音楽は一期一会だ。
一つの出会いが自分の人生を大きく左右したり、一つタイミングを逃すともう二度とその機会は訪れなかったりする。
そして離別はいつも突然だ。
私の人生を変えたといってもいいアーティスト、
アンドレ・マトスが急逝してしまいました‥。
アンドレ・マトスの歴史の中で、ヘヴィメタルシーンとして最も影響が大きかったであろうバンド、
ANGRA。
ANGRAの創始者でありキーマンでありフロントマン。
私にとってANGRAがどれだけ大切だったか。
このブログの一番最初の記事もANGRA。
そこから毎年、ブログの
「周年」の節目には毎回ANGRA。
そのくらい、私にとって欠かせない存在でした。
私とマトスの出会いは、ANGRAの前に(一部で)大きな話題となった
VIPER。
当時、ヘヴィメタル産出国としてはマイナーだったブラジルからの新星。
このVIPERの名作
[Theatre of Fate]がリリースされたのが
1989年。
同じくブラジリアンメタルの代表格である
Sepulturaの出世作となった
[ARISE]が
1991年。
まさにブラジリアンメタルの夜明けを告げたバンドだったと言えるでしょう。
まだまだ青臭さを残しつつも、マトスの才能の芽吹きは充分に感じられる名作。
クラシカルなメロディ、重厚なコーラス。
[Prelude to Oblivion]の華麗さ&美しさは、今も褪せることはありません。
そして、
ANGRA結成。
VIPERで充分に
「すげぇ」と思っていた私は、ANGRA結成と聞いても
「ふーん。まぁ、VIPERは越えられないでしょ」と舐めていた。
が。
オープニングの重厚なイントロダクション
[Unfinished Allegro]からのヘヴィメタル史に残る名曲
[Carry On]。
この曲を流れを初めて聞いたときの衝撃は、言葉にできない。
言葉にできないけど、多くのヘヴィメタルファンが同じ衝撃を受けたことだと思います。
アルバムジャケットの美しさ、それにフィットした崇高な世界観。
クラシカルかつスピーディー、流麗なメロディ。
ジャーマンメタル風ではあるけど、全く異なる魅力の
「クラシカルなメロディックスピードメタル」というジャンルが確立した瞬間でしたね。
私がANGRAで一番好きなアルバムは、2ndアルバムの
[Holy Land]。
1stの魅力を継承しつつ、トライバルなムード、静と動のコントラスト、緩急のバランスが絶妙なのだ。
[Carolina IV]の展開は、その魅力がすべて詰まっている、一つの
「物語」とすら呼べるクオリティだ。
3rdアルバムを最後にマトスはANGRAを脱退。
その後に加入した
エドゥ・ファラスキの素晴らしさ、アルバムの素晴らしさもあって
「なんだよ、マトスいらないじゃん」という空気になったことは否めない。
が、その後に発表したソロアルバム、そして
SHAMAN。
アンドレ・マトスの魅力は枯渇していないことをアピールするには充分な作品でした。
ソロアルバムでの
[Menuett]~[Letting Go]の流れは
「やっぱりマトスじゃないと!」と思わせてくれましたね。
その後ANGRAはエドゥ・ファラスキが脱退し、ゲストヴォーカル扱いで元
RHAPSODYの
ファビオ・リオーネを起用。
‥ファビオ、悪くないんだよ。悪くないし、大好きなんだよ。
だけど、ANGRAとファビオって組み合わせはクセが強いものどうしでフィットしてないんだよ‥と思っていました。
今は慣れましたけどね。
この頃から
「ANGRAにマトスが戻るべき」と強く思うようになりました。
時を同じくして、
HELLOWEENが
「PUMPKINS UNITED」と称して過去のメンバーも集まってのツアーが開催され大盛況となりました。
これを見て
「ANGRA UNITEDでいいから、再びマトスにANGRAの曲を歌ってほしい」と願っていました。
その矢先の訃報。
アーティストの死は、いつだって悲しい。
が、まだ若すぎる。
1971.9.14生まれのアンドレ・マトス。私と同じ歳。
死因、心臓発作。
数日前まで
AVANTASIAのステージに立っていたという。まさに急逝だ。
私のヘヴィメタルの歴史は、マトスと共にあったと言ってもいい。
そんなアーティストの訃報は本当に堪える。
彼の訃報が流れ、twitterのトレンドには
「アンドレマトス」「ANGRA」の文字が並んだ。
今はヘヴィメタルから離れたけど、ANGRAのCarry Onに衝撃を受けて、その記憶が褪せない人がたくさんいるんだな、と感じた。
マトスが遺してくれた音楽はずっと消えることはない。
一度でもその衝撃を受けた人の脳裏に、永久に刻まれます。
ありがとうアンドレ。
私のメヴィメタルの歴史は、あなたの音楽と共にあった。
あなたの声が大好きだった。
あなたの曲が大好きだった。