鋼鉄の宴13~後半戦

テン

2013年11月01日 07:31

さて、例年であれば体力の限界!(千代の富士風に)が近づく後半戦。
今年はスタンド観戦なので余裕でありますよ。

ってことで、LOUDPARK13の記録、後半戦スタート。

【SPIRITUAL BEGGARS】

CARCASS、現ARCH ENEMY、そしてミスター・ラウドパークと呼ばれるマイケル・アモットのバンドだ。
このバンド、どうも個人的にはフィットしない。
せっかくなら、CARCASSかARCH ENEMYがいいんだよなー。

実際、過去のLOUDPARKでSPIRITUAL BEGGARSをアリーナで見ていて、寝落ちしてしまったという経験もあるほど、どうも馴染まないのだ。

ってことで、この日最初のメシタイムに充てることに。

今回も例年の通り、シナシナのケンタッキー×ビール数杯を流し込む。
ケバブとかマグロ丼とか「ラウパメシといえばコレだろ」的意見はよく聞くのですが、なんか毎年ケンタ。シナシナ。
これがワタシのラウパメシ。

再度物販に行ってみたりレコード会社ブースに行ってみたりしている間に、演奏終了予定時間が近づく。
席に戻る。
・・爆睡中のSちゃん。目を覚まし「んぁー、よく寝た!」とスッキリした表情。Kさんも「俺も寝ましたよ」とのこと。
スピベガが睡眠を誘うのは、ワタシだけではなかったようだ。

次回はARCH ENEMYできてね。アモット。(CARCASSはしばらく無理っぽいから)


【STRATOVARIUS】

今や北欧メタルの大御所と呼んでもいいでしょう。
彼らのライブを見るのは何年ぶりだろう。どのツアーか覚えてないほど過去のことだ。
その間に、創始者のティモ・トルキが脱退。
屋台骨を支えてきた、実はイェンス・ヨハンソンと並んでこのバンドの大黒柱だったと思うドラマーのヨルグ・マイケルも脱退。
最近のアルバムも「悪くないんだけどね。間違いなくストラトなんだけどね。なんだかね。」という状態だったので、単独ツアーに向かう気分になれなかった。
とはいえ、ワタシのメタル史において非常に大きな存在だったことは間違いないバンドだ。
当然、今回の目玉のひとつだ。

オープニングは最近のアルバムから[UNDER FLAMING SKIES]
これまた微妙なチョイス。こういうミディアムテンポの曲は2~3曲目に配置してほしいなー、とフクザツな気分でスタート。
この微妙かつフクザツな心境をかきけすように、ソリッドなリフが鳴り響く。STRATOVARIUS屈指のスピードチューン[SPEED OF LIGHT]!!
この曲、リリース当時は実はあまり好きじゃなかった。「速いのはいいけど、メリハリがなぁ・・」という感じだ。
が、これだけの年数を経て、スケールが大きくなったバンドで演奏されると、やはりその魅力は際立つ。
間奏での「♪テケテケテケテケテケテケテケテケテ、デッデッ!!」というブレイク(タメ)もバシッとキメる。(このパートが好きなんだよね)

その後、最近のアルバムの曲を立て続けに演奏。
最近はスペイシーなムードを纏った曲が多い。悪くない。悪くないんだが・・やっぱりワタシはトルキ時代の曲が好きだ。

そして、トルキ時代の終焉近くに生まれた名曲[EAGLEHEART]へ!!
この頃はバンドのゴタゴタもあって、興味が薄れかけてきていた。その中でキラリと光る佳曲だ。
これは予想外だったのでウレシイ!

さらに壮大な[DESTINY]へ。
このアルバム、この曲がリリースされた当時のティモ・コティペルトは正直微妙だった。
加入前にトルキが「今度のヴォーカルがマイケル・キスクとジェフ・テイトを足して2で割ったようなヤツだ」と言ってて期待がパンパンに膨らんだ後だったから、よけいに「・・それはないわー」と思ったのもあるかもしれない。
今となっては、中音域の安定感、芯の通った高音域、そして何より「ブレる」ことが無くなってきた。
そのティモ(もう「小ティモ」じゃなくてもいいよね)のヴォーカルで、「新たに生まれ変わった」感すらある。

そして、イェンスのキーボードがあの「♪トテトテトテトテトテトテトテトテトテトテトテトテ・・」を奏でる。
名曲[BLACK DIAMOND]!!!
美しく儚いキーボードから導かれる疾走感と叙情性溢れるメロディに会場は歓喜と驚喜の坩堝!
歌詞といい曲調といい、メロスピ嫌いな人からは叩かれる要素満載だと思うわけですが、ワタシ、こういうの大好物ですから。
とっても分かりやすい(チープ、ともいう)歌詞は、シンガロングを巻き起こすのにはうってつけだ。

そしてバラード等を挟み、ラストに持ってきたのは[HUNTING HIGH AND LOW]だ。
個人的にSTRATOVARIUSの最高傑作であるアルバムのオープニングチューンだから、思い入れの強い曲だ。
・・このアルバムからなら[GLORY OF THE WORLD]もたまにはチョイスしてほしいんですが、まぁゼイタクな話だろう。
[EAGLEHEART]と並んで、初期の疾走感とは異なる、華麗かつ貫祿が漂うスピード感を持つ名曲だ。

サビでは「♪I AM HUNTING HIGH AND LOW~!!」と観客と掛け合い。
当然、ワタシもスタンド席から大合唱&ガッツポーズ!
ここでのオーディエンスの大コーラスは、背筋が震えるような感動を覚えましたね。
みんなストラトが大好きなんだね。

が、どれだけ疾走感がある曲でも一切サークルピットが発生しないところが、TRIVIUMあたりと客層の違いが見えて面白いですね。

ということで、すんごく久しぶりのSTRATOVARIUSでしたが、前半でチョイ中だるみしたものの、後半の畳みかけは劇的でした。
やっぱり名曲をたくさん持ってるバンドは強い。
それをチョイスするバンドは賢い。(去年のSONATA ARCTICAも、ココなんだよなー。コレを間違わなければ叩かれずにすんだのに・・)
そして、やっぱりティモ・トルキ時代のSTARATOVARIUSが好きなんだなー、と再認識。

あ、あとティモ・コティペルトの成長ぶりには驚かされました。
Kさんも「ヴォーカル、若々しいっすね」って言ってましたね。
いいヴォーカルになってくれたよ。




【LAST IN LINE】

結果的に「トリ前」ですね。
DIOの名曲をカバーする、というバンドですね。
正直、DIOのことはあまり詳しくないのでゴタクを並べるのはやめときましょうね。

とりあえず
ヴィヴィアン・キャンベルがギターを弾いてくれる、というのはウレシイ。
ヴィニー・アピスのドラムは、この日一番の圧力だったと思います。
ヴォーカルは知らない人。(事前に調べてもない)
ディオの代わりを担う、という重責の中で、パワフルでヴォリュームのある声を聴かせてくれました。
ディオに似ている/似ていないという議論は抜きにして、かなりワタシの好きなタイプのヴォーカルですね。ニルス・パトリック・ヨハンソンのパワーを思い出しましたよ。
[STAND UP AND SHOUT] [HOLY DIVER]といった、ワタシでも知っている曲もたくさん。
そしてラストは当然[WE ROCK]!!
この曲での会場での一体感はディオへの思いも相まって、また格別なムードに包まれていたように思います。

安定感バツグン、いいショウでしたよ。



【YNGWIE MALMSTEEN】

そしてKING DIAMONDのキャンセルで一躍トリということになったインギー。
まぁ、立ち位置がどこであれ、彼の「オレオレ」っぷりにブレはないでしょう。

このYNGWIE MALMSTEEN。以前ブログで書いた気がするが、過去に見てきた全てのバンドの全てのライブの中で圧倒的に「ワースト」だ。
とにかく、印象が薄かったことが印象に強く残っている。(ニホンゴがおかしいかもしれないが、いいのだ)
とにかく、アンコール(だったと思う)で[BURN]を演奏して「唯一、ココだけだな。盛り上がったの」というレベルなのだ。
最近はセットリストもいいらしいので、この印象を払拭してくれるだろう。と期待していたのだ。

開始前。
前バンドからのセット切替えは10分。
残り5分。ノイズ(ハウリング?)がスゴい。全く安定していない。
予定時刻。まったく状況は変わらない。
5分経過。いろいろなスタッフが入れ代わり立ち代わりでアンプをチェックする。
10分経過。ノイズは消えない。不快なハウリングが会場に響きわたる。

・・これ、ヤバいんじゃね。
・・安定してからなんてことになると、すんげぇ時間かかるんじゃね。
・・インギー、怒ってキャンセルするんじゃね。

会場の誰もがそう心配したそのとき、バックステージから「OK!」の声が!
そのまま始めやがった!
会場の誰もが「このままやんのかよ!」「オッケー!じゃねぇよ!」とココロの中でツッコミを入れたはずだ。
そしてそのノイズをかき消す(というか、ギターの音で上塗りする)ように、名曲[RISING FORCE]がスタート!

ステージの左5分の1くらいの位置にドラムセット、その前にベース、その前にキーボード。
そしてステージの右5分の4くらいに「万里の長城」と揶揄されるほどのマーシャルアンプの壁。
そのマーシャルの前で「華麗に」ステップを踏むインギー。
つま先で「チマチマチマチマ」と歩くステップ、足を大きく振り上げるアクション。どれも声を出して笑ってしまうのだ。
・・だって、インギーのキャラに加えて、今の体型だからさ。

ヴォーカルはキーボードの人が兼任。この人が意外と上手い。
系統としてはジョー・リン・ターナーを少し太めに(声のことね)した感じだろうか。だから[RISING FORCE]はかなりカッコいい。
これは掘り出しものじゃね?

この後もハウリングは止まらない。
頻繁にバックへ戻っていくインギー。
インギーがいなくなると、間をつなぐためにフツーに英語で観客に話しかけるベース。
このベースの人がカワイイ声で「コンバンワ、ニホン」「アリガトー、ニホン」と語りかけるたびに、会場はホッコリしたムードに包まれる。
何度もバックへ戻るから、何度も話しかけるのだ。
しかも、インギーへの忠誠心がすさまじいのだ。
「ギターを弾く人はいるか?君たちのヒーローの帰りを待とう」
「イングヴェイ!イングヴェイ!」(イングヴェイコールを煽る)
「彼こそがマエストロ!」
などと持ち上げるのだ。(あ、訳はザックリ&雰囲気ね)
そしてさらに、ベースが必死に気をつかってこういったトークで盛り上げようとしてる途中で、有無を言わさずサウンドチェックの「ギュイーン」「ピロピロ」といった音が割り込んでくるのだ。
で、ベース氏は「(ん?戻ってくるのか)」といったんトークを切るものの、やっぱり戻ってこずに再びホッコリトークに入るのだ。

そして、ノイズの中で戻ってきてはギターソロの曲([FAR BEYOND THE SUN][SPELLBOUND]くらいしか分からなかった)を自由気ままに弾き倒す。
途中で自ら、アンプを調整する。
弾く。
調整する。
弾く。
調整する。
バックへ戻る。
ベースしゃべる。
途中サウンドチェックでトーク中断。
ベースしゃべる。
インギー戻る。
弾く。
調整する。
・・以下、無限ループ。
ショーの大半がこんな感じ。全体の時間の80%くらいはギターソロ(というか、インストナンバー)だったような気がします。
で、このギターソロの時間も観客はノイズやらバンドメンバーやらへの気遣いで満ち満ちているのだ。

バックへ戻る時に駄々っ子のようにギターを叩きつけるシーンを見せたインギー。
私たちの席からは、ちょうどバックステージに戻るところが見えるのだ。
でも、ステージに戻ると笑顔で動き回るから、さすがだ。

途中、ギター破壊のパフォーマンスを見せる。
とりあえず真っ二つには割れて、小さく割れた方は観客席に投げ入れる。
が、あと片方が投げるには大きすぎたため、もっと割ろうとする。
上へ放り投げる。
床に叩きつける。
コードからまる。
また投げる。
叩きつける。
壊れない。
壊れない。
壊れない。
壊れない。
諦めて、そのまま観客席に投げる。
これまた「壊れないじゃん(笑)」「諦めんのかよ(笑)」「そのまま投げんのかよ(笑)」というツッコミが場内一斉に起こっていたことでしょう。

そして定番の[HEAVEN TONIGHT]が流れて、「もう終わりかよ!」というムードに包まれる。
いつもの「誰も歌ってくれないコーラス」も定番なのに続けているようだ。

ショーの途中でもどんどん人が帰ってたのに、この曲が終わってさらにどんどん人が帰る。

が、ラストはあの曲が残っている。はず。

そしてインギーが戻ってくる![I'LL SEE THE LIGHT TONIGHT]だ!
この曲ではギターもヴォーカルもキーボードも、いいバランスで会場は最高潮に!(人少ないけど)

これだけグダグダだったのに、最後は屈指の名曲で大団円!
・・・だったかのようにまとめたインギーは、さすが王者だ(棒読み)。

最近のセットリストに組み込まれていたという[NEVER DIE]や[DEMON DRIVER]といった期待の名曲たちは演奏されませんでした。
内容やセットリストだけを見れば、個人的には前回のインギーのライブをさらに下回る最低のライブだったと思います。
が、「いやー、楽しかった!」という充足感と満足感は、インギーのキャラクターでしょうかね。
KING DIAMONDのキャンセルからこのライブまで、全てインギーのために仕組まれたブックかと思えるほど。まさに王者の奇跡でしょうか。
ホント、オナカいっぱいです。
彼がトリでよかった。皮肉じゃなく。
これだけみんなが笑顔に包まれるライブはそうそうないでしょう。

そしてそのみんなの笑顔の大きな要素は、あのベース氏でしょう。
開演前にはステージから記念写真を撮り。(演奏後に写真撮るのは時々見るけど、開演前、しかもバンドではなく個人的に、ってのは稀)
ボスのご機嫌によって生まれてしまう「間」をホッコリトークでひたすらつなぎ。
ボスを徹底的にヨイショし。
ステージでは脇役に徹し。
ちょっと調子にのって前に出るとインギーに怒られ。
そしてまたヒッソリと立ち位置へ戻っていく。
名もなきベーシスト(いや、名前はあるし、調べれば分かるんでしょうが、ここはあえて・・・)、彼こそがLOUDPARKのMVP。
この日参戦した多数の人たちはきっと同じ思いを抱いたことでしょう。

その日のTWITTERではトレンドに「インギー」が現れ、中には「LOUDPARKのベストであり、ワーストでもある」という声が聞かれました。まさにその通り。
見なかった人は損しましたね。と断言できる、ある意味では「伝説」のステージとなったことでしょう。

終了後、酒を飲みながらインギーの話は尽きることなく・・腹はよじれるほどに、涙が出るほどに、笑いながら語り合いました。





インギーが楽しすぎて、感想が長くなってしまいましたね。
ホント最後は彼が全部持って行った感じですね。


ということで、LOUDPARK13は無事終了。

八代亜紀に始まり、BABYMETAL、そしてラストのインギーまで「ネタ満載」だった今年。
きっと賛否両論でしょうね。
個人的には、例年とは異なった充足感に満たされましたよ。

あとは「まとめ」的にいろいろ書きますね。今度。


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