。このアルバムは7作目になるようですね。
リリースは2022年

バンド名からして、もうHALLOWEENHELLOWEENですよ。
いわゆるHELLOWEENフォロワーですよ。
他に言うことないんですよ。

‥というくらい、あの「ジャーマンメタル」百花繚乱時代に雨後の筍ように現れた音ですよ。
イタリアだけどジャーマンですよ。

‥いいのだ。それでもいいのだ。
多くのハロウィンフォロワーがそういった音を発表し、ちょっと注目されると「俺たちは違うんだ」と方向転換してバンドが失速していった姿を何度も見てきた。

彼らは違う。
このバンド名を冠した以上、その道が進むことが宿命であり、それをバンドもファンも分かっているのだ。

変わらないことが美学なのだ。

とはいえ、確実にスケールアップしているのだ。

子ども向け映画のような、ちょっとホラーでちょっとメルヘンチックなイントロダクション[Trick or Treat?]

そこから一気にジャーマン節全開の、(ほぼ)アルバムタイトルトラック[Creepy Symphony]へ。
アニソンのようなわかりやすさと、王道の疾走感。
シンガロング必至のコーラスのサビ。
これだよ、これ。
本能が喜ぶのですよ。細胞が反応するんですよ。

続くミディアムチューン[Have a Nice Judgment Day]
歌いまわしやハイトーンの伸ばし方が完全にマイケル・キスク風。
ちょっと高音でヒネりが入るあたりも微笑ましい。

ちょっとしたパーティーチューンと言えるでしょうか。[Crazy]
Keeperシリーズではなく、[Pink Bubbles Go Ape][Chameleon]の時代を思い出しますね。

アルバム指折りのキラーチューン[Escape From Reality]
彼らの名作である[Rabbits' Hill Pt.2]に収録された[The Great Escape]も素晴らしかったこともあり、「TRICK OR TREATの[Escape]シリーズにハズレなし!」と強く確信します。
(まぁ、なんの繋がりもないとは思いますが)

なんだかIRON MAIDEN風のイントロが印象的な[Queen of Likes]
サビで一気にギアをあげて駆け抜けていくところが心地よく高揚感を誘います。
サビの歌詞の分かりやすい乗せ方もたまんないですね。

ラストを飾る[The Power of Grayskull]は、なんと12分近い大曲。
私は大曲フェチなのです。
長くて複雑に展開していく曲が大好きなのです。
けど長ければいいというものではないのです。
飽きないような大曲に出会えるのはなかなかないのです。
が、素晴らしいのです。
コミカルな曲調は封印し、シリアスにドラマティックに。
緩急をつけ、メロディにもメリハリがあり、サビはヒロイックに。
エンディングはANGRAを思わせるコーラス。

こんな曲を作れるようになったのか‥と感動しましたね。


:
:

ということで、コメントのほとんどが[HELLOWEEN的]で染まってしまいましたが、いいのです。
彼らがそれを探求・追求し、ファンはそれを迎合する。

期待していた通りの音で、期待していたクオリティを越えてくる。
これって実はすごく難しいことだと思うのです。

それができるバンドって稀有だと思うのです。
きっと次のアルバムも「やっぱり(笑)」「けど大好き」が交錯するアルバムになることでしょう。
そしてそのウキウキした期待を越えてくれると思うのです。


TRICK OR TREAT - Creepy Symphony (Official Video)



TRICK OR TREAT - Escape from Reality (Official Video)


  

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2022年08月12日

生きて、スポットライトの下へ

彼女は今も闘っている。
癌サバイバーとして、スポットライトの当たる表舞台に帰ってくるために。

THE UNCROWNED [REVIVE]





国産メロディックハードロックバンドのデビュー作。
2016年発表。

日本国内でも女性ヴォーカルのメタルバンドはずいぶん増えてきた。
その乱立するバンドたちの中で個性と立場を確立するのはなかなかハードルが高い。

そんな中でも、強く原石の輝きを纏っているバンドだと思う。

メロディの質、バリエーション。
そしてなんといってもSHALさんのヴォーカルスタイル。

いわゆる女性ヴォーカルに見られる強烈なハイトーンだったりキュートな歌いまわしだったり、といったスタイルとは異なる。
ちょっと硬質な強さとしなやかさ。
この声がさらにステージを上げてこれば、そして今でも充分魅力的なメロディとが相乗効果を産み出せば。
そう思うと、このバンドの伸び代はまだまだ先が見えないくらい期待しているのです。

そう、Tears of Tragedyを初めて聞いたときのワクワク感に似ている。

強靱なギターリフで幕を開け、一気にSONATA ARCTICA風に疾走する[SHIVER]
刻むリズムは時折ANGRAを思わせます。
そのスピード感に芯のあるSHALさんの声が重なる。
このコンビネーション。
一曲目から彼らの、そして私にとってのひとつの理想が具現化されているのではないでしょうか。

アルバムタイトルトラックになっている[REVIVE]
王道ハードロック然としたメロディとジャパニーズポップス風の彩りが華やかなチューンで、MVに選んだという意図は正解かもしれませんね。

[INIFINITE]LightBringerを思わせるようなアップテンポチューン。
ポジティブなメロディだからこそ、個性的なSHALさんの声がより際立つ。
その声は、サビではかなり柔和な光を放ちます。

ジャジーなリズムが印象的な[RELUME]
バンド、ギタープレイ、ヴォーカル‥と、それぞれが懐の深さを見せます。

穏やかなイントロダクションからややシンフォニックなアレンジ、そして静かに語りかけるようなパートを経て、力強いメッセージ性を持ったサビヘ導いていく[BRAVE MY HEART]
シリアスな世界観も相まって、SHALさんの魅力を詰め込んだ曲といえるでしょう。

そしてラストを飾る[UNWAVERING]
スピードチューンですが、[SHIVER]のメロスピ感とは趣が異なる。
徐々に空が開いていくかのような高揚感。
ジャパニーズメタルらしい、日本人ならではのメロディーラインが本能をくすぐります。
この展開、やっぱり思い出すのはLightBringerでしょうか。


オープニングの訴求力、心地よく幕を閉じるエンディング。
アルバム全体の印象を底上げしてくれていますね。


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そのSHALさんは、いま子宮頸ガンと闘っている。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/94091?media=frau

いまは余命宣告で年内と言われているそうだ。

彼女のツイッターやNOTEが目に飛び込んでくると、胸が苦しくなる。
頑張ってほしい、などという軽々しいことは言えない。

けど、彼女自身がまたステージに戻ってくるのを諦めていない。

だから、私は待ちたい。

この「まだまだ輝きを秘めているバンド」「まだまだ伸び代があるバンド」「その先」を見たい。聞きたい。

今できることは、彼女を応援することしかない。

最近、サブスクリプションでも公開されたそうだから、そこに手を伸ばすだけでもいい。
少しでも多くの人に、彼女の歌声が届くように。
そしてそのリアクションが彼女に届きますように。


THE UNCROWNED - REVIVE (Official Music Video)





THE UNCROWNED - SHIVER


  

Posted by テン at 07:26Comments(0)最近の記事

2022年07月15日

失った時間

コロナ禍。
日常生活が「新しい生活様式」に染まる中、その日常生活の一部とも言えるライブに行けなくなって2年以上。
当たり前だった空間、当たり前だった時間が失われてしまった期間でした。

フェスのアナウンスが活気づき。
海外アーティストの来日の報が続き。
徐々に「音楽」が戻りつつある感があります。

そんな中。
コロナ禍になって初めてのライブに行ってきました。

THE 冠 - 超頭振狂想曲TOUR2022 FINAL。





会場は新宿の「Zirco Tokyo」
HPを見るとキャパは250人

コロナ禍になってからのライブについては、たくさんの制限があると聞いていました。
・キャパ縮小
・マスク必須
・声出し禁止
・フロアに仕切を引いて、そのスペース内での参戦

‥などなど。

そんな制限がある中で、どの程度楽しめるんだろうか。
そもそも声を出さないライブなんて楽しいんだろうか。

さまざまな不安を胸にしての参戦となりました。

ギリギリでのチケット購入だったので、当然入場は後半。
まぁ、開演に間に合えばいいか‥という程度で、入場開始からずいぶん経ってから現地へ。

‥まだ番号順の呼出しをしていますね。
そしてちょうど私の番号が呼ばれました。

会場に入る通路(階段)は長蛇の列。
この段階ですでに開演10分前くらい。

これは開演に間に合わない人がたくさんいるんだろな‥もしくは開演遅らせてくれるかな。
なぜこんなに進まないんだ。

チケット引換を前にして、「ドリンクチケット代をご用意ください」というアナウンスが聞こえてくる。
‥そうか。ドリンクチケット。すっかり忘れてた。
いつもはドリンクチケット用の小銭を持ってきてたのに、そのシステムすら忘れてた。
たまたまサイフに600円あったので助かりました。

チケットチェックとドリンクチケット購入を経て、ようやく入場。
‥と言いたいところですが、各自が名前や連絡先などを記入する必要があるようです。
これもコロナ禍ならでは。クラスター対策ですね。
ココがどうやら会場入場に時間がかかっている原因のようです。

入場すると、ほぼフルハウス!
最後方の位置を確保し、開始を待ちます。やはり入場の遅れがある分、開始も遅延したようですね。
全体を見渡すと、コロナ前のライブと雰囲気は全く同じ。
全員がマスクしている、という点以外は。
開演前にみんながワイワイザワザワと会話している空気感も同じ。

けど、全フロアが埋まっているとはいえ密度は若干低そうな感があるのは、やはり少しキャパを抑えているからでしょうか。

耳栓を装着し(これも久しぶり!)‥そして開演!

今回のツアー名の通り、ヘドバン必至なヘヴィメタルチューンが連発される。
首を振る。
拳を振り上げる。
これだ。これだよ。これだったんだよ。ライブに帰ってきたよ。

大合唱パートでは、声が出そうになる。
というか、声を出さないようにクチだけ動かしてるつもりでも、どうしても小声で歌ってしまう。

そういう人が密集しているからか、実際に声が出ている人がいるからか、それとも耳の錯覚か‥以前ほどではないにしろ、みんなの声と、その一体感が場内を包んでいるように感じる。

冠さんも
「基本的は声出し禁止な。けど、やむを得ず出しちゃうこともあるよな。そういうときは仕方ないよな。けど禁止な」
「そうは言っても、大阪は声だしてるやつ多かったな(笑)」

と微妙な言い回しでの注意。

けど、冠さんの魅力のひとつであるMCではみんな声だして笑ってたからなぁ。そこまでは制限できないからなぁ。




結果的には「思ったよりも気にすることなく楽しめた!」
全力で歌う、全力で叫ぶことはできないけど、自分の胸の中では大合唱していた(それが若干漏れてたけど)。
翌日首が痛くなるくらい首を振れた。
もう腕があがらないくらい拳を振り上げた。

充分だ。やっぱりライブは最高だ。

これからさらに規制は緩和されていくことでしょう。
ライブでマスク不要になる日がいつか分かりませんが、まずは「マスクしていれば声出しオッケー」の日が来てくれると願いたい。

そしてこれを期に、またたくさんライブに行こう。
空白の2年半、バンドも苦境に立たされていた。
チケットを買い、物販を買うことで少しでもバンドを支える。
バンドは私たちに至福の時間を与えてくれる。

さぁ。私たちの新しい生活様式にライブが戻ってきました。  

Posted by テン at 07:29Comments(0)最近の記事

2022年07月08日

道は続く。

こういう時代だからこそ、ポジティブなメッセージを打ち出すバンドは多い。
その強い思いはバンドの方向性にも大きな影響を与えます。

KISSIN' DYNAMITE [ NOT THE END OF THE ROAD ]




北欧アリーナロックのような雰囲気をまといますが、ドイツ出身。
2022年リリースの7作目になります。
もう中堅どころですね。


私がこのバンドに出会ったのは2ndアルバム。
若く爆発力を伴ったエナジー、キャッチーなメロディ。
「これ、ドイツ!?」と驚いた記憶があります。

名作3rd[Money, Sex and Power]
そしてひとつの転換期となった4thの[Megalomania]を経て‥。

その後、「悪くないんだけど、枠にはまってるというか、どこか突き抜けてほしいんだなぁ」という印象。

そして今作。
こういった流れもあり、「そうか、このバンド好きだったなぁ。リリースするのか」という程度でしたが‥。

素晴らしいです。
GOTTHARDの中期のような円熟味と充実感が漲っています。

上述したように「俺たちが今できるメッセージ」「俺たちの進むべき道」を明確に投影し狼煙を再びあげる。
そういった意図でいうと、ANGRA[REBIRTH]を思い出します。

その方向性を見出すことで、彼ら本来のポジティブ&キャッチーなメロディが際立つ。
そしてそのエッセンスに積み重ねてきた余裕と経験が強いオーラとなって覆う。
「おぉ‥歩んできた道はここに繋がるものだったのか」という必然性を感じます。


オープニングトラックでありアルバムタイトルトラックである[Not the End of the Road]
冒頭からアルバムの魅力を強烈に発散し、ポジティブなメッセージを伴うサビとコーラス。
彼ららしいドライヴ感でありながら、今までの彼らとは違う。
新たな道標となるキラーチューンとなりました。

アリーナロック然とした[What Goes Up]
こういったスケールの大きい曲へのアプローチにも余裕を感じますね。

アコースティックな調べから、中期BonJoviを思わせるようなブルージー&カントリーなメロディが印象的な[Good Life]
こういったアメリカンハードロック的なスタイルも今作の特徴のひとつ。
今作が私に刺さるのは、私がこういったスタイルの曲が好きだから、というのもあるでしょうね。

ここ数作で見られた、ちょっと遊び心を織り込んだキャッチーなメロディの[Yoko Ono]
ちょっとタイトルに驚きますが、[Hashtag Your Life]あたりの雰囲気を残しています。
もしかすると、この曲が一番今までの彼ららしいのかもしれません。

大地の風と土埃が舞うかのようなダイナミズムに満ちた[Coming Home]
この曲もいわゆるアメリカンロック系ですが、憂いと哀愁を孕んだメロディは今作のハイライトのひとつと言えるでしょう。

やや派手めなパーティーロック感の漂う[All for Halleluja]
胸締めつける、美しく力強いバラード[Gone for Good]
美しくエンディングを飾る[Scars]

‥と、オープニングからエンディングの構成までパーフェクト。
掴みも余韻も計算され、何度も聞いてみたくなるアルバムとなっています。


タイトル通り、自分たちの今まで歩んできた「道」、終わらないこれからの「道」を示す。
アルバムジャケット通り、強い轍となりました。


KISSIN' DYNAMITE - Not The End Of The Road (Official Video)




KISSIN' DYNAMITE - Coming Home (Official Video)


  

Posted by テン at 07:19Comments(0)最近の記事