ヘビメタパパの書斎 › 2019年08月

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2019年08月23日

個性×個性

個性。
他のバンドと一線を画していくために必要な要素でしょう。

が、この「個性」と別の「個性」をうまくミックスするのは意外と難易度が高かったりする。
プロフェッショナルが集うからこそ、よく見られる光景だ。

ANGRA [Omni]





ブラジリアンメロディックヘヴィメタルバンドによる、9枚目のアルバムになるでしょうか。
2018年リリース。

先日、亡きアンドレ・マトスの記事を書いたことも記憶に新しいところです。

アンドレ・マトスで3枚。
エドゥ・ファラスキで4枚。
そして元RHAPSODYファビオ・リオーネがゲストヴォーカルから正式ヴォーカルとして加入して2枚目。

強烈な個性を持つヴォーカリスト、そして強烈な個性を持つバンド。

どうしたって「元RHAPSODY」であり、「イタリアンメタルの象徴」とも言えるファビオ。
そしてブラジリアンメタルの礎を築いてきたと言えるANGRA。

この組み合わせ、どっちも大好きなのに当初は全く馴染めなかった。
N極とS極が相反するかのような。
水と油のような。
これ、うまく溶け込めることはないんじゃないか、と。
むしろ(当時存命だった)アンドレ・マトスを戻してくれ、と。
何度そう思ったことでしょうか。

が。

ファビオが加入してからANGRAのライブを見る機会があった。
そのときに、
「あれ‥アンドレ・マトス時代の曲が思ったよりフィットしてる」
「大好きなHOLY LANDアルバムの曲が、あまり違和感ない」

という意外な感覚を得てから、徐々に受け入れられるようになってきた。

そのライブを経てリリースされたこのアルバム。
バンドのキーマンだったキコ・ルーレイロMEGADETHに加入し、改めて真価を問われる作品になりました。


オープニングを飾る[Light Of Transcendence]
ファビオ時代のANGRAの代表曲になっていってくれるであろう高揚感。
彼らが最も得意とする、いかにもANGRAらしい疾走感、シンフォニックなアレンジ、心地よいリズムチェンジ。
劇的かつ壮大なオーケストレーションパートは背筋が震える思いです。
曲全体も素晴らしいのですが、幾重にも積み重なった彼らのパーツ、その一つ一つが強靱で、そのパーツパーツを楽しめる曲に仕上がっています。
だから飽きない。王道ながらも新しいのだ。

[Travelers Of Time]は、これまた彼ららしいトライバルな空気が印象的なミディアムチューン。
サビでの飛翔感はファビオの魅力が伝わってきます。

穏やかに響く美しいパート、ARCH ENEMYアリッサがゲストヴォーカルを担う咆哮パート、勇壮なファビオのパートが複雑に絡み合う[Black Widow's Web]も印象的。
テクニカルかつ、時にプログレッシヴな雰囲気を醸しだします。

バラードでありながら、芯の強さが光る[The Bottom Of My Soul]
ややオリエンタルな空気に彩られた色彩が美しく、そして強さを感じる曲です。

[War Horns]のスピード感、そして間奏に飛び込む前のファビオの「GO!!」がたまりませんね。

[Magic Mirror]はこれまでになかったタイプの曲でしょうか。
個人的にShadow Galleryを思い出してしまった、プログレッシヴなタイプの曲ですね。

ラストを締めるのは組曲形式となった [Omni - Silence Inside] ~ [Omni - Infinite Nothing]
心地よいエンディング感を演出してくれます。


ファビオが加入して2作目ということで、正直なところまだ慣れない。
ファーストインプレッションはどうしても彼の声が飛び込んでくる。

が、ジックリと聞けば聞くほど、ANGRAの魅力はファビオに負けていない。
ANGRAはANGRAなのだ。

完全に融合しているとはまだ思えませんが、ファビオの魅力がサウンドを牽引する魅力、バンドがファビオという武器を得て邁進する底力。
両方が楽しめるという意味では実に幅広いアルバムだなと思います。


Angra - Light of Transcendence




  

Posted by テン at 07:38Comments(0)A