鈍色の輝き
「会心の一撃」と言ってもいい前作を経て・・・真価を問われる、そして今後を占う一枚だと思う。
エモーショナルなこの風情は、この季節にピッタリだと思いますよ。
GOTTHARD [NEED TO BELIEVE]
前作 [DOMINO EFFECT]では燻銀的円熟を見せてくれた彼ら。
このアルバムでは前作のムードを踏襲しながらも、彼らの原点でもあろうスケール感のあるロックナンバーも配置。
培ってきた貫祿を漂わせながらも前向きでポジティブな印象です。
オープニングを飾る、
[Shangri-La]のオリエンタルなムードに
「ん?」と思ったのも束の間。
続く
[Unspoken Words]のガッツ溢れるドライブ感。
で、重厚ながらもキャッチーな
[Need To Believe]を経て、
どことなく牧歌的、ウエスタン的な
[Unconditional Faith]は
Cinderellaみたいだったり。
[I Don't Mind]は私が
「GOTTHARDってこんなイメージ」という王道のミディアムながらもライブ映えしそうなチューンだ。
当然、バラードの美しさは今更触れる必要もない。絶品だ。
・・・と、まぁバラエティに富んでいるのだ。
それでも切ないながらも温もりに満ちている・・・という「らしさ」が全編を貫いています。
この切ないメロディをさらに上質なものに昇華させているのは
スティーヴ・リーのエモーショナルでソウルフルなヴォーカルでしょう。
ホント、いいヴォーカルだよね。
バンドが歴史を重ねて、ある種の
「落ち着き・貫祿」を見せ始めると、
「昔のほうが良かったなぁ」と思うことの方が多いのですが・・・
初期のキラキラとした輝きよりも、今現在の鈍色の輝きのほうがいいなと思わせてくれる希有なバンド。
BON JOVIが大きく取り上げられるニッポンで、最近のBON JOVIよりもニッポン人の琴線に触れるのではないか・・・とすら思うのですが。
Gotthard Unspoken Words