ホント、北欧という地域は懐が深い。
メロデスからキラキラ北欧メタルから、こういったキャッチーなバンドまで。
このバンドも、その北欧の若手の旗手と言ってもいいでしょう。
DYNAZTY [RENATUS]
スウェーデン出身。これが4thになるようですね。
もともとはキャッチー&ややグラマラス、そして北欧独特の憂いを帯びた‥という、
THE POODLESや
RECKLESS LOVEあたりに通じるムードを持っていた彼ら。
3rdまではその路線が中心でしたね。
この3rdまでのアルバムも素晴らしいので、またそのうち触れるとして‥
この4thアルバムで大きく化けました。
ポジティブに捉えればスケールアップしたとも言える。
ネガティブに捉えれば今までの魅力を消したとも言える。
捉え方によって賛否は分かれるところでしょう。
ワタシ個人としては音楽的路線でいえば3rdまでの方が好みだと思う。
が、この4th、そのスタイルチェンジについても有無を言わさす説き伏せるだけの説得力がある。
モダンかつヘヴィなリフ。
デジタルな装飾。
今までのファンにとってネガティブに受け取られるであろう要素を中心に組み立てていながら、しかし、そのメロディの質が素晴らしい。
骨太かつストロングに彩られた剛直なヘヴィメタルに、
AMARANTHEあたりを思わせるキーボードの浮遊感。
そしてもともと持ち合わせたメロディセンスのバランスが絶妙なのだ。
一気に正統派ヘヴィメタル路線に舵を切りつつ、彼らの魅力は失っていない。
オープニングに配置された
[CROSS THE LINE]。
3rdまでの彼らを知る人、そしてそのサウンドが好きだった人にとっては衝撃的であることが想像に難くありません。
淡々とザクザクと刻まれるモダンなリフ。ややダークなムード。
が、サビでは力強さとキャッチーさが顔を覗かせ、多少の安堵を覚えることになるでしょう。
続く
[STARLIGHT]。このアルバムの象徴ともいえる曲でしょうか。
ヘヴィなリフは今までの彼らとは異なる個性を放っていますが、サビで一気に空間を開放し、その空間を彩り、飛翔していくかのようなスケールの大きさ。
「こんなことができたのか!」という驚きと、強烈なフックを伴うメロディが新しい彼らを印象づけていきます。
[DAWN OF YOUR CREATION]は、冒頭に例えた
AMARANTHEに近いメロディでしょうか。
それでもサビでのドライヴ感はやはり彼らならでは。
[RUN AMOK]は、[STARLIGHT]と並んでこのアルバムのキラーチューン。
[STARLIGHT]と同系統、鮮やかに煌びやかな彩りの中を突き抜けていくような爽快感が漲ります。
このあたりのスペーシーな空間の構築は、このアルバムの特徴と言えるでしょう。
[SALVATION]はパワーメタルのような力強さを纏っています。
こういった曲も新しい顔といえるでしょうか。
といった具合に、今までの路線とは異なり、新たなスタートと言っても過言ではないかもしれません。
3rdまでの路線も素晴らしかったのですが、同郷および周辺国ではその路線のバンドは多く、そこに居すわるよりも新しい一歩を踏み出した、ということでしょうか。
が、その劇的な変化に失望したファンも多いかもしれません。
個人的にはどちらの路線も素晴らしいと思います。
そして、この新しい一歩から次の一歩へ進んでくれることを期待しています。
Dynazty - Starlight