2021年08月23日
仕返しか恩返しか
プロ野球選手がトレードや人的補償で移籍すると「活躍して恩返ししたい」という思いを語る人がいる。
全然シチュエーションは違うのですが、このアルバムを聞いてそんなシーンが脳裏をよぎりました。
Edu Falaschi [VERA CURZ]
ブラジル出身。
ブラジルの至宝と呼ばれたANGRA。
そのANGRAの前ヴォーカリストであるエドゥ・ファラスキによる初のフルアルバム。
ソロというよりはバンドに自分の名前を冠したというスタイルのようですね。
2021年リリース。
アンドレ・マトス脱退後、「もうANGRAは終わった」というファン(そして私)の絶望を救ってくれたのがエドゥであり、[REBIRTH]でした。
「ANGRAらしさ」という原点に戻り、その世界観を産み出すために加入したエドゥ。
そしてまさに「エドゥのANGRA」として[REBIRTH]してくれました。
加入後のライブでも、ライブ終盤に配された名曲[CARRY ON]をノーフェイクで伸びやかに歌う姿をみて「ANGRAの未来は約束された!」と思ったものです。
が。冒頭の通り、ANGRA在籍時の晩年は見ていて辛いものがありました。
全盛期のパフォーマンスを知っているから、なおさら。
だから脱退の報を聞いたときも「だよなぁ‥しかたない。ゆっくり休んでほしい」と冷静に受け止めることができました。
その後。
いったん舞台から退き、その後過去の曲をアコースティックアレンジしたアルバムを出したり、ANGRA時代の曲を披露するライブを行ったり‥と、徐々に表舞台に帰ってくる気配を見せていました。
その後リリースされたミニアルバム[THE GLORY OF THE SACRED TRUTH]では、「完全にANGRA風味」という曲をリリースして驚かせてくれました。
そして今作。
以前のインタビューで「新しいANGRAになりたいのではなく、ANGRA時代のエドゥ・ファラスキを甦らせたい」といった発言をしていましたが、その宣言通りになりました。
アルバムタイトルは「真の十字架」を意味するそうだ。
ジャケットの雰囲気&世界観ともども、[Temple of the Shadows]の雰囲気が漂います。
荘厳かつシンフォニックなイントロダクション[Burden]。
戦火の中のドラマを勇壮に描く緊張感はアルバムの世界を象徴するかのようです。
続く実質的オープニングチューン[The Ancestry]。
[Nova Era]を筆頭に、エドゥ在籍時の強力オープニングチューンの魅力を凝縮したかのような強烈な疾走感。
そんな曲を甦ったエドゥの声が歌いあげるのだから、カラダは無条件に反応してしまいます。
流麗なギターソロ、重厚なコーラス。
もうね。「完全にANGRA」ですよ。
懸念されたエドゥのパフォーマンスですが、ひとつの魅力であった中音域は完全に戻っている。
そしてANGRAの武器でもあり、彼が脱退する要因となったであろうハイトーンについては「違和感はないけど、マイルドになった」という印象。
全力で太く伸びていくというよりは、やや細めにメロディを撫でていくような。
それでも彼の魅力は充分に堪能できます。
LOUDPARK10での彼の痛々しいパフォーマンスは今も記憶に新しい。
そのパフォーマンスから11年。
よくここまで戻ってきてくれたものです。
[HOLY LAND]時代のようなアレンジで穏やかさを湛えた[Skies In Your Eyes]。
ナチュラルなエドゥのヴォーカルは彼の魅力の一面をクローズアップしてくれます。
ストレートな疾走感からクラシカルなコーラスを伴いポジティブに舞い上がる[Crosses]もANGRAが得意としたスタイル。
「GO!!」のシャウトも「あー、エドゥだなぁ」と嬉しくなります。
トライバルな魅力が美しい[Land Ahoy]。
これはアンドレ・マトスが歌っても映えそうだなぁ・・という感慨が沸き上がります。
[Fire With Fire]は、いい意味で軽やかな疾走感。これは[Fireworks]時代を思い出します。
まるで祈りを捧げるかのようなエンディング[Rainha do Luar]。
重く心を刺すかのようでもあり、心を解放するかのようでもある。
幕開けの重厚さとの対比が心地よくフィナーレへと導いてくれます。
:
:
ということで、「ANGRAのエドゥ」に思い入れがある人であれば必聴でしょう。
自分が在籍していた時代、そして加入前のアンドレ・マトス時代も含めて、ANGRAという存在に対してのリスペクトが強く感じられます。
ただ、「脱退したのにここまで露骨にやらなくても‥」という思いを抱くかもしれません。
現在のANGRAはファビオ・リオーネがヴォーカルになっていますが、ファビオの個性とANGRAの個性がぶつかりすぎて、個人的にはまだ慣れないところがあります。
その点、このアルバムは当時を知る人からすれば「今のANGRAよりもANGRAらしい」と感じるかもしれません。
ANGRAメンバーの思い。
エドゥの思い。
双方の思いを慮ると複雑な感情が絡み合います。
「ANGRAそのまんまやん(笑)」と考えるか。
「ANGRAそのまんまやん(驚)」と考えるか。
リスペクトと捉えるかパクりと捉えるか。
脱退した経緯が喧嘩別れではなかったはずだから、怨みはないはず‥と思いたい。
以前加入していたバンドへの仕返しではなく、きっと恩返しなのだ‥と思いたい。
その恩返しは、きっとファンへの恩返しでもあるはずです。
Edu Falaschi - The Ancestry
アルバムには入っていませんが、こちらも必聴。
EDU FALASCHI | The Glory Of The Sacred Truth | Official Music Video
全然シチュエーションは違うのですが、このアルバムを聞いてそんなシーンが脳裏をよぎりました。
Edu Falaschi [VERA CURZ]
ブラジル出身。
ブラジルの至宝と呼ばれたANGRA。
そのANGRAの前ヴォーカリストであるエドゥ・ファラスキによる初のフルアルバム。
ソロというよりはバンドに自分の名前を冠したというスタイルのようですね。
2021年リリース。
アンドレ・マトス脱退後、「もうANGRAは終わった」というファン(そして私)の絶望を救ってくれたのがエドゥであり、[REBIRTH]でした。
「ANGRAらしさ」という原点に戻り、その世界観を産み出すために加入したエドゥ。
そしてまさに「エドゥのANGRA」として[REBIRTH]してくれました。
加入後のライブでも、ライブ終盤に配された名曲[CARRY ON]をノーフェイクで伸びやかに歌う姿をみて「ANGRAの未来は約束された!」と思ったものです。
が。冒頭の通り、ANGRA在籍時の晩年は見ていて辛いものがありました。
全盛期のパフォーマンスを知っているから、なおさら。
だから脱退の報を聞いたときも「だよなぁ‥しかたない。ゆっくり休んでほしい」と冷静に受け止めることができました。
その後。
いったん舞台から退き、その後過去の曲をアコースティックアレンジしたアルバムを出したり、ANGRA時代の曲を披露するライブを行ったり‥と、徐々に表舞台に帰ってくる気配を見せていました。
その後リリースされたミニアルバム[THE GLORY OF THE SACRED TRUTH]では、「完全にANGRA風味」という曲をリリースして驚かせてくれました。
そして今作。
以前のインタビューで「新しいANGRAになりたいのではなく、ANGRA時代のエドゥ・ファラスキを甦らせたい」といった発言をしていましたが、その宣言通りになりました。
アルバムタイトルは「真の十字架」を意味するそうだ。
ジャケットの雰囲気&世界観ともども、[Temple of the Shadows]の雰囲気が漂います。
荘厳かつシンフォニックなイントロダクション[Burden]。
戦火の中のドラマを勇壮に描く緊張感はアルバムの世界を象徴するかのようです。
続く実質的オープニングチューン[The Ancestry]。
[Nova Era]を筆頭に、エドゥ在籍時の強力オープニングチューンの魅力を凝縮したかのような強烈な疾走感。
そんな曲を甦ったエドゥの声が歌いあげるのだから、カラダは無条件に反応してしまいます。
流麗なギターソロ、重厚なコーラス。
もうね。「完全にANGRA」ですよ。
懸念されたエドゥのパフォーマンスですが、ひとつの魅力であった中音域は完全に戻っている。
そしてANGRAの武器でもあり、彼が脱退する要因となったであろうハイトーンについては「違和感はないけど、マイルドになった」という印象。
全力で太く伸びていくというよりは、やや細めにメロディを撫でていくような。
それでも彼の魅力は充分に堪能できます。
LOUDPARK10での彼の痛々しいパフォーマンスは今も記憶に新しい。
そのパフォーマンスから11年。
よくここまで戻ってきてくれたものです。
[HOLY LAND]時代のようなアレンジで穏やかさを湛えた[Skies In Your Eyes]。
ナチュラルなエドゥのヴォーカルは彼の魅力の一面をクローズアップしてくれます。
ストレートな疾走感からクラシカルなコーラスを伴いポジティブに舞い上がる[Crosses]もANGRAが得意としたスタイル。
「GO!!」のシャウトも「あー、エドゥだなぁ」と嬉しくなります。
トライバルな魅力が美しい[Land Ahoy]。
これはアンドレ・マトスが歌っても映えそうだなぁ・・という感慨が沸き上がります。
[Fire With Fire]は、いい意味で軽やかな疾走感。これは[Fireworks]時代を思い出します。
まるで祈りを捧げるかのようなエンディング[Rainha do Luar]。
重く心を刺すかのようでもあり、心を解放するかのようでもある。
幕開けの重厚さとの対比が心地よくフィナーレへと導いてくれます。
:
:
ということで、「ANGRAのエドゥ」に思い入れがある人であれば必聴でしょう。
自分が在籍していた時代、そして加入前のアンドレ・マトス時代も含めて、ANGRAという存在に対してのリスペクトが強く感じられます。
ただ、「脱退したのにここまで露骨にやらなくても‥」という思いを抱くかもしれません。
現在のANGRAはファビオ・リオーネがヴォーカルになっていますが、ファビオの個性とANGRAの個性がぶつかりすぎて、個人的にはまだ慣れないところがあります。
その点、このアルバムは当時を知る人からすれば「今のANGRAよりもANGRAらしい」と感じるかもしれません。
ANGRAメンバーの思い。
エドゥの思い。
双方の思いを慮ると複雑な感情が絡み合います。
「ANGRAそのまんまやん(笑)」と考えるか。
「ANGRAそのまんまやん(驚)」と考えるか。
リスペクトと捉えるかパクりと捉えるか。
脱退した経緯が喧嘩別れではなかったはずだから、怨みはないはず‥と思いたい。
以前加入していたバンドへの仕返しではなく、きっと恩返しなのだ‥と思いたい。
その恩返しは、きっとファンへの恩返しでもあるはずです。
Edu Falaschi - The Ancestry
アルバムには入っていませんが、こちらも必聴。
EDU FALASCHI | The Glory Of The Sacred Truth | Official Music Video
Posted by テン at 07:15│Comments(0)
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