放たれる光

テン

2020年09月15日 07:39

昨年(2019年)のベストアルバム候補の一つですね。
そんな素晴らしいアルバムは、意外なバンドからの生まれ変わりでした。

MAJESTICA [ Above The Sky ]




スウェーデン出身。
2019年リリースのファーストアルバムになります。

バンド名、そしてジャケットの美しさから「これ、ぜったい私が好きなやつ」という薫りが漂います。
そしてその期待を裏切らない、その印象通り(いや、その印象以上)のアルバムに仕上がっています。

聞けば、元REINXEEDのメンバーが中心 (というか、ほぼそのメンバーによるRebirthアルバム)とのこと。

‥REINXEED、たしか聞いた気がする。
‥けど、全然覚えてない。

そして中心人物であるトミーは、SABATONTwilightForceとも関係がある(参加している)。

REINXEEDを知らなくても、このあたりのバンド名を聞けば「お!」とアンテナが反応する方々も多いのではないでしょうか。

‥という経緯は置いといて。
そう、その経緯を知ってる方はより「なるほどなー」という楽しみ方ができるかもしれませんが、それはあまり気にする必要がない。

純粋にMAJESTICAのデビュー作として手にしても充分に楽しめます。

ジャケットのイメージ通り、シンフォニックなメロディックスピードメタルが機軸。
いわゆるジャーマンメタル系のポジティブシンガロング系のメロディ。
ファンタジックでスペーシーな空間。
きらびやかに舞うキーボードの装飾。

いわゆる「王道」であり「典型的」でありながらも、他とは違う個性を発散しています。
曲調は「キラドコ」系なのですが、どこか柔らかさ&優しさが包んで駆け抜けていく感覚が心地いいのです。


ブリブリしたベースの音色のイントロダクションがいきなり耳を奪う[Avobe The Sky]
時折、[Eagle Fly Free]を想起するメロディーライン。
‥というか、「♪No Eagles Flying Free」って歌っちゃってるので、意識&オマージュしているんでしょうね。
輝きを纏って飛翔してくかのようなサビ。
シンフォニックなアレンジでテクニカルなリズムチェンジ、そこから再び駆け上がっていくパートはまさに悶絶する美しさ。
このアルバムを象徴する、そして魅力がパンパンに詰め込まれた、これ以上ないオープニングチューンです。

続く[Rising Tide]のリズムの刻み方はSTRATOVARIUSっぽいですかね。

いかにも北欧メタルといったメロディとアレンジが光る[The Rat Pack]
サビでも北欧の広大な空を思わせる広がりを感じます。

スリリングかつストロングなシンフォニックスピードメタル全開のイントロダクションがトキメキを誘う[The Way To Redemption]
ネオクラメロスピ、という言葉がピッタリですね。
この曲の強靱さは、このアルバムではちょっと異色でしょうか。

北欧メロハー的な[Night Call Girl]
メロディは80'sとも言えるフックを湛え、こういった曲も書けるんだなという懐の深さを感じます。

[Future Land]では、ちょっとPrettyMaidsを思わせるキャッチーさ、ポップさを漂わせていますね。

そして、裏ベストチューンとも言える[Father Time (Where Are You Now)]
Queenっぽい‥というよりは、私の琴線をビンビン刺激するのはRobbyValentineっぽいところなのだ。
軽やかさとコミカルさを振りまきながら疾走していき、オペラティックなコーラスパートに間奏でのピアノパート。
ロビーのファンにはたまらない曲構成となっています。


‥と、基本線はアルバムジャケットイメージそのままの大きい柱に支えられつつ、さまざまな美しい光を放つアルバムになっています。
そして一曲一曲の放つその「光」の輝きと煌きが素晴らしい。
だから、鮮烈なオープニングチューンでガツンと掴んだ後も、そのテンションと緊張感と興奮を保ったまま最後まで駆け抜けてゆく。
実にクオリティの高いアルバムになっています。

ジャケットにピンときたメロスピファンの方は、手にとって損はしません。
冒頭にも書きましたが、2019年ベストアルバム候補。
名作です。



MAJESTICA - Above The Sky (OFFICIAL MUSIC VIDEO)



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