「良質」の可否
声高に
「大好きだ!」と叫ぶほど熱くなるわけではないんだけど、なんだかいつも自分のそばにいたバンドだ。
そして常に
「メタルって素晴らしい」という安堵を与えてくれるバンドだ。
まだ単独ツアーは見たことなかったんですが、この秋、
LoudPark15でついに遭遇することができそうです。
PRETTY MAIDS [SPOOKED]
デンマーク出身。まさに
「王道ヨーロピアンメタル」の代名詞といってもいいでしょう。
wikiによるとこの作品は1997年リリース。
アンプラグドアルバムを抜いて数えると
6枚目。中期の名作ですね。
PRETTY MAIDSの魅力といえば、北欧的煌き+ドイツを中心としたパワーメタル的突進力をうまくブレンドした音楽性。
そして一人でさまざまな声色を使い分けるヴォーカル、
ロニー・アトキンス。
さらにはキャッチーなコーラス。
メロディアスなギターリフ。
要所で切り込んでくるキーボード。
実に良質にバランスよく構成された音楽性。
逆にいうと、何かトンガってるものに乏しいという意味では、刺激を求めがちなヘヴィメタルファンにとっては
「優等生」に映ってしまうかもしれません。
そのあたりが
「そこそこ売れてるんだけど、爆発力に乏しい」という印象を与えてる感じは否めませんね。
それでも、ワタシのような
「刺激も大事だけど、やっぱりメロディだよね」というヘヴィメタルファンには「常に素晴らしいアルバムを提供してくれる、「鉄板ブランド」なのです。
PRETTY MAIDSといえば、初期の
[FUTURE WORLD]や
[BACK TO BACK]の印象が強い人も多いと思う。
もしくは、奇しくもバンド最大のヒット、代表曲となった(なってしまった)、カバー曲
[PLEASE DON'T LEAVE ME]のイメージでしょうか。
かくいうワタシ自身も最初に聞いた彼らのアルバムは
[JUMP THE GUN]。
「悪くないけど、特筆すべきものもないなー」という第一印象だった。
…まぁ、この印象はPRETTY MAIDSの魅力にとりつかれてからは変わっていくわけですが。
が、
[SIN-DECATE] [SCREAM] そしてこの
[SPOOKED]をリリースした頃が一番の充実期だと思っているのです。
骨太に、それでいて初期の煌きは残しつつ、スケールアップしたPRETTY MAIDSを聞くことができます。
[SCREAM]はそのヘヴィさで問題作扱いされることもありますが、その作品からこの
[SPOOKED]が生まれたという意味では、非常に大きな意味があったように思います。
その時代の三本柱の一本として非常に重要な位置づけを占めていると思うのです。
オープニングを飾る
[FREAKSHOW]は
[BACK TO BACK]を想起するストロングな疾走感。
その勢いのままに続く
[DEAD OR ALIVE]は、シリアスかつメロウでありながら、アルバムのオープニングからのテンションを加速していきます。
美しくガッツ溢れるコーラスはまさに
「プリメ印」の刻印。
[FLY ME OUT][TWISTED]のスピード感と高揚感も素晴らしい。
そしてタイトル曲となる
[SPOOKED]。ミディアムテンポ、ヘヴィなコーラス。息が詰まるような緊張感。
それでありながらエナジーが漲っています。
インストパートの美しさも印象的。
いくつかの過渡期を経て、一つの結果として結実したなと思わせるほどの素晴らしさです。
キャッチーな
[LIVE UNTIL IT HURTS]などのバランスも含めて、この時期の集大成と思わせるアルバムになっています。
まだPRETTY MAIDSを聞いたことがない人に薦めるなら、やはり
[FUTURE WORLD]と
[BACK TO BACK]から薦めるだろうと思う。
そして同時期のアルバムなら
[SIN-DECATE]から聞いてほしいと思う。
そしてその次でいい。
その次でいいから、絶対外さないで欲しい。
ある程度、PRETTY MAIDSがどんなバンドであるかを知ってくれたあとに触れてほしいアルバムです。
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ラウドパークでの出演位置は、今の彼らを象徴しているように思う。
上のほうでもなく、下のほうでもなく。
そして会場のヘヴィメタルファンも
「おー、プリメ。まだ頑張ってんだなー」って程度の人も多いかもしれない。
けど、
「やっぱりメタルはいい!やっぱりPRETTY MAIDSはいい!久しぶりに聞いてみよう!」って見直されるんじゃないかなと思ってます。
楽しみです!
Pretty Maids - Spooked